アメリカのコストコで、新型コロナウイルスのワクチン接種完了を理由に“マスクなし”で入店しようとした会員が門前払いを食らった。企業や施設によって対応にばらつきがあるので、今後、こういった事例がさらに増えそうな予感。(フロントロウ編集部)

コストコで入店拒否騒動

 アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスにあるコストコで、マスク着用をめぐって会員と店員のあいだにひと悶着あり、対応にあたった店員が罵声を浴びせられる出来事があった。

 ご存じの方も多いとも思うが、新型コロナウイルスのワクチン接種が進むアメリカではwithコロナ時代の象徴である“マスク離れ”が加速しており、米疾病対策センター(CDC)も、一部例外を除いて、ワクチン接種が完了した人は屋外だけでなく、屋内でもマスクの着用やソーシャル・ディスタンス(社会的距離)を確保する必要はないと発表している。

 それを受けて、街にはマスクなしで歩く人たちがあふれているほか、これまでかなり厳しい新型コロナ対策を実施してきた、ディズニーランドやユニバーサル・スタジオなどのテーマパークもマスクルールを緩和する方向で調整するなど、脱マスクが現実のものに。

 ちなみに、当該の会員の言い分は、「自分はすでにワクチン接種をしているから大丈夫」、「CDCもワクチンの接種が完了した人はマスクをする必要はないと言っている」というものだったが、コストコはみんなが安心して買い物ができる環境を整えるためにも、しばらくのあいだは会員にマスク着用を義務付ける方針をかかげている。

画像: コストコで入店拒否騒動

 そのため、入口でチェックを行なっていた店員は、6月中旬頃にはルールが変わるかもしれないと前置きしたうえで、少なくとも今はまだ「マスクをしなければ店の中に入れることはできません」と入店をお断り。それに納得がいかなかった会員は、一方的に腹を立て、店員に向かって自分の言い分をまくし立てた。

騒ぎを起こしたのは元人気子役

 じつは、今回騒ぎを起こしたのは、1979年公開の映画『チャンプ』で名優ジョン・ヴォイト扮するボクシングの元世界チャンピオン、ビリーの息子TJを演じた元人気子役のリッキー・シュローダー(※一時期、リック・シュローダーに改名するも2007年にリッキーに戻した)。

 この作品での演技が高く評価され、ゴールデン・グローブ賞の新人賞を受賞したリックは、その後も数々の映画やドラマに出演してきたが、二度にわたってドメスディック・バイオレンス(家庭内暴力)で逮捕されるなど、私生活上の悪評がもとで近年は俳優として開店休業状態が続いている。

画像: 騒ぎを起こしたのは元人気子役

 入店を拒否されて逆上したリッキーは、その後、店員とのやりとりを記録した動画を自身のFacebookにアップ。それがきっかけでこの件が明るみになり、皆の知るところとなったのだが、世間の声を聞くと圧倒的にコストコを支持するものが多く、店員を吊し上げたつもりが逆に自分が吊し上げられることに。

 対して、最後まで辛抱強く「コストコは常に法律を遵守する以上のことをしています」、「カリフォルニア州でのマスク義務は変わっていません」とリッキーを諭し続けた店員には、称賛の声が集まっている。

 元々、日本のようにマスク文化が定着していなかったアメリカでは、いまだにマスクに拒否反応を示す人も多く、ワクチン接種が普及する前から今回と同様の理由で入店拒否される人が一定数いた。ワクチン接種が進むのは喜ばしいことだが、接種完了者のマスクの有無をめぐっては、企業や施設によって対応にばらつきがあるので、今後、こういった事例はさらに増えることが予想される。(フロントロウ編集部)

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