※この記事には、『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン5とシーズン6のネタバレが含まれます。(フロントロウ編集部)
『GoT』サーセイ・ラニスターの復讐
2011年から2019年にかけて放送され、世界的大ヒットを記録したドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』。群像劇である本作には、メインキャラクターの他に多数のキャラクターたちが登場した。
過激な争いが描かれたシリーズにおいてはサブキャラクターであっても、視聴者が目を覆いたくなるほどの過酷な展開に陥ることは多かった。とくに各キャラクターたちの復讐は、過激ながらもスカっとするものもあったけれど、ドラマのなかで悪女と言われたサーセイ・ラニスターによる復讐は、なんとも言えない気分になった視聴者も多い。
サーセイの復讐。それは、シーズン6の最終話で起こったセプタ・ユネラに対するもの。
『GoT』セプタ・ユネラ役、10時間の拷問撮影
レナ・ヘディが演じたサーセイが地下にセプタ・ユネラを捕まえ、彼女の顔にワインをぶっかけ、マウンテンに引き渡したシーンを覚えているだろうか。サーセイが去った後、マウンテンがセプタ・ユネラに何をしたのかは分からず、彼女の叫び声だけが響き渡ったこのシーンは、短いながらも、見ていて後味の悪いものだった。
視聴者のなかには、マウンテンが彼女をレイプしたと予想した人も少なくなかったけれど、セプタ・ユネラを演じたハンナ・ワディンガムによると、その展開は制作陣の頭の中にあったものの、その前に起こったサンサ・スタークがレイプされるという展開に対して大きな批判があったため、取りやめになったという。
「彼女はマウンテンにレイプされるはずだった。しかしサンサのレイプに関して非常に多くの批判が寄せられたから、そうしなかった」と、米Colliderのインタビューで明かしたハンナは、撮影場所へ向かう途中で、ウェットスーツが必要になるという連絡を受けたという。
そして現場に着き、その理由を聞いた時に、「代わりに水責めです」と言われたとのこと。セプタ・ユネラが復讐されるシーンは短いものだけれど、じつはあの撮影には、なんと10時間もの時間が費やされたという! つまりハンナは、演技といえど10時間拷問され続けたということになる。
この経験から、水の近くにいる時に閉所恐怖症になったというハンナは、撮影をこう振り返る。
「木のテーブルに、強固なストラップによって10時間も結びつけられた。もちろん、出産以外での、人生で最悪の日だった。レナは水を私の顔に浴びせ続けることに良い気持ちはしてなかったし、私は我を忘れたわ。その時考えなくてはならなかったのは、そのシーンをやりきるか、逃げ出すかだった。『ノー。わたしが契約したのはこんなことのためにじゃないとかなんとか…?』。
そして、おもしろかったのは、1日をかけた撮影を終えたあと、監督のミゲル・サポチニクが紅茶を入れたコップとサンドイッチを手に持って通りかかって、『やあ。元気?』って。私は『そんなに』って感じだった。『スタッフが、僕たちは君を本気で水責めにしてるって言ってるんだけど』って言うから、『そうだね。言われなくても分かってる!』って」
しかも、『ゲーム・オブ・スローンズ』で彼女を知った視聴者にはあまり知られていないことだけれど、ハンナは舞台ミュージカルの俳優としてイギリスで最も権威ある演劇賞のローレンス・オリヴィエ賞に複数回ノミネートされたことがある俳優。
声を大切にする彼女は、このシーンで首にストラップを巻かれることにも不安を感じたそうだけれど、役作りのために了承したという。
聞いているだけで過酷な撮影について、ハンナは笑いながら振り返ったけれど、とはいえ、あることには納得がいなかったそう。それは、そこまで時間と労力をかけて撮影したシーンが、結局1分半ほどしか使われなかったから。
その点については、実際に制作陣に直接苦情を伝えに行ったという。
(フロントロウ編集部)