Z世代の活動家が新たに立ち上げた生理用品のブランド「August」が、海外で注目を集めている。若者をはじめとした多様な人の声を元につくられた生理用品を展開する、「August」をご紹介。(フロントロウ編集部)

注目の生理用品ブランド「August」

 ここ数年、生理用品の選択肢が増えるなど、生理に関する問題をオープンに議論しようという流れが進んできてはいるものの、いまだに生理は恥ずかしいものとタブー視する風潮も残っている。そんな生理のタブーやさまざまな問題を解消するため今年6月に誕生したのが、生理用品を中心に扱う米国発のブランド「August(オーガスト)」。

 Augustは、生理に関わる社会問題に立ち向かう活動家であるナディア・オカモトが、そのビジネスパートナーであるヴィンセント・フォーランドと共同で創業したブランド。現在23歳のZ世代であるナディアは、16歳の頃に「Period.」というNPO団体を立ち上げ、ホームレスをはじめとした生理用品を買うことが難しい人に向けたナプキンの配布や、「タンポン税」を撤廃するための運動を起こしてきた。

※毎月避けられない生理のために使用する生理用品に税金がかけられていることを問題視するために生まれた言葉。アメリカの一部の州では、増毛剤やバイアグラなどは免税の対象なのにもかかわらず、生理用品は課税対象となっている。

 そんなナディアがAugustで生理用品を開発するために力を入れているのが、世界中の多様な若者のリアルな声を製品展開に生かすこと。そのためにブランドが立ち上げた生理について語るオンラインコミュニティ「#InnerCycle」は、中学生や高校生のチームもあるなど、メンバーの多くがZ世代の若者であり、生理を経験するトランスジェンダーやノンバイナリーの人も多く加入しているため、今まで生理用品をつくるうえで見落とされがちだった意見も、製品の開発に生かされている。

画像: Augustの創業者であるナディア・オカモト

Augustの創業者であるナディア・オカモト

とことんサステナブルな生理用品

 Augustは、多くの若者が月経カップなどではなくナプキンやタンポンを使っているとの調査結果をもとに、昼用と夜用のナプキンと吸水量を3タイプから選べるタンポン、パンティーライナーを展開。花柄や蝶などが描かれることが多い生理用品の中で一線を画す、色鮮やかでファッショナブルなデザインが特徴。

 さらに社会問題への意識が高いZ世代の声を元につくられているだけあって、とことんサステナブルな生理用品となっている。

 パッケージを含むすべての部分がリサイクル可能であるだけでなく、カーボンニュートラルであり、生分解性にこだわっている。一般的なナプキンは、分解されるまで5~8世紀かかると言われているのに対し、Augustの生理用品はわずか12ヶ月で完全に分解される。

画像: itsaugust.co

itsaugust.co

 それにくわえて、化学薬品やポリエステル、レーヨン、ダイオキシン、染料などを含まず、100%オーガニックなコットンを使用。製造や材料調達に関する詳細な情報の透明性も高く、倫理的かつ安全な製品であるかをサイトで確認したうえで購入できるのも嬉しい。

生理のスティグマを払拭する活動も

 Augustが行なっている取り組みには、環境や身体にやさしい生理用品の開発だけでなく、生理に対するさまざまな偏見や社会問題を払拭するための活動も。

画像: 生理のスティグマを払拭する活動も

 同ブランドは、アメリカの一部の州で残る「タンポン税」に対抗するため、ブランド側がその税金を負担。さらに、生理用品が購入できない学生を支援するために学校へ製品を寄付したり、売り上げの10%を生理の貧困を終わらせるための活動を行なう団体へ寄付している。

 また、オンラインコミュニティ「#InnerCycle」だけでなく、生理に関係するありとあらゆる質問への医師の回答をまとめたデータベース「AskAugust」も運営。無料で誰でも閲覧できて、生理に関するさまざまな問題について学ぶこともできる。

 そして、生理は人類の約半数が経験する生理現象であるにもかかわらず、未だにタブー視される傾向にあることから、リアルな生理期間を表現するプロモーション映像を作成。この映像は、ボトムスや下着に血がついた姿など現実的な生理を表現しているものの、暴力的であると判断されてTikTokでは1時間以内に削除されてしまったという。

 ちなみにAugustは、今後もさまざまな製品を展開予定で、トランスジェンダーやノンバイナリーの人を含む多くの人が求めるボクサータイプの生理用ショーツなども開発を進めていく予定だそう。

 「August」の製品は、残念ながら現在アメリカとカナダでしか購入できないものの、先進的な取り組みをしているAugustの活動は今後も注目したい。(フロントロウ編集部)

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