TikTokへの投稿を始めてから1年未満で世界3位のフォロワー数(アジア系1位)を誇るインフルエンサーとなったベラ・ポーチ。そんなベラが5月14日にリリースした「Build a Bitch」のミュージックビデオが、YouTubeにおいて公開1週間で7,500万回再生され、デビュー曲としての歴代記録を更新。フィリピンに生まれ、日本での居住経験も持ち、日本のカルチャーからも絶大な影響を受けたというベラってどんな人?(フロントロウ編集部)

デビュー曲としてYouTubeの史上最高記録を更新した「Build a Bitch」

 2021年5月14日にリリースされたミュージックビデオが、YouTubeにおいて公開から1週間で7500万回再生を記録し、デビューシングルとしての歴代最高記録を叩き出した。そのデビューシングルとは、フィリピン系アメリカ人TikTokerであるベラ・ポーチ(Bella Poarch)による「Build a Bitch(ビルド・ア・ビッチ)」。

 この曲はYouTubeにおいてデビュー曲のMVとしての歴代記録を更新しただけでなく、2021年5月29日付の米Billboardによる全米シングルチャートで58位デビューしたほか、2021年5月28日の全英シングルチャートでも32位にランクイン。さらには、ここ日本でもヒットし、SpotifyのTOP200にランクインした。

画像: デビュー曲としてYouTubeの史上最高記録を更新した「Build a Bitch」

「Build a Bitch」ってこんな曲

 「ビッチをカスタムする」という大胆なタイトルがつけられているこの曲は、タイトル通り“好みの女の子をカスタム”しようとする男の子たちに向けて、「完璧を求めるなら、私はあなた向けじゃない」とメッセージを投げかける楽曲。

丸文字みたいな曲線美で
ヴァージンで意地悪で
そんな女の子が好みなんだって
でもあいつ忘れてる

女の子はカスタムできない
好きなパーツは選べない
お尻を変えて、胸は大きく
目は茶色にするか青にするか

女の子はカスタムできない
私は欠点だらけで意見も言う
完璧を求めてるなら、私は向いてない

男の子はゴルフに夢中で
バービー人形みたいな子を探してる
ケンと似ても似つかないくせに
心が死んでるみたい
壊れそうな子しか相手にできない
自分が王子様を演じたいから

 デビュー曲としての歴代記録を更新したミュージックビデオのストーリーは、ベラ本人が考案したものとなっていて、ビデオの舞台は、楽曲のテーマにちなみ、女の子たちが男性の理想に敵うようにカスタムで作られている工場。他の女の子たちと同様、この工場でカスタムされていたベラが途中で反逆に目覚め、女の子たちを引き連れて工場を破壊するという物語が描かれている。

 このビデオには、多くの有名インフルエンサーたちが出演しており、アダルト業界から騙されたと声を挙げてきたことで知られるミア・ハリファや、大人気YouTuberのヴァルキリーブレットマン・ロック、ZHCことザッカリー・シェ(Zachary Hsieh)ダイナ・シーヴァ(Dina Saeva)ラリー(Larray)ラキム(Rakhim)サブ・アーバンらが出演している。

 ベラはオンラインの人気インフルエンサーたちに出演してもらった理由について、米Vogueに次のように語っている。「彼らの全員がとてもユニークで、唯一無二の才能の持ち主。誰かを見た目で判断してはいけないし、誰もが完全無欠ではなく、人とは違っていて、個性的という、この曲のメッセージを体現している人たちこそ、ビデオに出演してくれた彼らだと信じてる」。

画像: 「Build a Bitch」ってこんな曲

ベラがアジア系ナンバーワンのTikTokerになるまで

 アジア系インフルエンサー/Tik Tokerとしては最多となる、7,000万人以上のフォロワーを持つベラ・ポーチ。この数字は、TikToker全体で見ても、1億1,600万人以上のフォロワーを持つナンバーワンTikTokerのチャーリー・ダミリオ、シンガーや俳優としても将来を期待されている8,000万人以上のフォロワーを持つアディソン・レイに次ぐ、世界3位のフォロワー数を誇っている。

