毎年10月11日は「国際ガールズ・デー」。今回は女の子たちをエンパワーメントする国際ガールズ・デーに際し、世界中の女の子たちが「生理」があるという理由だけで直面している「誤解」「偏見」「差別」の実態を調査。日本もけっして他人事ではない、その驚くべき事実をご紹介。(フロントロウ編集部)

「当たり前なのに…」いまだ生理が受け入れられていない現実

 ほとんどの女性にとって、生理(月経)は正常で健康的な“生活の一部”である。女性人口の約半数、世界人口の約26%が生殖可能年齢だとされており、毎月約3~5日間が正常な生理期間だとされている。

画像: 「当たり前なのに…」いまだ生理が受け入れられていない現実

 しかし、この生理があるという「当たり前」によって、いまだに差別的な扱いをされたり、攻撃の標的にされたりする女性は多い。

 この問題の大きな要因とされるのは、生理に対する教育不足。これらの生理に関する情報不足は、さまざまな「誤解」「偏見」「差別」を招き、とくに思春期の女の子に対して、生理について正しく学ぶ機会を妨げている。

 そこで、今回は「生理」があるという理由だけで世界の女の子たちが直面している、生理による困難の実態を調査。日本も例外ではない、世界が抱える深刻な問題をひも解いていく。

1.ほとんどの女の子が「生理」は隠すべきものだと思っている

 UNICEFが行なった調査によると、世界の女性の73%が、自分の生理について「ときどき、あるいはいつも」 隠しており、およそ68%の女性が、男性と生理について話すことを恐れていると回答。

 実際に、日本でも生理や性の話を男女で一緒に聞くのは気まずいといった理由から、 男女共学であっても、生理に関する「性教育」だけは男女別で行なうという学校も少なくない。

画像: 1.ほとんどの女の子が「生理」は隠すべきものだと思っている

 こういった生理を「タブー視」する風潮はさまざまな「偏見」や「差別」を助長させており、現在でも世界の一部地域では、生理中の女性は料理を禁じられたり、洗髪すらも許されなかったりするなど、生理中に理不尽な扱いを受ける事例は数多く存在する。

2.「生理」に関する事前教育は、先進国でも十分行なわれていない

 UNICEFが行なった調査によると、中国人女性の88%、インド人女性の43%、イギリス人女性の27%、アメリカ人女性の19%が、いずれ生理がくるという事実と、それにどう対処すべきかについて、十分な準備ができていないという。

 こうした生理に対する「事前教育」の不足の結果、中国人女性の91%、インド人女性の45%、イギリス人女性の34%、アメリカ人女性の17%が、初めて生理のことを知ったときに「怖かった、または驚いた」と回答。さらに驚くべきことに、調査を行なったすべての国の約70%が、初潮を迎えたときに「やや驚いた、または非常に驚いた」と報告している。

画像: 2.「生理」に関する事前教育は、先進国でも十分行なわれていない

 また、学校で生理に関する「性教育」が行なわれていない問題は、なにも貧困に悩むアジアやアフリカ諸国に限ったケースではなく、実際にカナダでは、在学中に生理についてを学んだという女の子はわずか30%で、次いで中国人女性が15%、インド人女性が12%となっている。

3.生理中の「隔離小屋」は今でも存在する

 生理時に発生する「血」を不潔や不衛生なものとして、女性を家族や地域の人と接触しないように小屋に隔離する、通称「生理小屋」。日本でも70年代まで存在していたとされており、現在は世界的に少なくなっている傾向にありつつも、完全になくなっているわけではない。

画像: 3.生理中の「隔離小屋」は今でも存在する

 つい最近にも、2019年12月にネパール人の少女が「生理小屋」に滞在中に毒蛇にかまれて死亡するという痛ましい事件が起きている。ほかにも、生理小屋で暖をとっていた少女が煙で窒息死したり、脱水症状を起こしても手当されずに亡くなるといったケースもある。

4.経済的な理由で「生理用品」が買えない女の子は多い

 日本でも、近年話題になっている「生理の貧困」。国際NGOのプラン・インターナショナルが、2017年にイギリスで行なった調査によると、イギリス人女性の約10%が「生理用品を買えなかったことがある」と回答。アメリカでも同じ調査を行なったところ、生理用品を入手できない人が一定数いるなど、「生理の貧困」は、先進国と呼ばれる国でも決して他人事ではないことが明らかになった。

画像: 4.経済的な理由で「生理用品」が買えない女の子は多い

 また「生理の貧困」は、なにも経済的困窮だけが原因というわけではない。なかには親の虐待やネグレクトによって生理用品を買ってもらえなかったり、何かしらの理由で生理用品が入手できずに「布」を当てて過ごしたりなど、とくに経済的に自立していない思春期の女の子が困難に直面している。

5.生理に対応できる「清潔なトイレ」が不足している

 世界人口のうち、およそ23億人が基本的な衛生サービスを受けられておらず、発展途上国においては、人口のわずか27%しか自宅に水と石けんを備えた手洗い施設(トイレ)を備えていない。家庭にこうした基本的な設備がないことによって生理を適切に管理できず、生理に対して間違った認識を持ってしまう女の子は多いという。

画像: 5.生理に対応できる「清潔なトイレ」が不足している

6.生理によって「教育の機会」が奪われている

 発展途上国の学校施設の約半数は、女の子や女性教師が生理を管理するために不可欠な水道水、トイレ、衛生設備を十分に備えられていない。こういった学校施設での清潔なトイレの不足により、生理期間中は学校を休むという女の子は意外と多く、教育の機会を奪う原因のひとつにもなっている。

画像: 6.生理によって「教育の機会」が奪われている

 そのため、発展途上国で暮らす女の子が教育を受けられるために行われている支援の中には、学校に女子トイレを設置する取り組みも行なわれている。

プラン・インターナショナルとは?

 女の子には“女の子だから”受ける差別がある。そんな社会を変えて、女の子たちをエンパワーメントするために、国際NGO「プラン・インターナショナル」の働きかけで始まった10月11日の「国際ガールズ・デー」。

画像: プラン・インターナショナルとは?

 国際ガールズ・デーの制定に尽力した「プラン・インターナショナル」は、世界70カ国以上で活動する国際NGOであり、国連に公認・登録された組織。日本においては、公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパンとして、内閣府から認定を受けている。その活動から、支援者の数は世界で約107万人、日本では約6万人にのぼる。

 そんな「プラン・インターナショナル」では、女の子が生理のために過ごす場所を制限されたり、教育を中断してしまう状況は変えていかなければならないと考えており、生理に関する正しい知識を身につけるために、現在もさまざまな活動を行なっている。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.