男性共演者の10分の1のギャラ、ジリアンの怒り
世界的大ヒットドラマ『X-ファイル』で、主人公のうちの1人であるダナ・スカリーを演じ、一躍トップ俳優となったジリアン・アンダーソン。シリーズ終了後は舞台に活動の場を移し、イギリスで最も権威ある賞と言われるローレンス・オリヴィエ賞に3度ノミネートされている。また、最近ではNetflixドラマ『ザ・クラウン』や『セックス・エデュケーション』などでの演技も高く評価されている。
そんなジリアンは、『X-ファイル』において、もう1人の主人公であるモルダー役のデイヴィッド・ドゥカヴニーとの間に大きな賃金格差があったことを明らかにしている。とくにジリアンが衝撃を受けたのは、1993年~2002年に放送されたオリジナルシリーズでの賃金格差でなく、その後2016年にドラマが復活した時にも賃金格差があったこと。
「ここ数年のインタビューで、みんなが私に『(ドラマ放送当初のギャラに関して)起こっていたことが信じられません。どう思っていたんですか?おかしすぎます』って話してきた時は、私の返答はいつも『あの頃はあの頃。そしてこれが今』というものだった。なのに、それ(賃金格差)がまた起こった!なんと言えばよいのか分からない」
米The Daily Beastにそう語っていたジリアンが、米Hollywood Reporterのインタビューで、改めて賃金格差について口を開いた。
「明確にしておきたいのは、私が賃金格差のために初めて闘ったのは、他の人から考えたら非常に厚かましい時代からだった。なぜなら、あのシリーズ(『X-ファイル』)を始めた時に私は無名だったから。でも、私が本気で声をあげたのは、4、5年前にふたたびそれが起こった時だった。すでに『X-ファイル』の後にキャリアを築いてからのこと。
新たなシーズンをやることになって、(制作局の)フォックスが私にオファーしてきた。詳しくは知らないけど、共演者がオファーされた金額の10分の1(の額)くらいがオファーされた。それによって、『こんなのくそくらえ。これについて(公に)話す』って決めた。それ以降はとくに話題になってないけど。私はあまり男性と働いてこなかったから、そういった問題がなかったんだけどね(笑)」
ジリアン・アンダーソン、差別に声をあげること
同等の主人公の2人であり、ジリアンは権威あるアワードにノミネートされるほどのキャリアを積んだ俳優となっていたにもかかわらず、2人のギャラに差があることに納得の理由はつけられない。しかもその差は10分の1ともなれば、ジリアンが声をあげたのは当然。
一方で、自分が主人公である作品において声をあげるリスクはそこまでないとし、賃金格差に直面する若手女性俳優たちを気にかけた。
「それについて意識しているし、今起きたとしたら発言する。でも私は、賃金の支払いや雇用といった自分たちの権利について立ち上がる人々に、大きく感服している。あと、『X-ファイル』においては、彼らは私をクビにはできないでしょう。リスクは高くない。私は断固として譲らなかったけど、それはリスクがあまりなかったからではなくて、もし私がクビになったら、誰かが問題にしてくれるだろうから。それは、働こうとしている若い女性が、横暴なボスに賃金の値上げを求めるのとは大きく違う」
ハリウッドだけでなく、社会のほとんどの場所で、女性のほうが賃金が低いという賃金格差・女性差別が起こっている。ハリウッドにおいては、これまでにも、ミシェル・ウィリアムズやジェニファー・ローレンス、ローラ・ダーンなど、多くの俳優が賃金格差に声をあげてきている。(フロントロウ編集部)