ディズニーと訴訟の真っ只中にあるスカーレット・ヨハンソンが、米Time誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出された。推薦文の中で、執筆した俳優のジェイミー・リー・カーティスが強い言葉でスカーレットを擁護した。(フロントロウ編集部)

2021年の世界で最も影響力のある100人にスカヨハが選出

 映画『ブラック・ウィドウ』の公開をめぐる契約でディズニーを訴えている俳優のスカーレット・ヨハンソンが、米Time誌が毎年発表している、世界で最も影響力のある100人の2021年版に選出された。

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 スカーレットは映画出演にあたり劇場での興行収入に比例してギャラが上がり下がりする契約をディズニーと結んでいたが、コロナ禍の影響を受け、映画は劇場と同日にディズニーの動画配信サービスDisney+で配信された。そのため、スカーレットは約54億円(5,000万ドル)の損失があったとしてディズニーを提訴。ディズニー側は「新型コロナウイルスによるパンデミックの世界的な影響の恐ろしさと長期化を無視したもので、非常に悲しくて苦しいものです」とスカーレットを非難した。

 これに対し、ハリウッドにおける女性の権利を守るために活動する複数の人権団体が、訴訟においてどちらが正しいかについてはいかなる立場も取らないが、ディズニー側の「ビジネス上の権利を守ろうとしたヨハンソン氏を無神経で利己的な人物と決めつけようとする」声明での表現は「ジェンダーに基づく人格攻撃」であると強く非難する声明を連名で発表。

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 さらにこの件には、マーベル仲間も反応。ワンダヴィジョン/スカーレット・ウィッチ役のエリザベス・オルセンは、「彼女はとてもタフだと思う。ニュースを読んだとき、『頑張って、スカーレット』って思った」とスカーレットを擁護。ドクター・ストレンジ役のベネディクト・カンバーバッチは「(お互いの)弁護士のあいだで起こっていることは悲しいことだ。『世界的なパンデミックの状況下にあるということを踏まえて』という言葉とそれに対する非難の声。すべてにおいてちょっとめちゃくちゃになってしまっていると思う」と、悲しそうにコメントしたうえで、コロナ禍で起きた新たな状況についてしっかり議論しなくてはいけないという持論を展開した。

 これまで、劇場公開の興行収入に比例した契約で多額のギャラを受け取ってきたトップスターとしては、スカーレットの契約の行方は非常に気になるところ。それに加えこの訴訟は、ハリウッドにおける女性の権利にも強く繋がるもの。契約や待遇について権利を主張すると、“自信家”や“野心家”とされる男性とは違い、女性は“面倒な人”や“がめつい”と思われやすく、それが男女間のギャラ格差に影響してきたことは、ジェニファー・ローレンスをはじめ複数の俳優が訴えてきたこと(※)。多くの側面で社会的な影響がある訴訟だからこそ、スカーレットがTime誌の世界で最も影響力のある100人に選ばれたことは当然と言える。

※映画『アメリカン・ハッスル』の主演間で、男性(ブラッドリー・クーパー、クリスチャン・ベイル、ジェレミー・レナー)は利益の9%、女性(ジェニファー・ローレンス、エイミー・アダムス)は利益の7%というギャラ格差があったことが発覚。ジェニファーはのちに米Lennyに長文コラムを寄稿し、「“難しい”“甘やかされた女優”と思われたくなかった」から交渉で強く出られなかったとして、「男性俳優たちは“難しい”とか“甘やかされている”と思われると心配する必要がない」という男女の違いを知ったと明かした。

ジェイミー・リー・カーティス、強い言葉でスカヨハを擁護

 そんな、Time誌の「世界で最も影響力のある100人」でスカーレットの推薦文を書いたのは、ホラー映画『ハロウィン』の主人公ローリー役でブレイクして、ハリウッドでは“絶叫クイーン(Scream Queen)”という異名を持つレジェンドであるジェイミー・リー・カーティス

画像: ジェイミー・リー・カーティス、強い言葉でスカヨハを擁護

 ディズニーとは『フォーチュン・クッキー』や『ビバリーヒルズ・チワワ』などのヒット映画で一緒に仕事をしたことがあるジェイミーは、強い言葉を使ってこうスカーレットを擁護した。

「最近、私は彼女がブラック・ウィドウとしてスクリーンを支配する姿を見ました。ブラック・ウィドウは、女性を操って自分のために戦わせる権力者(これが男性であることを強調したい)に復讐します。

そして私は、現実でも起きた操り(同じ強調をします)に対する彼女の見事な対応を目撃しました。彼女は、映画館とストリーミングで同時に映画を公開したことで、かなりのギャラの損失を被ったとして、スタジオに対して契約違反の訴訟を起こしたのです。

良心を持った暗殺者としても、感情を持った俳優としても、そして第2子を出産したばかりの猛烈な母親としても、そのメッセージは明確です。このママベア(※)に喧嘩を売るな」

※ママベア(mama bear):母親のこと。子供と一緒にいる時の母親グマの猛烈な強さから、母親の強さに敬意を込めて使われる。

 スカーレットとジェイミーは、スカーレットがジェイミーの誕生日生まれだったり、スカーレットが2012年の映画『ヒッチコック』でジェイミーの母親である俳優のジャネット・リーを演じたりと、何かと縁がある関係。ハリウッドの大先輩からパワフルな応援を受けたスカーレット。ディズニーはこの件に関して現時点でコメントはしていない。(フロントロウ編集部)

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