画像: TikTokerとして唯一フォロワー1億人超えのチャーリー・ダミリオ(左)、米Forbesが発表した2020年版の「世界で最も稼ぐTikTokerランキング」で1位に輝いたアディソン・レイ(中央)に次ぐフォロワー数を持つベラ・ポーチ(右)。

TikTokerとして唯一フォロワー1億人超えのチャーリー・ダミリオ(左)、米Forbesが発表した2020年版の「世界で最も稼ぐTikTokerランキング」で1位に輝いたアディソン・レイ(中央)に次ぐフォロワー数を持つベラ・ポーチ(右)。

 今や世界ナンバー3のTikTokerにまでなったベラだけれど、ベラがTikTokに投稿するようになったのは、なんと2020年4月から。わずか1年あまりでアーティストとしてのデビューを果たし、YouTubeにおける記録まで更新してみせたベラは、TikTokを始めたのは「自粛生活で退屈していたから」という、至ってシンプルな理由だったと米Inked誌に話す。

海軍に所属していた経歴の持ち主

 そんなベラが、新型コロナウイルスのパンデミックで退屈してしまう以前、どんな活動をしていたかというと、なんとアメリカ海軍に在籍していたという、シンガーとしてはなかなか異色の経歴の持ち主。

画像: 2018年、海軍に在籍していた頃のベラ。

2018年、海軍に在籍していた頃のベラ。

 フィリピンで生まれたベラは、13歳の時にアメリカのテキサス州に移住。そこでは、フィリピン人であるが故にイジメも経験したといい、「お母さんがよくランチ用にフィリピンの料理を作ってくれたんだけど、その匂いが変っていうことで、よくからかわれていたし、見た目もよくバカにされていた」と英Vogueにツラい過去の思い出を明かしている。「私は変わり者として扱われて、アジア人だという理由で、見下されていたように感じていた」。ベラによれば、この時の経験が、デビュー曲「Build a Bitch」のメッセージにも繋がっているという。

 ベラは2015年に海軍に入隊した理由について、「私は自由になりたかった。自立したかったの」と米Vogueに語り、「おかしな話かもしれないけど、海軍のおかげで私はそういう風に感じることができた」と振り返っている。

日本カルチャーからの影響

 そして、ベラに大きな影響を与えたのが、日本の米軍基地に駐留中に出会った日本のカルチャー。ベラは米Vogueとのインタビューで「ミュージシャンとしてのあなたに影響を与えたものは?」という質問に、「海軍として日本に数年間駐留したときに、日本のカルチャーに恋に落ちたの。特に、ファッションやアートにね」と回答している。

画像: 1番好きなアニメは『ワンパンマン』だというベラ。

1番好きなアニメは『ワンパンマン』だというベラ。

 SNSでは、コスプレをしたり、キャラクターのグッズを身につけて踊りを披露したり、作品の感想をつぶやいたりと、たびたび日本カルチャーへの愛を示している。

画像: 『星のカービィ』のキャップを被るベラ。

『星のカービィ』のキャップを被るベラ。

画像: こちらは『NARUTO -ナルト-』に登場する日向ヒナタのコスプレ。

こちらは『NARUTO -ナルト-』に登場する日向ヒナタのコスプレ。

画像: 日本カルチャーからの影響
画像: デビュー曲がいきなり「世界記録」!アジア系ナンバーワンTikTokerベラ・ポーチってどんな人?

「今日は自分とデートに出かけた。『ハウルの動く城』を観て、アイスクリームを食べたよ」

@bellapoarch

Demon Slayer is in theaters now so I put together a special Zenitsu makeup look! Who's watching? �⚠️⭐️ #DemonSlayer #MugenTrain #FunimationPartner

♬ original sound - Bella Poarch

アメリカの映画館で劇場版「鬼滅の刃」無限列車編が公開された際には、我妻善逸風のメイクをお披露目。

TikTok史上最もいいねを集めた投稿

 2020年4月にTikTokへの投稿を始めたベラが初めて投稿したのは、ベッドの上に座りながらヘッドフォンをつけてオンラインゲームをプレイするという映像で、「初めてオンラインでゲームをする時はこうなる」という、いわゆる“あるあるネタ”。

