スタジオジブリの作品を海外でヒットさせた立役者、スタジオジブリ海外事業部の元取締役部長スティーブン・アルパートが語る、スタジオジブリのすごさとは?(フロントロウ編集部)

ジブリを“世界に売った男”スティーブン・アルパート

 スティーブン・アルパートはジブリ作品の海外での宣伝に奔走し、『千と千尋の神隠し』の海外での大ヒットとアカデミー賞長編アニメ映画賞の受賞を陰で支えた人物。2011年までスタジオジブリ海外事業部取締役部長を務め、退社後は、『吾輩はガイジンである。ジブリを世界に売った男』をはじめとした書籍で、スタジオジブリでの経験を明かしている。

画像: ジブリを“世界に売った男”スティーブン・アルパート

 そんなアルパート氏が著書『Sharing a House with the Never-Ending Man: 15 Years at Studio Ghibli(原題)』の宣伝のために米掲示板サイトredditでファンを相手に行なったQ&Aセッションで、中からだからこそ見える、ジブリの凄さを語った。

宮崎駿らスタジオジブリが他と“違う”

 あるファンに、「あなたから見て、スタジオジブリは何が(他と)違いましたか?」と聞かれたアルパート氏は、その違いをこう語った。

 「スタジオジブリは、おそらくすべてが(他と)異なっています。しかしなかでも大きな違いは、スタジオが映画製作者によって運営されていることです。映画監督がすべての最終決定権を持っています。だから、芸術と商業が対立すると、芸術が勝つのです

 お金よりもアートが上。ビジネスマンたちがトップに立つハリウッドの多くの大手映画制作会社とのその違いは、さすがスタジオジブリと言えるもの。そんなアルパート氏は、在職中に驚かされた別のことも明かした。

 「いつも驚かされたのは、情報が信じられないほど限られた中で、アニメーターたちが言葉を使わずにコミュニケーションをとれることです。即興演奏のジャズを思い出します。(提示されるのは、)このシーンはここで起こり、このキャラクターはこんな感じの見た目で、このシーンではこんなことをしています、というような内容が基本です。ジブリは全作品の絵コンテを公開しています。それを見ればわかりますが、アニメーターが得られる情報はそれが全てなのです」

 細かい部分を言わなくても伝わる、クリエイターたちの不思議な空気感に圧倒されたというアルパート氏はその後こう続けた。「アニメーターは皆、縁の下の力持ちです。背景美術の人たちはもっと評価されてもいいと思います。たぶん、カラーパレットを決定・実行した保田(道世)さんはもっと高く評価されるべきだと思います」。(フロントロウ編集部)

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