日本時間3月15日に開催される第63回グラミー賞で1部門もノミネートされなかったことで波紋が広がったザ・ウィークエンドが、今後、同賞とは決別することを宣言した。(フロントロウ編集部)

グラミー賞から無視されたザ・ウィークエンド

 2020年3月に最新スタジオアルバム『アフター・アワーズ』をリリースし、52週にわたって全米シングルチャートとトップ10にランクインし続けている同作からの驚異のシングル「Blinding Lights」が同年に世界で最も売れたシングルとなり、『アフター・アワーズ』も世界で2番目に売れたアルバムとなるなど、年間を通じて大活躍だったザ・ウィークエンド

画像: グラミー賞から無視されたザ・ウィークエンド

 これまで3度のグラミー賞受賞歴を誇るザ・ウィークエンドは、『アフター・アワーズ』の大成功もあり、今年のグラミー賞における目玉の1人になると見られていた。しかしながら、蓋を開けて見れば、彼のノミネーションはゼロ。

 その理由については、ザ・ウィークエンドがグラミー賞授賞式ではなく、現地時間2月7日に開催された第55回スーパーボウルのハーフタイムショーへの出演を選んだことに対する仕打ちだと報じられているなかで、当のザ・ウィークエンド本人は当時、「グラミー賞は腐ったままだ。あなた方には私と私のファン、そしてこの業界に、“透明性”をはっきりさせる義務がある」とグラミー賞を批判した。

 ザ・ウィークエンドがノミネーションされなかったサプライズは、音楽ファンのみならずアーティストたちの間でも波紋が広がることとなり、同じカナダはトロント出身のドレイクは、「何とかして改善して欲しいと願ってるけど、どうしても自分のやり方を変えることができない親戚みたいなもんだよ」と、グラミー賞を“保守的で頑固な親戚”に例えて揶揄したほか、これまで2度のノミネート歴があるホールジーも昨年11月、「グラミー賞の(選考)プロセスは捉えどころがない」とした上で、「その裏で密かに行なわれている(政治的な)パフォーマンスが重要になることもある」と批判。

 加えて、ゼイン・マリクもつい先日、「グラミーも、関係しているすべての人たちもクソ食らえ。握手をしてギフトを贈らない限り、ノミネーションを考慮されることはないんだ」と強い言葉でグラミー賞の選考プロセスを批判した。

ザ・ウィークエンドが完全決別を宣言

 開催日の日本時間3月15日を間近に控え、パフォーマンスを行なうアーティストのラインナップが発表されるなど、開催に向けて盛り上がりを見せているなかで、ザ・ウィークエンドは、今回の件を境にグラミー賞とは縁を切ることを決めたよう。

画像: 2016年に開催された第58回グラミー賞授賞式で、最優秀R&Bパフォーマンス賞と最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞を受賞したザ・ウィークエンド。

2016年に開催された第58回グラミー賞授賞式で、最優秀R&Bパフォーマンス賞と最優秀アーバン・コンテンポラリー・アルバム賞を受賞したザ・ウィークエンド。

 今回、ザ・ウィークエンドは米The New York Timesに声明を寄せて、グラミー賞の「内密な委員会が理由」だと前置きした上で、「僕は今後一切、レーベルがグラミー賞に僕の楽曲を提出することを許さない」と語り、自身の作品をグラミー賞の対象作品として提出することは今後ないと宣言した。

 グラミー賞の会長で、暫定のCEOであるハーヴェイ・メイソン・ジュニア氏はザ・ウィークエンドからの“決別宣言”に対し、「誰かを怒らせてしまった時には、私たち全員が気を落としています。ですが、私たちは進化を続けているということをお伝えしたいです。今年も、これまでと同様、ノミネーションを決定する委員会を含め、アワードのプロセスをどう改善していくかについて厳密に見直していきたいと思っています」と米The New York Timesにコメントを発表した。

 ザ・ウィークエンドのマネージャーであるワッシム・スライビー氏は今回の決定を受けて、「グラミー賞は自分たちの遺産を整理し、誰もが受賞を誇りに思えるようなレベルになるまでそれを磨き上げるべきです。これは(会長である)ハーヴィーにとって、力を入れて、グラミーをようやく正しいものにした人物として名を残すチャンスなのです」とコメントを寄せ、今回の一件をきっかけに、グラミー賞のあり方を見直してほしいと訴えた。(フロントロウ編集部)

 

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