@bellapoarch

Yes, I have a mole on my foot�� ##gamer ##asian ##ps4

♬ original sound - Azia Renee

 その後は、オンラインゲーム関連のネタや、トレンドに合わせたダンス動画といった、一般的な人気TikTokerと同様の投稿が続いたのだけれど、ミリー・Bという英・ブラックプール出身のラッパーによる「M to the B」に合わせてリップシンクするという動画を投稿した2021年8月が、ベラにとってTikTokerとしての1つの転機に。

 なんと、記事執筆時点で4,950万いいねがついているこの投稿が、TikTok史上最もいいねがついた投稿に。ベラの名前は一躍世界に広まることとなった。英Dazedによれば、ベラの投稿がきっかけで2016年に発表された「M to the B」の楽曲そのものの人気も高まり、580万個以上の投稿にこの音源が使われたという。

ウクレレの弾き語り動画をアップ

 ベラにとって、この投稿がきっかけで世界中の多くの人の目に留まることとなったことが自信に繋がったようで、2020年9月にはウクレレで弾き語りしている映像をTikTokに投稿。ベラはその後2020年12月にSNSにアップした長文の投稿のなかで、「有名になる前は、朝起きると鬱やPTSD(心的外傷後ストレス障害)、不安との戦争に向かっていた。私が備えていた最大の武器は、ウクレレで曲を弾き語りすることと、テレビゲームをプレイすることだった」と、憂鬱さや不安を抱えてきたことを明かした上で、「それから毎日、家賃や支払いの心配もしていた」と、支払い面の不安も抱えていたことを告白。

 そんななかで、TikTokへの投稿を始めたおかげで自信を持てるようになり、「人生で初めて、朝起きて戦争に向かうのが楽しみになった。私の人生を変え、もっと重要なこととして、人生を救ってくれたTikTokには『ありがとう』と言いたい」と綴った。

 こうして自身の歌声を世間に公開したことで、ベラの歌の才能に多くのユーザーから称賛の声が集まることになり、エド・シーランやメジャー・レイザー、ジャスティン・ビーバーらとの共作で知られるベニー・ブランコからも、「まだ自分の音楽をリリースしないの?」というコメントが寄せられるまでに。

 そのベニーとは、彼とジャスティン・ビーバーによるシングル「ロンリー(Lonely)」のプロモーションにて、なんとジャスティンも含めた共演が実現しており、3人で共演した動画がTikTokに投稿されている。

ファッションアイコンとしても人気に

 10代の頃には、アジア人らしい見た目が原因でからかわれていたこともあったと辛い過去を明かしているベラだけれど、今やインフルエンサーとして、若者たちが憧れるファッションアイコンの1人に。

画像: アメリカのタトゥー情報雑誌Inkedで表紙に起用されたベラ。 ©️Inked Magazine

アメリカのタトゥー情報雑誌Inkedで表紙に起用されたベラ。

©️Inked Magazine

 ベラはさらに、ヴァレンティノ(VALENTINO)モンクレール(Moncler)YSL BEAUTY(イヴ・サンローラン ビューティ)といったブランドの広告にも起用されている。

@bellapoarch

I was inspired by @yslbeauty to #SpiceItUp with their Rouge Volupte Shine Burning Chilis collection �� #ad

♬ Intoxicated - Martin Solveig & GTA

 こうして、TikTokに動画を投稿し始めてからわずか1年余りで、アジア系としてNo.1インフルエンサーの座に上り詰めたベラ。シンガーとしてのデビュー曲でYouTubeにおける歴代記録まで更新してみせたベラの目標は高く、米Inked誌に次のように話す。「私には、目標にできる女性のアジア系アメリカ人のミュージシャンがいなかった。次の世代のために、私がその穴を埋めたいと思ってる」。

<リリース情報>
Bella Poarch(ベラ・ポーチ)
「Build a Bitch / ビルド・ア・ビッチ」
配信中

画像: ウクレレの弾き語り動画をアップ

Photo:ゲッティイメージズ,Instagram,Twitter、YouTube

(フロントロウ編集部)

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