アメリカにある1つのコストコ店舗で、紙皿に描かれていたものが素敵。(フロントロウ編集部)

あるコストコ従業員の別の顔

 食材から日用品まで、なんでも揃うことで有名なアメリカ発の会員制ウェアハウスクラブのコストコは、従業員の労働環境が良いことでも知られている。例えばコストコにおける最低時給は16ドル(約1,760円)で、離職率は平均して13%、1年以上働いている従業員においての離職率は6~7%になるという。

 そんなコストコだけれど、オハイオ州デイトンにある1つの店舗は、他の店舗よりもさらに働くのが楽しいかもしれない。その理由は、デリのコーナーで働く1人の女性リンジー・レイの存在。

 コストコの人気商品であるロティサリーチキンなどのお惣菜を担当し、働き始めて約2年が経つという彼女は、休憩室で、ある別の顔をのぞかせている。それは、アーティストとしての顔!

 芸大でグラフィックデザインを学んだ経歴を持つリンジーは、休憩時間を使って紙皿に絵を描くことを趣味としており、その作品には「今日も安全にね」「素晴らしい1日を」といった温かいメッセージが添えられている。最初は匿名でその絵を描いていたそうだけれど、“覆面アーティスト”の存在は従業員の間で知られるところになった。

 とくにこの1年は、新型コロナウイルスの影響のなかでも、コストコの従業員はエッセンシャルワーカーとして危険をかえりみずに働いてきた。その状況において、リンジーの作品はより一層人々の心に沁みたよう。

 デイトンの地域メディアであるDayton.comの取材で、リンジーは絵を描き始めたきっかについて、こう話している。

 「昼休憩の時に、毎日、携帯電話をスクロールしていることに気がついて、この時間をより良く過ごせないかって思った。そこで落書きをすることにして、ペンを持った。何に描けるかなと周りを見渡したら、休憩室に紙皿が重ねてあるのを見つけて、趣味で1枚描いたの」

 パンデミック中には、アートやデザインの持つ力をより一層感じた人も多い。リンジーのアートも、エッセンシャルワーカーたちを励ましている。(フロントロウ編集部)

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