テイラー・スウィフトの再録アルバム第1弾『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』がついにリリース。いくつかの収録曲では、歌詞の一部が微妙にチェンジされている! ささやかな変更に込められた意味とは? (フロントロウ編集部)

テイラー・スウィフトの再録版『フィアレス』がリリース

 音楽マネージャーのスクーター・ブラウンとの原盤権買収・売却騒動をめぐり、自身の過去の楽曲の原盤権を取り戻すべく、デビューから2018年のレーベル移籍までにリリースした計6作のアルバムの再レコーディングを決行しているテイラー・スウィフトは、4月9日、ついに再録版の第1作目となるアルバム『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』をリリース。

 同作は、2008年にリリースしたセカンドアルバム『フィアレス(Fearless)』の全収録曲を新たにアレンジ&レコーディングし直した「Taylor’s Version(テイラーズ・バージョン)」と呼ばれる新バージョン20曲と、オリジナル版の制作と同時期に書かれたものの、さまざまな事情によりこれまで世に出ることがなかった、「From the Vault(フロム・ザ・ヴォルト)」と呼ばれる秘蔵曲6曲を合わせた計26曲が収められている。(※)

※デラックス・エディションには「LoveStory」のエルヴィラ・リミックスもボーナストラックとして収録。

 『フィアレス』の制作・リリース当時は17歳~18歳と思春期の真っただ中だったテイラー。いまや30代の大人の女性へと成長を遂げた彼女と一緒に、もう一度ティーンだった頃の気持ちに戻れる『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』は、何とも言えない懐かしさを感じるだけでなく、深みとスキルが格段にアップしたテイラーの歌声がじんわりと心に染み入ってくる。


オリジナル版とは歌詞がチェンジされている曲がある

 そんな『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』には、オリジナル版の歌詞の一部にほんの少しだけ変更が加えられた楽曲がいくつかある。

 “耳ざとい”ファンたちによってさっそく発見された歌詞の違いを紹介。その変更が意味することって?

※以下、歌詞の和訳はフロントロウによるものです。

「ユー・ビロング・ウィズ・ミー」

 2009年にリリースされ、日本でも人気が高いヒット曲の「ユー・ビロング・ウィズミー(You Belong with Me)」。

 オリジナル版には「I’m in the room, it’s a typical Tuesday night.(私は部屋にいる/いつもと変わらない火曜日の夜)」という一節が登場するが、再録版では「I’m in my room, it’s a typical Tuesday night.(私は自分の部屋にいる/いつもと変わらない火曜日)」となっている

 「the」から「my」へと所有格に変更されたのは、再レコーディングによりテイラーがようやくこの曲を含む過去の楽曲の原盤権を取り戻せたことを意味しているのではないかと推測されている。


「スーパースター」

 『フィアレス』のプラチナム・エディションに収録された「スーパースター(Superstar)」は、テイラーが淡い恋心を抱いていたアーティストについて歌った楽曲。彼にとっては自分も大勢いるファンの1人にすぎず、想いが届くことはきっとないだろうと知りながらも、自分に好意を持ってくれたらと夢見る乙女心を歌っている。

 オリジナル版のファーストコーラスには「So dim that spotlight, tell me things like/ Ican’t take my eyes off of you(スポットライトを暗くして、“君から目が離せない”みたいなことを言ってよ)」という歌詞が。

 再録版では、後半部分が「I can’t keep my eyes off of you(“君から目を離し続けることができない”)」と継続を意味する「keep」に変わっている。ただし、セカンドコーラスとサードコーラスでは、オリジナル版と同じ「take」が使われている。

 これにはどんな意味が込められているのかはわからないが、ごくごく小さな変更ながら、コアのファンの間では話題になっている。


「バイ・バイ・ベイビー」

 From the Vault(蔵出し曲)の1つとして『フィアレス(テイラーズ・バージョン)で正式にお披露目された「バイ・バイ・ベイビー(Bye Bye Baby)」は、じつは、「One Thing(ワン・シング)」という、まったく違うタイトルで数年前に流出したことがある。

 この曲に関しては、いくつもの歌詞が変更されており、以前のバージョンでは、コーラス部分の歌詞は、「All you have is to walk away from the one thing I thought would never leave me(あなたに残された道は私が決して失うことはないと思っていた唯一ものから立ち去ることだけ)」となっていた。

 しかし、再録版では「And all I have is your sympathy because you took me home but you just couldn’t keep me.(私に残されたのはあなたからの同情だけ/だってあなたは私を家に連れ帰ったけど、私を留めておくことはできなかったから)」と少し大人の色気を感じさせるフレーズに差し替えられている。

 この変更は、『フィアレス』をリリースした当時テイラーはまだ10代で、性的なイメージを連想させる歌詞は避けていたものの、今なら気にすることなく自由に表現できるという解放感を象徴しているのではないかと受け取られている。


 かなりさりげないものから、ごっそり差し替えられている箇所までさまざま。『フィアレス』と『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』をじっくり聴き比べてみると、もしかしたら、もっと歌詞や表現の変化が見つかるかも。(フロントロウ編集部)

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