今年の第63回グラミー賞で主要部門の1つである最優秀新人賞にノミネートされていたアーティストのチカ(24)が、音楽活動からの引退を発表した。(フロントロウ編集部)

チカが音楽活動を引退することを表明

 今年の第63回グラミー賞で、メーガン・ジー・スタリオンやドージャ・キャットらと並んで主要部門の1つである最優秀新人賞にノミネートされ、3月12日には最新EP『ONCE UPON A TIME(ワンス・アポン・ア・タイム)』をリリースしたチカ(CHIKA)が、音楽活動を引退することを発表した。

画像: チカが音楽活動を引退することを表明

 ナイジェリア出身の両親のもとに生まれた現在24歳のチカは、2018年にカニエ・ウェストの「Jesus Walks」のビートに乗せて披露したフリースタイルが一躍話題になり、2019年7月には、ワーナー・ミュージックとレコーディング契約を締結。ファッションの面でも、リアーナがプロデュースするランジェリーブランドSavage X Fentyのファッションショーに抜擢されるなど、注目度を高めていた。

 チカはクィアであることも公表しており、これまで、LGBTQ+の権利や、人種差別問題、ボディポジティブなどの社会問題について積極的に声をあげてきたことで知られている。

チカがツイッターに声明を発表

 今回、チカはツイッターに声明を発表して、「メンタルヘルスへの負担」を理由に、音楽活動を引退することを表明した。

 チカは、「まったく気にかけてくれることなく、自分をヴィラン(悪役)として見なしてくる世間を見るのは爽快だね」というタイトルがつけられた声明のなかで、「私は今日、業界における精神的な負荷が、容易には立ち直れない程になったことを理由に、引退を考えているということをシェアしました。私はチームに伝え、セラピストにも伝え、友人にも伝え、知り合いにも伝え、今日は、ツイッターでもシェアしました」と、メンタルヘルスへの負荷を理由に、引退する考えを発表。

 チカによれば、引退の考えを表明した後で、一部の人々から心ないコメントが寄せられたといい、「憂鬱な気分の時には、自分のなかからネガティブな声しか聞こえなくなります。自分の感情とも闘わなければいけないのに、その上から変人たちが乗っかってくることを想像してみてください」と、自身に誹謗中傷を寄せてきたユーザーたちを批判。

 「それはまったくクールなことではありません。『釣り行為』でもなければ、『スタン(※)・カルチャー』でもなく、もう後戻りできないところまで相手を追い込んだということなのです」とチカは続けて綴り、次のように声明を締め括った。「そういうわけで、私は辞めます。もしこれで改善しなければ、もう一度トライします。もうどうでもいいです。せいぜい楽しんでください。私は好きになれませんでした」。

※エミネムが2000年に発表したシングル「スタン(Stan)」から生まれた、“特定の有名人の熱心なファン”を意味する言葉。2017年にはオックスフォード英語辞典に登録されている。エミネムの「スタン」では、エミネムに執着するあまり、エミネムが気にかけてくれないことを理由に自ら命を落としてしまうファンが描かれている。

カーディ・Bがサポートを表明

 チカが引退を表明したことを受け、ラッパーのカーディ・B(28)はチカへのサポートを表明。カーディは、チカの声明を引用する形で、「悪魔があなたを試しているか、神様があなたの信仰心を試していると考えてみたらどう?」と促した上で、「私は勝利を収め、多くを達成してきたけど、それでも人々は、私が懸命に頑張ってきたすべてを剥がしてこようとする」と、大きな成功を収めた今でも自分には批判が寄せられるとツイート。

 「私は今でも、『もう私が辞めて、弱い私を笑ってもらう? それとも、私が勝利を収めて、そいつらを怒らせる?』って考えるよ」とカーディは続け、辞める選択肢が頭によぎることがあると明かした。

 続く投稿で、カーディは「あなたはその才能でグラミーにノミネートされたでしょ! 私を信じてほしい。あなたを見ている人たちはいるし、応援している人たちもいる。(邪魔する人たちは)ブロックして、自分自身のマーケットを突き進んで行くの! 人生を変えるには、たった1曲で良いのだから」とチカに激励のメッセージを送り、自分に否定的な人々のことを気にすることなく、どうか音楽活動を続けてほしいとエールを送った。

 記事執筆時点で、チカはカーディからのコメントに反応を示していない。(フロントロウ編集部)

 

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