超注目のパンクバンド、The Linda Lindas
アメリカで1つの動画が話題をさらっている。
10歳のミラ、13歳のエロイーズ、14歳のルシア、16歳のベラからなる「The Linda Lindas(ザ・リンダ・リンダズ)」は、アジア系とラテン系のミックスであるメンバーからなるパンクバンド。
彼女たちが先日、ロサンゼルス公共図書館でパフォーマンスを行なった様子を収めた動画がオンライン上で大反響を呼んでいる。その時彼女たちが歌った楽曲は、「Racist, Sexist Boy(レイシスト、セクシスト・ボーイ/人種差別主義、女性差別主義な男の子)」。
ドラマーのミラはパフォーマンスの前に、「ロックダウンに入る少し前に教室で男の子に、パパから中国人には近づくなと言われたと言われた。私は中国人だと彼に言ったら、彼は私から逃げた。エロイーズと私は、その経験からこの曲を書きました」と語った。
アメリカを筆頭とする各国では、新型コロナウイルスが最初に確認された場所が中国の武漢であったことから、中国人へのヘイトクライムが急増している。ミラの経験もその影響を受けていると言える。そして、まだ幼い彼女たちは、その経験からどのような音楽を作り出したのか。
彼女たちが生み出した楽曲、「レイシスト、セクシスト・ボーイ」がこちら。
ボーカルのエロイーズが「君は人種差別主義者で性差別主義者な男の子/それを楽しんでるいる/フェイクダンス 発砲 そして破壊」と叫び、ミラが「君はいじわるなことを言う/自分が嫌いなことには頭をシャットダウンして/自分が見たくないものからは逃げる」と歌う。
低音のメロディーラインに、エロイーズの心の底から煮えたぎる熱が伝わる発声。ミラの叫びに、ルシアとベラのギター。これぞ、パンク!
まだ10歳から16歳の子供たちが、ここまで完成された音楽を作り出したとは、その才能に賛辞を贈らずにはいられない。
エピタフ・レコードがリンダ・リンダズと契約
とはいえ、リンダ・リンダズはすでに、ベスト・コースト、マニー・マーク、さらにはディルズ、ジ・アレイ・キャッツのオープニングアクトを務めたこともあり、2019年にはビキニ・キルのキャスリーン・ハンナから直々に指名されて、彼女たちの前座を務めたという経歴を持つ。
ビキニ・キルの前座を務めたリンダ・リンダズ。
そしてじつは、ミラの父親はグラミー賞を受賞したことのある音楽プロデューサー/エンジニアで、エロイーズの父親は、アジア系アメリカ人のポップカルチャーを専門に扱う雑誌Giant Robotの共同創設者で、編集者。そのことから、彼女たちが幼い頃から、良い環境でその音楽性に影響を受けてきたことが分かる。
そのなかで努力を続けたリンダ・リンダズが、ついにレコード契約。しかもその相手は、パンク・ロック・レコードレーベルとして熱烈なファンを持つエピタフ・レコード。
エピタフ・レコードはその契約に関して詳細は明かしていないけれど、リンダ・リンダズの更なる飛躍は必至。その他の彼女たちの音楽は、リンダ・リンダズのYouTubeチャンネルで聞くことが出来る。(フロントロウ編集部)