英王室で起きた歴史上の出来事を題材にしたNetflixの大ヒットドラマ『ザ・クラウン』でヘンリー王子とメーガン妃にまつわるあれこれが取り上げられる可能性はかなり低い。その理由は? (フロントロウ編集部)

英王室で起きた出来事をベースにした『ザ・クラウン』

 Netflixで配信されているドラマ『ザ・クラウン』は、25歳の若さにしてイギリスの君主に即位したエリザベス女王を主人公に王室の裏側やイギリス社会の変遷を描いた作品。

 独自の脚色が加えられたフィクションだが、歴史上、実際に起きた出来事をベースにしており、毎シーズン実力派のキャストたちが実在もしくは実在したロイヤルファミリーを演じて高い評価を得ている。

 2020年11月に配信がスタートしたシーズン4では、1979年のサッチャー内閣成立から1990年の辞任までの約11年間が舞台に。エリザベス女王とイギリス初の女性首相マーガレット・サッチャーの関係のほか、現代人の記憶にも残る、チャールズ皇太子とダイアナ元妃の波乱に満ちた結婚生活と破綻が中心に描かれた。

 同シーズンは、第78回ゴールデン・グローブ賞でドラマ作品としては最多となる6部門にノミネート。ドラマ部門の作品賞のほか、故ダイアナ妃を演じたエマ・コリンがドラマ部門の主演女優賞、チャールズ皇太子を演じたジョシュ・オコナーがドラマ部門の主演男優賞、マーガレット・サッチャー元英首相を演じたジリアン・アンダーソンがテレビの部の助演女優賞を受賞した。


今後のシーズンにヘンリー王子&メーガン妃は登場しない?

 チャールズ皇太子と離婚し、王室を去ってからもイギリス国民のみならず世界中の人々に愛されたダイアナ妃。交通事故により不慮の死を遂げるという、悲劇の運命を生きた彼女が王室入りを果たす様子や苦悩する模様を描いたシーズン4は、公開前から注目度が高く、配信初週の視聴者数が2900万世帯を突破するという好成績を記録した。

画像: 1981年に撮影されたチャールズ皇太子とダイアナ妃。

1981年に撮影されたチャールズ皇太子とダイアナ妃。

 このセオリーからすると、もしも『ザ・クラウン』の今後のシーズンで、近年、巷を騒がせている、ダイアナ妃とチャールズ皇太子の次男ヘンリー王子と妻メーガン妃の出会いから結婚、王室での葛藤、そして王室離脱までが描かれるとしたら、とんでもない大ヒットとなりそうだけれど、夫妻の体験を題材にしたシーズンが制作される可能性は極めて低いだろうと予想されている。

画像: 今後のシーズンにヘンリー王子&メーガン妃は登場しない?

 というのも、『ザ・クラウン』の原案・脚本を手がけるピーター・モーガンは、「20年以内に起きた出来事については描かない」というポリシーを掲げているから。

 ピーターは、2020年に行なったThe Hollywood Reporterとのインタビューで、そう決めている理由についてこう明かしている。

 「ただ単に、時が経ったほうが面白いものができると思ってるんだ。メーガンとハリー(ヘンリー王子の愛称)は、今、旅の真っ最中だし、彼らがどんな旅をしているか、それがどう終わりを迎えるのかは僕には知る由もない。幸せになれるといいなとは思ってるけど、とにかく、20年以上前に起きた事について書くほうがしっくりくるんだよ」。


なぜ「20年」?

 20年という“熟成期間”について、ピーターは「それが、何かを本当に理解するために必要な時間と距離だと思ってるから。その出来事がどんな役割を果たすのか、どんな位置づけなのか、どんな関連性があるのかとかをね」と説明。

 「今日、何かについて、これは絶対に極めて重要だって思ったとしても、それは一瞬にして忘れ去られてしまうことがほとんど。でも、そのなかでも、時間を超えて歴史的に残るものもあるんだ。それが、その事柄がいかに重要かということの証明だよ」と続けた。

画像: ピーター・モーガン

ピーター・モーガン

 『ザ・クラウン』はあくまでもフィクションドラマであり、ジャーナリズムとは完全に異なると考えているというピーター。

 「アンドルー王子(の未成年に対する性的搾取スキャンダル)やメーガンやハリーのことは、どう構想にいれるべきかわからない。だって実際のところは僕らは知らないんだから。ジャーナリズムと距離を置くには、時間が必要なんだ。今、僕が彼らのことについて書いたとしたら、それは即座にジャーナリズムっぽくなってしまう。僕がそんなことをしなくても、世の中には彼らについて書いているジャーナリストたちがごまんといるからね」と、現実を伝えるのはメディアの記者たちの仕事で、自分がやろうとしているのはドラマとしての作品づくりだと話した。

 インタビューからは1年近く経っているので、その後、ピーターの気持ちが変わっている可能性もあるけれど、自身をジャーナリストではなく「ドラマイスト」と呼ぶ彼が信条を貫くとすれば、ヘンリー王子やメーガン妃、そしてウィリアム王子やキャサリン妃に関しても、『ザ・クラウン』では描かれることはなさそう。

 ちなみに、『ザ・クラウン』は2000年前半を舞台にしたシーズン6をもって幕を下ろすことが発表されている。

 2000年代前半なら、若き日のウィリアム王子とヘンリー王子、そしてウィリアム王子と2003年に交際をスタートさせたキャサリン妃もちょこっとだけ登場するのではと期待してしまうけれど、果たして? (フロントロウ編集部)

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