2021年にイギリスで最も視聴された新作ドラマ『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』。ツイッターでもトレンド1位を獲得し、「ヴィジル見た?」という言葉があちこちで聞かれるほどの社会現象になった本作の見どころを特集。日本では、スターチャンネルEXで11月24日から配信、BS10 スターチャンネルで12月8日から放送開始。

2021年にイギリスで最もヒットした新作ドラマ

画像: スターチャンネルEXで配信中、BS10 スターチャンネルで12月8日から放送

スターチャンネルEXで配信中、BS10 スターチャンネルで12月8日から放送

 

 ドラマ『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』はBBC Oneで放送された全6話のドラマ。2021年8月に放送が始まると第1話だけで1,340万人に視聴され、最終話の放送時にはイギリスのツイッタートレンド1位を9時間も独走。イギリスでその日最も長くトレンドしたキーワードのひとつとなり、英テレビ界最高峰であるBAFTAを何度も受賞している敏腕クリエイターのラッセル・T・デイヴィスも「最高のテレビ作品」とSNSで絶賛した。

 2018年のドラマ『ボディガード -守るべきもの-』以来となる、イギリスにおける過去3年の最高視聴数を記録した『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』は、記事執筆時点で“2021年にイギリスで最も視聴された新作ドラマ”として君臨しており、BBCの動画配信サービスBBC iPlayerでの昨年同期比20%増、第3四半期最高という記録的な視聴数増に貢献するなど、大ヒットを遂げている。

大ヒットの理由はコレ!ドラマの見どころを解説

画像1: 英視聴率No.1の『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』はなぜ大ヒットした?見どころ解説
 

【見どころ①】クリフハンガー満載の中毒的な展開

 『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』では、エイミー・シルヴァ主任警部がイギリス唯一の核戦力であるヴァンガード級原子力潜水艦のひとつ「ヴィジル」の中で起きた隊員の死亡事件を調査する。

 批評家・視聴者の両方から大絶賛されているのが、謎に飲み込まれるようにハマっていくスピーディーな展開。全6話のミニシリーズである本作では、1作にいくつもの真相と急展開がつまっており、ひとつの真相が明らかになるとその真相が謎をさらに深めるという、捜査ドラマの真骨頂を極めている。そして毎話最後には新たな方向性を生むクリフハンガー(※)が用意されており、1分1秒も画面から目が離せない。※次のエピソードへの期待値を高める、エピソードのドラマチックな締めのこと。

画像2: 英視聴率No.1の『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』はなぜ大ヒットした?見どころ解説
 

 そんなドラマを制作したのは、イギリスでミニシリーズものの王者とも言われる英テレビ制作会社ワールド・プロダクションズ(World Productions)。『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』はイギリスで2018年のドラマ『ボディガード -守るべきもの-』以来となる視聴数を記録したが、両作とも同社が制作。さらに、記事執筆時点で2021年の全体での年間視聴数1位である『ライン・オブ・デューティ』(『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』は全体2位)も同社が制作しており、『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』の大ヒットも納得と言える。 

【見どころ②】イギリスの人気俳優たちの演技力

画像: サラン・ジョーンズ/ローズ・レスリー

サラン・ジョーンズ/ローズ・レスリー

 

 ある悲しい過去を抱えた主人公のエイミー・シルヴァ主任警部を演じるのは、複雑な心理を抱えた役をやらせたら一流と絶賛されるサラン・ジョーンズ。そして、陸で捜査を行なうカーステン・ロングエイカー巡査部長を演じるのは、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のローズ・レスリー。ロングエイカー巡査とシルヴァ警部は相棒でありながら、恋愛関係にあった仲。誰が敵か味方か分からない状況のなかで捜査官として絶対的な信頼を寄せ合いながら、お互いとの関係にわだかまりを抱えた2人。サランとローズが2人の女性の複雑な関係を見事に演じて、捜査ドラマの中に深みのある人間ドラマを展開させている

画像: ショーン・エヴァンス

ショーン・エヴァンス

 

 さらに、日本の海外ドラマ好きのあいだで大人気のショーン・エヴァンスがグローヴァー准尉役で登場。ヴィジルの“歩く総務”であるグローヴァー准尉は、警察関係者であるシルヴァ警部に敵対心むき出しの隊員が多いヴィジルの中で数少ない味方的存在。硬派で優しいグローヴァー准尉役としての起用は、ショーン・エヴァンス・ファンも大満足の結果となるはず

画像: マーティン・コムストン/コナー・スウィンデルズ/アダム・ジェームズ

マーティン・コムストン/コナー・スウィンデルズ/アダム・ジェームズ

 

