『シャン・チー』でMCU初のアジア系主人公を演じるシム・リウ
2021年9月3日(金)に日米同時公開となるマーベルの新作映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』。MCU初のアジア系ヒーローを主人公にした本作で主演を務める、中国出身のカナダ人でドラマ『96時間 ザ・シリーズ』や『Kim's Convenience』などで知られる俳優のシム・リウ(劉 思慕)が、MCUのような世界的な人気を誇るシリーズでアジア系のヒーローが主人公として描かれることの意義について語った。
米現地時間8月16日にカリフォルニア州ロサンゼルスにあるエル・キャピタン・シアターで『シャン・チー』のプレミアが行なわれ、シムや、2016年公開の『ドクター・ストレンジ』からウォン役を演じてきたベネディクト・ウォンら本作のキャストたちが集結した。
シム・リウがMCUでアジア系ヒーローが描かれることの意義を語る
シムはワールドプレミアのレッドカーペットで米ETとのインタビューに応じて、MCU映画で初めてアジア系のヒーローが描かれることの意義について語った。
シムはインタビューのなかで、「素晴らしい瞬間ですよ。とても記念すべきことです。というのも、僕が子供だった時には、こうやって目指すべきスーパーヒーローがいませんでしたから」と、アジア系である自身がMCU作品で主役を務めることで、アジア系のレプリゼンテーションを高めることの大切さを米ETに語っている。
続けて、共にレッドカーペットに出席した、既に複数のMCU作品に出演してきた同じくアジア系であるウォン役のベネディクトに触れて、「まず第一に、こうやってベネディクト・ウォンのようなレジェンドの隣にいることが重要なことです」とシム。「彼は見事に自分の立ち位置を築き上げてきました。それが今や、MCUに何人ものアジア系のスーパーヒーローがいるわけです。本当に嬉しい気持ちです」と続け、MCUにアジア系のヒーローが複数登場することの喜びを語った。
同じインタビューのなかで、シムは自分がMCUの主役を演じることを家族になかなか信じてもらえなかったというエピソードも明かしており、移民家族特有の家庭環境が故だとして、次のように語った。
「移民の親世代の多くは、あなたや僕らが観ているようなチャンネルを観ていないのです。常に『エンターテイメント・トゥナイト』を観ているわけでありません。彼らがチェックしているのは故郷のニュースチャンネルや、故郷の新聞です、らなので、中国語版のポスターを見て初めて、『すごいな!』って言ってもらえました。その時にようやく、現実のものとして受け入れてもらえたんです。同じような家庭環境で育った多くの方々が、僕の話に共感してくれると思いますよ」。
南カリフォルニア大学の機関であるアネンバーグ・インクルージョン・イニシアティブが2021年5月に発表したデータによれば、2007〜2019年の上位1,300映画におけるセリフのあるアジア太平洋系の役の割合は5.9%で、主演級の役は3.4%。その3分の1をドウェイン・ジョンソンが演じていたため、アジア系俳優のチャンスが非常に限られていることがこの調査によって明らかになっており、『シャン・チー』のような大作映画でアジア系のヒーローが主人公として描かれることは、大きな意味を持っている。(フロントロウ編集部)