大の親日家として知られるシンガーのグウェン・ステファニーが、かつて日本人を中心に構成されたバックダンサー集団「原宿ガールズ」を率いていた時に“文化の盗用”だと指摘されたことについて改めて語った。(フロントロウ編集部)

原宿好きで知られるグウェン・ステファニー

 ロック・バンド、ノー・ダウトのボーカルにして、2004年にデビューアルバム『ラヴ・エンジェル・ミュージック・ベイビー』をリリースして以降、ソロシンガーとしても活動しているグウェン・ステファニーは、日本のファンの間で大の親日家として知られているアーティストの1人。ソロとしてデビューしてしばらくは、「原宿ガールズ」と名付けた日本人と日系アメリカ人のバックダンサーたちを率いていたほか、同名のシングル「Harajuku Girls」もリリースしている。

 また、2015年から2019年までアメリカで放送された、その名も『Kuu Kuu Harajuku(原題:クー・クー・原宿)』と題したアニメも手がけるなど、グウェンは長きにわたって日本の原宿への愛を示している。

 今回、グウェンは米Paper誌とのインタビューで日本への愛を改めて語っており、日本に本格的に魅了され始めたのは、ノー・ダウトとして1996年に日本ツアーを行なった時だったとし、日本を初めて訪れたのは「私にとって大きなことだった」と振り返っている。「ただただ魅了されたの。別世界という感じでね。当時は、インターネットで情報を手に入れることができない時代だったから、より離れた世界のように感じたの。世界にアクセスできないことがどのようなものか、若い世代の人たちにはきっと分からないでしょうけど」と続けて語り、まるで別世界のような日本に衝撃を受けたと明かした。

 以降、グウェンはアーティストとして日本でも活躍することが目標になったといい、「実際の歌詞を読んでもらえれば、私が日本のファンであることについて歌っているし、どうすれば日本に戻れるかということについて歌っている」と、「日本に戻るのが待ちきれない/新しいファンがほしい/大阪、東京/原宿の女の子たち」という歌詞が歌われる、2004年リリースのシングル「What You Waiting For?」でもその気持ちを表現していると米Paper誌に説明している。

“文化の盗用”との批判に反論

 ソロデビューした当初に「原宿ガールズ」をバックダンサーに起用した理由について、「日本の原宿の女の子たちがいいと思ったの。原宿の女の子たちが大好きだから。あの子たちは私の仲間。夢が叶うなら、住みたいと思うくらいの場所なの。そこに住んで、原宿に遊びに行けたらって思っていた」と、原宿の女の子たちへの愛からだと米Paper誌に語ったグウェンだけれど、起用していた当時には、“文化の盗用”ではないかとする批判も。

文化の盗用(Cultural Appropriation)
あるグループ特有の文化をそのグループに属さない人が流用して利用することで、主にマイノリティの文化を流用したときに起こりやすい議論。マイノリティのファッションや言語、音楽などが世界中で楽しまれるなかで、社会の中でマイノリティの差別がなくならないことは、矛盾しており間違っているという考えが背景にある。

 今回、グウェンはそうした当時の批判についても改めて反論しており、「もし私たちが別のカルチャー同士を買ったり売ったり、取り入れ合うようなことをしていなければ、ここまでの美しさを手にすることができていなかったと思う。そうじゃない?」と米Paper誌に語っている。「私たちはお互いから学び、お互いにシェアし合い、協力しながら成長していくの」。

 「そういう縛りのようなものが、私たちをより分断していると思うよ」と、グウェンは異文化を取り入れることを“文化の盗用”と批判されることがある風潮について指摘した上で、日本や原宿の文化への純粋な愛から取り入れたものであることを改めて強調した。

 一方で、欧米では日本の文化がエンタメ界や飲食業など様々な分野で取り入れられているなかで、欧米では日系人を含むアジア系への差別発言や暴力が新型コロナウイルスの流行がきっかけで増加しているという事実もある。著名人や企業が他民族の文化を取り入れる行為は、cultural appreciation(文化の賞賛)かcultural appropriation(文化の盗用)かという議論はつねに続いている。グウェンの今回の発言にも、SNS上でも賛否別れて様々な意見が飛び交っている。(フロントロウ編集部)

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