 ほかにも、視聴率年間1位の『ライン・オブ・デューティ』の主演マーティン・コムストンが死亡するクレイグ・バーク曹長として、ドラマ『セックス・エデュケーション』のコナー・スウィンデルズがサイモン・ハドロウ大尉として、イギリスのテレビドラマではお馴染みのアダム・ジェームズが嫌われ者のプレンティス少佐として登場し、イギリスが誇るテレビ俳優たちが良質な脚本を見事な映像作品へと昇華させている

女性が多く活躍! 作品に広がり出すBBCの取り組み

画像: 撮影の舞台裏写真。

撮影の舞台裏写真。

 

 『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』を見ていて、ひとつ気づくことがあるかもしれない。それは、女性と男性のキャラクターの数が均一なこと。海軍や警察は男社会であるため画面に映る数では男性の方が多いのだが、セリフがある役は女性と男性でおおよそ半分。本作を日本で放送するBS10スターチャンネルによって発表されている主要キャストのリストでも8人中4人が女性で、劇中に登場する上官役には男性と同じく女性も多い。

画像: 海軍のブラニング少佐(ロリータ・チャクラバーティ)/ドカティ大尉(アンジリ・モヒンドラ)

海軍のブラニング少佐(ロリータ・チャクラバーティ)/ドカティ大尉(アンジリ・モヒンドラ)

 

 この背景にあるのは、BBCが進める50:50平等プロジェクト(50:50 The Equality Project)。これは、テレビにおける男女の比率を社会における男女の比率である50対50に合わせようという、BBCのプロジェクト。制作者側が自分の作品における女性のレプリゼンテーション(※)を分析して調整するこのプロジェクトは、BBCのニュース番組で始まり、その後は社内プロジェクトへと拡大。その結果、BBC作品における女性の登場率が飛躍的にアップ。BBCではこのプロジェクトを有色人種や障がい者にも拡大し、他社にも自社作品におけるレプリゼンテーションのデータを公開して50:50プロジェクトに参加するよう呼びかけている。

※表現・代表という意味。ここでは、テレビにおける女性の描かれ方のこと。

画像: 国務長官やMI5の捜査官など、セリフのある重要職には男性だけでなく女性も多く登場する。

国務長官やMI5の捜査官など、セリフのある重要職には男性だけでなく女性も多く登場する。

 

 BBCの公式発表によると「(テレビにおける男女の)発言力の歴史的な不均衡を解消し、女性のレプリゼンテーションを高める」ためにはじまった50:50プロジェクト。女性の数が増えることは、ドラマ作品で今まで描かれてこなかった新鮮なストーリーが見られる可能性に繋がる。『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』においても、女性刑事であるエイミー・シルヴァ警部を中心としたストーリーはこれまであまり描かれなかった設定を起用しており、50:50プロジェクトの影響が作品の魅力へと繋がったと一例と言える。そんな背景を知ると、作品にさらに深みが増すかもしれない。

 ドラマ『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』は、日本ではスターチャンネルEXで配信中。さらに、BS10スターチャンネルで吹替版が12月7日(火)より、字幕版が12月8日(水)より放送開始

【放送・配信情報】
<配信>スターチャンネルEX
【字幕版・吹替版】11月24日(水)より配信開始
<放送>BS10 スターチャンネル
※12月5日(日)16:00 吹替版 第1話 先行無料放送
【STAR1 字幕版】 12月8日(水)より 毎週 水曜23:00 ほか
【STAR3 吹替版】 12月7日(火)より 毎週 火曜22:00 ほか
『原潜ヴィジル 水面下の陰謀』スターチャンネル公式ページへ

【あらすじ】イギリス唯一の核戦力であるヴァンガード級原子力潜水艦のひとつ「ヴィジル(Vigil)」の中で、ひとりの隊員が死亡する。エイミー・シルヴァ主任警部はその捜査を任されたのだが、イギリスの国家安全のためにもヴィジルを帰還させることは難しく、シルヴァ警部は潜水艦の中に乗り込むことに。そして陸での捜査を、部下であるカーステン・ロングエイカー巡査部長に任せる。畑違いの警察の存在を敵視する隊員が多いなか、鋭い洞察力と尋問力で容疑者リストの名前を増やしていくシルヴァ警部。同時に、海軍基地周辺で捜査を行なうロングエイカー部長のまわりでも不審な情報が出てくる。事故か自殺だと思われていた死はやがて、国家安全保障をゆるがす問題の真相へと捜査を導いていく。

(フロントロウ編集部)

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