イギリスのロンドンで、帰宅途中に誘拐・殺害されたサラ・エヴァラードを多くの人々が追悼し、女性たちのために声をあげている。(フロントロウ編集部)

サラ・エヴァラード誘拐・殺人事件を受けて大規模デモが発生

 ロンドン南部を夜の9時頃に歩いていた33歳の女性サラ・エヴァラードが、ロンドン警視庁の現職警察官に誘拐・殺害された事件を受けて、多くの女性たち、そして男性たちが声をあげている。

 こういった事件が起こると、なぜか、被害を受ける女性たちの行動が制限される。今回も、捜査中の警察が、地域の女性たちに夜間の外出を控えるよう呼びかけていたという。

 イギリスでは、1975年からの5年間で13名の女性が殺されたヨークシャー・リッパー事件が発生し、犯人が逮捕されないなかで警察が女性に対する夜間の外出禁止を指示。被害者である女性側の行動を制限することに対して、“男性にこそ外出禁止を指示すべき”とする「Reclaim The Night(意味:夜を奪還せよ)」というデモが、イギリス全土で行なわれた。

 そして今回、その名前を踏襲した「Reclaim These Streets(意味:ストリートを奪還せよ)」という活動が広がり、現地時間3月13日に大規模なデモが発生した。

画像1: サラ・エヴァラード誘拐・殺人事件を受けて大規模デモが発生
画像2: サラ・エヴァラード誘拐・殺人事件を受けて大規模デモが発生

 新型コロナウイルスのロックダウン中であるロンドンでのデモはキャンセルされたと言われていたけれど、サラの死に声をあげる多くの人々が集まった。警察は、「感情の強さや、サラ・エヴァラードの行方不明や死による怒りをロンドン市民たちが共有しているのは理解しています」としたうえで、「追悼の意を払うべきですが、グループになって集まらないで」と呼びかけていた。

 デモの現場では参加者と警察が対立。警察がデモを制圧しようとしたことについて、一般人だけでなく、ロンドン市長のサディク・カーン氏なども警察を批判している。

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画像: 翌3月14日に行なわれた抗議デモ。

翌3月14日に行なわれた抗議デモ。

サラのために祈りを、首相官邸もライトを置く

 また、デモに参加しなかった人々も、イギリス各地でサラへの追悼の意を示した。「Shine A Light(光を灯せ)」という呼びかけにより、多くの人が家の前などにキャンドルやランプなどを置き、サラを悼んだ。

 また、イギリスのロンドンにある首相官邸、ダウニング街10番地の玄関前にも、サラのためにライトが置かれた。

画像: サラのために祈りを、首相官邸もライトを置く

キャサリン妃がプライベートでメモリアルを訪問

 現在、ロンドン南部には、サラのためのメモリアルが出来ている。多くの人が訪れるなか、ある人の姿が目撃された。

 それは、英国王室のキャサリン妃。

 完全にプライベートで、カーキ色のシンプルなジャケットを羽織ってメモリアルを訪れたキャサリン妃は、その前で立ち止まり、思いを巡らせた。関係者は、「キャサリン妃は、サラやその家族に敬意を払いたかったんです。夜にロンドンを歩くことがどのようなものなのか、彼女は覚えています」と、米Peopleに話した。

 現在、イギリスを中心に、# NotAllMenButAllWomen というハッシュタグが拡散されている。
NotAllMen(ノット・オール・メン)は、女性が男性からの加害を受けたことを明かすことに対し、すべての男が加害者ではないと反発するもの。しかし、さらにそれに対し、“すべての男性が加害者でなくとも、すべての女性は性被害を受けたことがある”という反論がなされ、多くの女性が賛同。

 ハッシュタグに多くの賛同が集まっているように、ただ日常生活を送っていただけで受けた性被害を告白する女性たちは多い。Netflixドラマ『セックス・エデュケーション』で、少女たちが女性であるだけで性被害を受けた経験を次々にシェアするシーンを集めたツイートは広く拡散されており、「何かが変わらなくてはいけない」と綴られている。(フロントロウ編集部)

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