ドクター・スースの一部作品の絶版が決まったことを受けて、米ユニバーサル・スタジオが該当する作品の販売中止と、ドクター・スースの世界観を再現したエリアの見直しをすると明らかに。(フロントロウ編集部)

ユニバーサル・スタジオがドクター・スース問題で声明を発表

 アメリカのフロリダ州オーランドにあるユニバーサル・オーランド・リゾートが、アイランズ・オブ・アドベンチャー内のショップで販売されている、絵本作家ドクター・スースによる一部作品を書棚から撤去すると発表した。でも、一体なぜ? それにはドクター・スースの作品をめぐる“ある問題”が関係していた。

ドクター・スースの作品をめぐる問題とは

 ドクター・スースの誕生日で、アメリカで「読書の日」として制定されている3月2日、ドクター・スース・エンタープライズは「有害かつ間違った人物描写がある」という理由で、『And to Think That I Saw It on Mulberry Street(日本版:マルベリーどおりのふしぎなできごと)』、『If I Ran the Zoo(日本版:ぼくがサーカスやったなら)』、『Scrambled Eggs Super!(日本版:おばけたまごのいりたまご)』、『McElligot's Pool』 、 『On Beyond Zebra!』、『The Cat's Quizzer』の6作品の出版を中止すると発表。

画像: ドクター・スースの作品をめぐる問題とは

 定番のクリスマス映画として愛される『グリンチ』や、『ハットしてキャット』の日本語タイトルで映画化された『キャット・イン・ザ・ハット』など、ドクター・スースの代表作のなかには日本人になじみ深い作品もあり、今もなお世界中の人々に読み継がれているが、以前から白人以外のキャラクターの描写が人種差別的だとして、一部の人たちのあいだで問題視する声があがっていた。

 例えば、絶版が決まった『マルベリーどおりのふしぎなできごと』ではアジア系のキャラクター、『ぼくがサーカスやったなら』ではアフリカ系のキャラクターに、それぞれ偏見や侮辱にあたる特徴があったと米Peopleは伝えている。

ドクター・スースの世界をテーマにしたエリアはどうなる?

 ちなみに、「ドクター・スース・エンタープライズからの要請に従い、(園内にある店の)本棚から該当する本を撤去しました」と発表したユニバーサル・オーランド・リゾートは、アイランズ・オブ・アドベンチャー内にあるドクター・スースの世界観を再現した人気エリア「スース・ランディング(Seuss Landing)」についても「パーク内での体験に関しても見直す予定です」と言及し、“改変”を示唆。

画像: ドクター・スースの世界をテーマにしたエリアはどうなる?

 「ゲストの皆様には、引き続きスース・ランディングでお気に入りの体験をお楽しみ頂けます」とのことなので、エリアごと閉鎖するといったことはないようだが、スース・ランディングには『One Fish, Two Fish, Red Fish, Blue Fish』をテーマにしたスピニングライドやトローリーライドといったアトラクションのほかに、販売中止の対象になっている『ぼくがサーカスやったなら』をテーマにしたプレイエリアもあることから、場合によっては名称や内容が変更になる可能性もある。

ディズニーランドも同様の理由でアトラクションを改変

 ちなみに、同じく人気テーマパークのディズニーランドでも、昨年、黒人に対する人種差別に抗議するムーブメント「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)」の後押しによって、スプラッシュ・マウンテンの改変が決定。昔から黒人描写に関して批判の声が絶えなかった1946年公開のディズニー映画『南部の唄』ではなく、ディズニーアニメ史上初の黒人プリンセスであるティアナをフィーチャーしたアニメ映画『プリンセスと魔法のキス』の世界観や、物語の舞台となったルイジアナ州南部のニューオーリンズの風景をテーマにしたライドに生まれ変わる予定となっている。

新生スプラッシュ・マウンテンの完成予想図。

 さらに、ディズニーランドは今年に入ってから、“改変の次なる標的”として以前から名前が挙がっていたジャングルクルーズもアップデートすることを明らかに。同アトラクションは、先住民のキャラクターを“首狩り族”として描写していたり、白人のキャラクターが先住民のキャラクターを「野蛮人」と表現していたり、一部、人種差別的な内容が以前から問題視されていたが、リニューアル後は他の文化の描写における人種差別的な箇所を取り除き、より包括的な内容になるという。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.