今年のMTVビデオ・ミュージック・アワード(MTV VMA)で最多受賞者となったラッパーのリル・ナズ・Xが、HIVと共に生きる人々に捧げるパフォーマンスを披露した。(フロントロウ編集部)

オリヴィア・ロドリゴと並んで今年の最多受賞者となったリル・ナズ・X

 米現地時間9月12日にMTVビデオ・ミュージック・アワード(MTV VMA)が行なわれ、最も栄誉ある賞とされる最優秀ビデオ賞を筆頭に、最優秀監督賞と最優秀ビジュアル・エフェクト賞の計3部門を受賞したリル・ナズ・X(22)が、最優秀新人賞など同じく3部門を受賞したオリヴィア・ロドリゴ(18)と並んで、今年の最多受賞者となった。

画像: オリヴィア・ロドリゴと並んで今年の最多受賞者となったリル・ナズ・X

 リル・ナズは、ゲイである自身のアイデンティティをオープンに表現した、全米ナンバーワンシングル「MONTERO (Call Me By Your Name)」のビデオで今年の最優秀ビデオ賞を受賞しており、受賞スピーチでは、「まずは、ゲイ・アジェンダ(※)に感謝を述べたい。ゲイ・アジェンダよ、さあ行こう! みんなを愛しているよ」と、同性愛者に差別的な人々を揶揄した。

※同性愛者に差別的な考えを持つ人々が使う用語。同性愛者の権利を擁護する運動、同性愛者に寛容な風潮は、全員を同性愛者にしたいと思っている同性愛者たちの策略だとする偏見。

HIV/AIDSと共に生きる人々を激励するパフォーマンスを披露

 リル・ナズは授賞式でパフォーマンスも披露しており、ラッパーのジャック・ハーロウと共に、「MONTERO (Call Me By Your Name)」と最新シングル「Industry Baby」をパフォーマンスした。

 中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟 (GLAAD)によれば、リル・ナズのこの日のステージには、アメリカ南部でHIV/AIDS患者のための活動を行なっている団体Southern AIDS Coalitionでディレクターを務めるマルドリュス・ハリス氏も参加していたという。ハリス氏は背中に赤い文字で「433,816」という数字が描かれた衣装を着てステージに参加しており、GLAADによれば、この数字は、2015年の時点における、アメリカ南部でHIVと共に生きている人たちの数だという。

 GLAADは次のようにツイートしている。「リル・ナズ・XはVMAで力強いパフォーマンスを行ない、とりわけ南部におけるHIVをめぐる汚名にスポットライトを当ててくれました」。

 

 リル・ナズと共にステージに上がったハリス氏はプレスリリースに次のようにコメントを寄せている。「とても現実とは思えない体験でした! リル・ナズ・Xとステージを共にする機会が訪れるなんて、私は想像すらしていませんでした。彼のプラットフォームを使ってHIVをめぐる汚名を周知できたことは、我々の取り組みにおいて掛け替えのないものとなりました」。

 ヒップホップのシーンでは今年7月、ラッパーのダベイビーが最大級のヒップホップ系フェスティバルである「Rolling Loud」に出演した際に、HIV/AIDSと共に生きる人に対する差別発言をして問題になったばかり。ちなみに、リル・ナズはダベイビーの問題発言に関連してラッパーのT.I.から揶揄された際、リアクション動画を投稿するフリをして自身のMVを宣伝するというギャグをかました。

 今回、リル・ナズがMTV VMAのステージでメッセージを世界に向けて発信したことは、HIVやAIDSへの偏見を取り除く上で大きな意味を持っている。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.