グローバルな配信コミュニティサイトTwitchで大きな問題となっている人種差別や反LGBTQ+といったハラスメント問題に対し、ストリーマーが9月1日に開催される「#ADayOffTwitch(1日Twitchボイコット)」への参加を呼びかけている。(フロントロウ編集部)

Twitchで人種差別や反LGBTQ+が問題に

 人気のライブストリーミングプラットフォーム「Twitch(ツイッチ)」で、人種差別や反LGBTQ+、女性差別が大きな問題となっている。この現状を受け、一部のストリーマーが「#ADayOffTwitch(1日Twitchボイコット)」を企画。現地時間9月1日に開催される。

 問題の背景にあるのは、米Washington Postによって報じられた「ヘイト・レイド(Hate Raids)」と呼ばれる“荒らし行為”の激化。近頃とくに問題視されるようになってきたこのヘイト・レイドは、Twitchにもともと備わっている「レイド(Raid)」という機能を悪用したもの。

 自分の配信終了後に視聴者を別のチャンネルに送り込むことができる本来のレイド機能を悪用し、危害を加えようとしている対象者に大量のダミーアカウントやボット(※)を送り込んだ上で、コメント欄を悪意に満ちたコメントで埋め尽くし、嫌がらせする。それがヘイト・レイド。

※自分のライブストリーミングの視聴率やフォロワー数が高いように見せかけるボット。

 このヘイト・レイドには、以前フロントロウでもお伝えしたTwitchにおける新規タグの追加が関係していると推測されている。その際には、「トランスジェンダー」、「黒人」、「退役軍人」、「障害者」などを含む、350以上のコミュニティに特化した新しいタグが追加されたが、マイノリティが可視化されたことにより逆にヘイト・レイドをしている者たちが加害対象を特定しやすくなったともいえる。

ヘイト・レイドに対するTwitch側の反応は?

 ヘイト・レイドの増加とともに、ストリーマーのRaven氏が「#TwitchDoBetter(ツイッチ改善して)」というタグを作りSNSで拡散。それに対しTwitchはヘイトスピーチを事前に検出するフィルターに脆弱性があったことを謝罪し、アップデートを実行したと発表した。

 そして、「誰であっても、どんな人間であるか、何を支持しているかを理由に、悪意と憎しみに満ちた攻撃を受けるべきではありません。このようなコミュニティは、私たちがTwitch上にて求めるものではありません。私たちは、Twitchをクリエイターにとってより安全な場所にするために努力しています」と付け加えた。

 しかし、Twitchのストリーマーたちは、より抜本的な改革が必要だと言っている。

 TwitchストリーマーであるThom Simonson氏は、Twitchが差別防止のために導入した新しいフィルターは悪意ある行為者が簡単に回避できるものであり、英語以外の文字を使ってフィルターを回避する方法があることを指摘。ある差別的な単語を禁止するためには、2100万通り以上の文字の組み合わせをブロックする必要があり、その設定には76日もの時間がかかると、調査結果を報告している。

 現状では、Twitch側が行なったアップデート以外の攻撃は基本的に自衛するしか解決策はないが、今回の調査により、ヘイト・レイドを個人が防ぐのは実質不可能であることが明らかになった。

「#ADayOffTwitch(1日Twitchボイコット)」が開催

 そこで、「#TwitchDoBetter(ツイッチちゃんとして)」の発起人でもあるRaven氏は、9月1日に実施する「#ADayOffTwitch(1日Twitchボイコット)」を企画。差別や反LGBTQ+をする加害者に注意を喚起するため、ストリーマーにはライブ配信を行わないように、視聴者には「#ADayOffTwitch」のハッシュタグをSNSで拡散したり、配信を見ないようにすることを呼びかけている。

 Raven氏は米ゲームニュースサイトKotakuで「このプラットフォーム上で、社会から疎外された人々が、肌の色や性自認、性的指向など、自分ではコントロールできない理由で攻撃されているのを目の当たりにすると、とても胸が痛む」とコメントしている。(フロントロウ編集部)

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