ファンにとってはちょっと「期待はずれ」?マーゴット・ロビー出演作
主演からバイプレイヤーまで、どんな役でも器用にこなし、いまやハリウッドで最も需要が高い俳優の1人となったマーゴット・ロビー。
毎年3~4本のペースで映画に出演しているマーゴットの代表作には、DCコミックスのハーレイ・クインを主役に迎えた『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒BIRDS OF PREY』(2020年)や同作の派生元である『スーサイド・スクワッド』(2016年)、アカデミー賞の助演女優賞ノミネートを果たした『スキャンダル』(2019年)、製作・主演を務めた『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(2017年)、レオナルド・ディカプリオとの初共演で注目を浴び、ブレイクのきっかけとなった『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)など、映画ファンの記憶に残る作品がたくさん。
それらの作品に劣らず、マーゴットが強烈な存在感を放ったのが、2019年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督作の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
1969年にハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団チャールズ・マンソン・ファミリーに殺害された事件を背景に、ハリウッド映画界を独自の視点で描いた作品である通称『ワンハリ』は、現代ハリウッド俳優の2大巨頭レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが共演。鬼才タランティーノ監督のこだわりが詰まった2時間40分の同作は、第77回ゴールデングローブ賞で作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、脚本賞、助演男優賞(ブラッド)を獲得したほか、第92回アカデミー賞では作品賞を含む10部門にノミネート。ブラッドが助演男優賞を受賞し、美術賞も獲得した。
レオナルド、ブラッド、マーゴットのほかにも多彩な役者が登場した『ワンハリ』だが、一部のマーゴットファンの間では、物語のキーパーソンであるはずのシャロンを演じたマーゴットの「セリフが少ない」「もっとマーゴットが見たかった!」と、少々期待はずれだったと落胆の声も。
マーゴット自身は、この件についてカンヌ国際映画祭中に行なわれた記者会見で「彼女の悲劇的な死は純真さの喪失を表していると私は解釈しています。彼女の素晴らしさを表現するのに、言葉はいらない。セリフに頼ることなく、自分の演じるキャラクターの新たな一面を発見することができたことは、私にとっても貴重な経験でした」と語っていた。
上映時間20時間の超ロングバージョンが存在する
その言葉通り、マーゴットは劇中で言葉を発する機会は少なくとも、しっかりとシャロンを演じきり、確かな印象を残しているのだが、公開から約1年半が経過した今になり、マーゴットが、じつは『ワンハリ』には世に出ていない映像を合わせると20時間におよぶ超ロングバージョンが存在すると打ち明けた。
昨今、2017年に公開されたDC映画『ジャスティス・リーグ』を、家庭の事情により途中降板することとなったザック・スナイダー監督の初期構想に基づいて追加撮影、再編集した『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』(3月米公開/日本公開は初夏)が話題を席捲していることを受け、同じくDCEU作品である『スーサイド・スクワッド』にも「別バージョンはないのか」と求める声がファンたちの間で勃発。
これは、同作を手がけたデヴィッド・エアー監督が、ジョーカーを演じたジャレット・レトとともに、上映分に含まれるのとは「別のシーンも撮影した」と明かしたことも後押ししているのだが、配給元であるワーナー・ブラザースのアン・サーノフCEOは、残念ながら『スーサイド・スクワッド』の「“(デイヴィッド・)エアー・カット”の制作の予定はありません」と米Varietyに明言した。
Varietyとのインタビューで、この件について話題を振られたマーゴットは、「私個人としては、自分が出た作品はすべて5時間バージョンを見てみたいけど」とジョークで応じながら、「じつは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』には20時間バージョンがあるの。素晴らしいシーンだったのに、(劇場では)見られなかったものがたくさんある。それらが採用されなかった背景には100万個くらい色んな理由があるんだけど」と明かした。
そのうえで、「私が知る限りでは、現時点では(『スーサイド・スクワッド』の)デヴィッド・エアー・カットは制作されていないし、今後公開される計画があるかどうかも分からないな」と語ったマーゴット。
ちなみに、『スーサイド・スクワッド』は、マーベル映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などで知られるジェームス・ガン監督が指揮をとった“再構築版”である『ザ・スーサイド・スクワッド“極”悪党、集結』が2021年夏に日本公開され、同作には、もちろん、マーゴット演じるハーレイも登場する。
あの作品にも残念ながら「別バージョン」はない
このインタビューは、マーゴットが製作陣に名を連ねた2021年のアカデミー賞ノミネート作品『プロミシング・ヤング・ウーマン』のプロモーションのために、同作の脚本も手がけたエメラルド・フェネル監督と一緒に応じたもの。
レイプ犯への復讐を描いた『プロミシング・ヤング・ウーマン』に“フェネル・カット”と呼ばれる別バージョンはあるのかと尋ねられると、フェネル監督は、「すごく良いアイディアだけど、私たちは、撮影したすべての映像を採用したの。この映画は23日間で撮影したから、1日のうちに何度もロケ場所を移動することもあった。もし余分な映像を撮影できていたら、それはそれはクレイジーな別バージョンが出来上がっていたでしょうね」と冗談まじりに回答していた。(フロントロウ編集部)