人気ブロードウェイミュージカルの映画化ブームが続くなか、2017年にトニー賞を総なめにしたミュージカル『ディア・エヴァン・ハンセン(Dear Evan Hansen)』の映画版が2021年9月に全米で公開される。(フロントロウ編集部)

【作品概要】ブロードウェイの名作『Dear Evan Hansen』

 『ディア・エヴァン・ハンセン(原題:Dear Evan Hansen)』は、2016年にブロードウェイで高評価を得たミュージカル。公演にはヒラリー・クリントンやマーク・ジェイコブス、デミ・ロヴァートなど多くのセレブが駆けつけ、ミュージカルの最高峰と言われるトニー賞では翌年2017年に司会者のケヴィン・スペイシーがオープニングで劇中歌を歌って盛り上がった。そして本作は、トニー賞でノミネートされていた9部門のうちミュージカル作品賞、ミュージカル脚本賞、ミュージカル主演男優賞、ミュージカル助演女優賞、オリジナル楽曲賞の6部門を受賞して、この年の話題をさらった。

画像: 第71回トニー賞で主演男優賞と助演女優賞を受賞した、ベン・プラット(右)とレイチェル・ベイ・ジョーンズ(左)。

第71回トニー賞で主演男優賞と助演女優賞を受賞した、ベン・プラット(右)とレイチェル・ベイ・ジョーンズ(左)。

 そんな名作ミュージカルがユニバーサル・ピクチャーズによって映画化され、2021年9月24日に全米で公開される。主人公のエヴァン・ハンセンは、ブロードウェイミュージカル版でその演技が高く評価されたベン・プラットが続投。監督は、実写版『美女と野獣』やミュージカル『レント』の映画版で脚本を担当したスティーヴン・チョボスキーが務める。

【あらすじ】主人公の嘘が大きくなり…

 『ディア・エヴァン・ハンセン』の主人公エヴァン・ハンセンは、不安症のせいで人付き合いが苦手な青年。アメリカではギプスを着けると友情の証としてまわりにギプスにサインしてもらうカルチャーがあるけれど、エヴァンのギプスに名前はない。そんな彼はセラピストに勧められて、自分自身に宛てた手紙を書くという試みをしている。

 するとある日、エヴァンが密かに思いを寄せるゾーイのきょうだいであるコナーにその手紙を奪われてしまう。中身が暴露されるのではとエヴァンが怯える中、数日後、エヴァンはコナーの両親からの訪問を受ける。そこで伝えられたのは、コナーが自殺したということと、コナーの部屋からエヴァンに宛てた手紙が見つかったということ。

 しかしもちろんこの手紙はエヴァンが自分自身に宛てて書いたもの。亡き息子コナーの姿を息子の“親友”であるエヴァンに重ねて喜ぶコナーの両親を前に本当のことが言い出せないエヴァン。そしてエヴァンの嘘の影響は次第に大きくなっていき…。

 ちなみにエヴァンが着ける、CONNORと描かれたギプスは、生前にコナーが皮肉を込めてサインしたもの。

【見どころ】青春エモい楽曲で送るジェットコースターのような物語

 『ディア・エヴァン・ハンセン』でまず注目なのは、トニー賞ミュージカル脚本賞を受賞したストーリー。自殺した青年の親友じゃないのに親友なフリをしてしまい、それがあれよあれよと事を大きくしてしまう、ジェットコースターのように目まぐるしい展開が待つ。

 そしてそんな脚本を彩るのが、親友と言える友達がいない主人公の気持ちを歌にしたエモい楽曲の数々。なかでも、いつもひとりぼっちで部外者な自分について歌ったパワーバラード「Waving Through a Window」は米ダンスクラブソング・チャートで1位を獲得。人気アカペラグループのペンタトニックスにカバーされたこともある。

 この曲をはじめ劇中でエヴァンを演じるベン・プラットのパフォーマンスは当時最年少でトニー賞ミュージカル主演男優賞を受賞するほど大絶賛されており、ベンは今では、ドラマ『グリー/glee』のクリエイターであるライアン・マーフィーが才能を絶賛する俳優としてテレビ界でも活躍している。

 また本作は、メンタルヘルスや若者の自殺といったテーマを扱った作品としても評価を得ている。

 映画『ディア・エヴァン・ハンセン』は、2021年9月24日に全米公開予定。日本公開は未定。(フロントロウ編集部)

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