補聴器は隠すものから、魅せるものへ
今回、NY発のジェンダーレスブランドのプライベート ポリシー(PRIVATE POLICY)から登場するのは、聴覚障がい者の生活を支える「補聴器」や「人工内耳」をサポートしながら、耳を美しく魅せるイヤーアクセサリー。従来の“聴覚障がい者”のイメージをポジティブなものに変えるアイテムとして世界中から大きな注目を集めている。
イヤーアクセサリーを共同開発した俳優、アーティスト、モデル、LGBTQ活動家として活躍するチェラ・マンは「4歳のときに初めて補聴器を受け取ってから、ずっと自分の身体やその魅せ方を完全にコントロールしたいと思っていた」とコメント。
補聴器や人工内耳に救われたことに感謝しつつも、チェラは「補聴器や人工内耳の登場によって、常に隔たりが生じていた。(人工内耳が)自分らしいものだと感じたことは一度もなく、デザインを自分でコントロールすることもできなかった。だから、自分の一部になってしまった機械を(完全に)自分のものに取り戻す方法を常に考えていた」と明かした。
自分らしさを表現するイヤーアクセサリー
そこで、チェラは自分自身の身体のコントロールを取り戻すために、プライベート ポリシーと協力し、耳に簡単に装着できるだけでなく、どんなタイプの補聴器や人工内耳でもサポートできる柔軟性に優れたイヤーアクセサリーを開発。
チェラの特徴的なアートワークを利用した限定コレクションには、ゴールドのイヤーアクセサリーが8種類ラインナップ。価格は約36,300円(330ドル)〜約68,200円(620ドル)で、純利益の50%が米サンフランシスコのろうLGBT支援団体「Deaf Queer Resource Center」に寄付される。
チェラは「初めて耳の上にのせたとき、今まで切断されてた部分が消えたように感じた」とコメント。また、プライベート ポリシーのデザイナーであるハオラン・リー氏とシイン・ク氏は「これらのコレクションは、補聴器や人工内耳を隠すのではなく、補完するために開発した」と語っている。
さらに、チェラ自身が監督・脚本を手がけた同キャンペーンの動画には、聴覚障がい者コミュニティーからBIPOC(※)をキャストに起用。「耳の不自由な人の美しさ(The Beauty of Being Deaf)」を題材にした動画では、水中で手話を使って詩を朗読し、「水中でコミュニケーションがとれることが、いかに美しいものか」と問いかけている。
※BIPOCとは:Black(黒人)、 Indigenous(先住民)、People of Color(有色人種)の頭文字を取って形成された言葉で「白人以外の人種」を指す。
補聴器や人工内耳をカスタマイズしなくても、気軽におしゃれが楽しめる「イヤーアクセサリー」。残念ながら、こちらのアイテムは日本への発送は行なっていなけれど、こういったアイテムが誕生すること自体、非常に喜ばしい変化と言えるだろう。(フロントロウ編集部)