ひと組の異人種間カップルを通して深刻な差別問題を描く映画『Test Pattern(テスト・パターン)』がアメリカで公開され、話題を呼んでいる。日本未公開の本作を、フロントロウが先取りでご紹介。(フロントロウ編集部)

『Test Pattern』のあらすじ

 レネシャとエヴァンは異人種間のカップル。2人は交際を始めて早数ヶ月、安定した関係を築いていた。そんなある日、友人と出掛けたレネシャは、そこで出会った男に薬を盛られ、レイプ被害に遭う。翌日、不確かな記憶のまま家に帰りエヴァンにそれを伝えると、彼はレイプキットをもらうためレネシャを連れて病院に向かうも、幾度となく門前払いされてしまい…。

 本作は、米批評サイトRotten Tomatoesの批評家スコア95%を取得している。

※以下、『Test Pattern』のネタバレを含みます。

『Test Pattern』が描き出す人種差別と性差別

画像: ©︎Kino Lorber

©︎Kino Lorber

 『Test Pattern』は、テキサス州オースティンに住む若い黒人女性レネシャの物語。彼女はある夜クラブで男性と出会い、恋に落ちる。それが彼氏のエヴァン。黒人のレネシャは大学院で学位を取得し、高級取りで、いいマンションに住んでいるエリート。そして、白人のエヴァンはタトゥーアーティスト。その2人を、「レイプ」というショッキングな出来事を起点として、様々な問題を描き出すのが本作。

 彼女のために病院にレイプキットをもらいに行こうと必死になるエヴァンは、一見すると献身的な彼氏。しかし実際には、レネシャに気持ちを整理する時間を与えず、彼女の意思は尊重することなく病院へ強行する。レネシャはというと、レイプされたことは自分にも原因があるのかという思いに駆られる。エヴァンは自分の行為に疑いを抱いていないけれど、明らかにレネシャを自身の所有物のように思っている部分がある。

 エヴァンは病院の対応に苛立ちを募らせるも、レネシャは徐々に諦め始め、2人はすれ違う。帰りのタクシーでエヴァンは労わるようにレネシャの膝に触れるものの、彼女はレイプの記憶を体感で思い出し、体をすくめる。

 レイプ被害者が直面する不条理を描いた本作の魅力は、エヴァンの言動に映る女性差別、友人らとの会話の中に写る人種差別など、私たちの周りにある無意識の差別をほのめかす形で描いているところ。本作の日本公開は未定。(フロントロウ編集部)

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