ハリー・スタイルズが男性として単独で初めて米Vogue誌の表紙を飾ったことをめぐり、彼がジェンダーレスなファッションのアイコンとして起用されたことに苦言を呈していた俳優のビリー・ポーターが、ハリーに謝罪した。(フロントロウ編集部)

ハリーがジェンダーレスなファッションのアイコンとされたことに苦言を呈したビリー

 2020年12月号の米Vogue誌で、男性としては初めて単独で同誌の表紙を飾ったことが話題になったシンガーで俳優のハリー・スタイルズ(27)。ハリーは以前よりステージ上でフリルのついたシャツを着用したり、臆することなくピンクの洋服を取り入れたり、2019年のメットガラ(METガラ)には、首元にボリューミーなリボン、袖口や胸元にレースがあしらわれたブラックのシースルーのブラウスにパールのピアスを着用して出席したりと、ジェンダーに囚われないファッションを楽しんできたことで知られている。

画像: 2019年、グッチ(Gucci)の衣装を身に着けてMETガラに参加したハリー・スタイルズ。

2019年、グッチ(Gucci)の衣装を身に着けてMETガラに参加したハリー・スタイルズ。

 そんなハリーは、米Vogueの表紙を飾った際にも、淡いグレーのレースにギャザー加工を施したグッチ(Gucci)のドレスを着用し、誌面では、チェック柄のスカートや、バレリーナのチュチュを彷彿とさせるスカートなどを着用した。

 同誌に掲載されたインタビューでは、社会的には“女性用”とされてきた服を好んで着る理由について、「『男性のための服があって、女性のための服がある』っていう障壁さえ取り除けば、言うまでもなく、楽しむことのできる領域が広がることになる」と語るなど、男性として初めて米Vogue誌の表紙を飾ったハリーには当時、多くの称賛の声が寄せられた。

 そんななか、先日、これまでにたびたびアカデミー賞授賞式などでジェンダーレスなファッションをお披露目してきた俳優のビリー・ポーターが、英Sunday Timesとのインタビューで、ハリーがジェンダーレスなファッションの代表格として取り上げられたことを批判した。

画像: ハリーがジェンダーレスなファッションのアイコンとされたことに苦言を呈したビリー

 Amazon Prime Videoで配信されているカミラ・カベロ主演の『シンデレラ』でフェアリー・ゴッドマザー役に抜擢されたことでも話題になったビリーは、「状況を一変させたのは私。私自身が、この状況を一変させた。これはエゴではなく、事実。最初にやったのは私で、今では誰もがやっていること」と、ショービズ界で男性としてジェンダーレスなファッションを最初に取り入れたのは自分だとした上で、「この新しい議論をレプリゼンテーション」するアイコンとしてハリーを起用したことに苦言を呈した。

ビリー・ポーターがハリー・スタイルズに謝罪

 今回、ビリーは出演した米トーク番組『The Late Show with Stephen Colbert(原題)』で、ハリーが米Vogueの表紙に起用されたことを批判したことについて話を振られると、厳密にはハリーのことを批判したわけではないとして、「ハリー・スタイルズ、君の名前を口に出したことを謝るよ。君についてのことではないんだ」と、ハリーへの謝罪の言葉を語った。

 「この議論は君についてのことじゃない。議論すべきはもっと深いことなんだ」として、ビリーは次のように続けた。「カルチャーに貢献してきた有色人種を抑圧したり、抹消したりする体系の問題なんだよ。これは説明すべきことがたくさんある議題。私はそれを進んで明かしていくつもりだけど、引きずり降ろされたりすることやインターネット上のキャンセルカルチャー抜きでね。私は今もこれからも、自分の人生や人類をソーシャルメディアの抜粋で裁くつもりはないからね」。

 英Sunday Timesとのインタビューで「私は、オスカーにドレスを着て行っても撃たれないような地位を築くために、人生をかけて闘ってきた。彼はただ、白人で、ストレート(※)であればいいだけ」と、マイノリティが命をかけて開拓した場所でハリーのような特権階級にある白人男性が先に称えられたことを批判していた黒人のゲイ男性であるビリーは、いつでもこうした問題について腰を据えて話し合う準備はできているとして、番組で次のように呼びかけた。「リアルな議論をする準備ができたら、電話をちょうだい。分かった? 私は準備万端だから!」

※ハリーは自分自身のセクシャリティを明言しておらず、セクシャリティを決める必要はないというスタンスを貫いている。

 続けて、「ハリー、ごめんね。傷つけるつもりはなかった」と改めて謝罪の言葉を口にしたビリー。記事執筆時点までに米Vogueやハリーはこの件についてまだ反応を示していない。(フロントロウ編集部)

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