アマゾンが、ある本の取り扱いを止めた。称賛されている理由とは?(フロントロウ編集部)

Amazon、LGBTQ+は精神病ではない

 米アマゾンが、ある本の取り扱いを禁止した。それは、ライアン・T・アンダーソンによる『When Harry Became Sally: Responding to the Transgender Moment(原題)』。

 2018年に発売された本書はトランスジェンダームーブメントやジェンダー違和gender dysphoriaを扱っているのだけれど、そのスタンスは反トランスジェンダー的立場であり、米LGBTQ+団体GLAADは本書を「トランスの子供たちに対して危険で有害」と説明している。

 2018年より約3年は、アマゾンも本書を販売していたけれど、現在はアマゾンでもKindleでも販売を取りやめた。そのことについて、アメリカ共和党の上院議員4名が、アマゾンにオープンレターで意見。「保守派のアメリカ人に対し、彼らの意見はそのプラットフォームにおいて歓迎されていないとあからさまに発信している」としたところ、アマゾンがオープンレターで返答した。

画像: Amazon、LGBTQ+は精神病ではない

 パブリックポリシー部門の副社長であるブライアン・ヒュースマン氏は、「私達は、書籍コンテンツのガイドラインと、アマゾンのブックストアのキュレーションを定期的に見直しており、以前は取り扱っていた書籍を取り除く結果になることもあります」としたうえで、LGBTQ+コミュニティへの力強いコメントを発信した。

 「『When Harry Became Sally』に関する質問については、私たちは、LGBTQ+のアイデンティティを精神病とする書籍を売らないことを選択致します」

 GLAADはアマゾンの決定を「ポジティブな一歩」だと評価。一方で、著者のライアンは、「ジェンダー違和が深刻なものであり、深い苦しみを引き起こすことには、すべての人が同意するでしょう。しかしながら、ジェンダー違和を経験する患者をどう治療するのがベストなのかという点には議論があり、アマゾンはそれをシャットダウンしようとしている」とした。

米精神分析医学会はLGBTQ+を病気とした過去を謝罪

 アメリカ共和党の議員は、アマゾンは保守派の「意見」を排除しているとしているけれど、LGBTQ+のアイデンティティが病気ではないということは意見や説ではなく事実。

 アメリカでは、1973年にアメリカ精神医学会の『精神障害の診断と統計マニュアル』から同性愛が取り除かれ、1990年には世界保健機構(WHO)が、「同性愛はいかなる意味でも治療の対象とはならない」という声明を発表した。

 そして、アメリカ精神医学界において2番目に古い組織であるアメリカ精神分析医学会も、1997年にその姿勢を表明するまでは、同性愛を「病気」としていたけれど、その過去を2019年に正式に謝罪している。同医学会の代表リー・ジャフィ博士は学会で、こう述べている。

 「残念ながら、当時の同性愛やジェンダーアイデンティティへの理解は、アメリカ精神医学に一部起因するものでした。本来ならばもっと早く、(同性愛者が経験した)差別やトラウマにおける私たちの責任を認めて謝罪するべきでした。申し訳ありません」

 「現在のアメリカ精神分析医学会は、性的指向やジェンダーの多様性を支持していることを誇りに思っています。しかし、『ごめんなさい』という言葉を聞くことが、過去のトラウマを癒すことに重要なことを、我々は知っています」

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.