世界的大ヒット曲の「オールウェイズ・ラヴ・ユー」
1992年に公開され、世界で爆発的大ヒットを記録した映画『ボディガード』。その大ヒットにおいて重要な役割を果たしたのが、ホイットニー・ヒューストンが歌う主題歌「オールウェイズ・ラヴ・ユー(I Will Always Love You)」だろう。
『ボディガード』で映画初出演、初主演となったホイットニーが歌った「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は、カントリーシンガーの大御所ドリー・パートンが1974年にリリースした楽曲のカバー。ドリー版も全米カントリー・ソング・チャートの1位に輝いたものの、ホイットニー版が全米シングルチャートで14週連続1位を記録し、グラミー賞を含む様々なアワードを総なめにするほどの大ヒットとなったため、カバーであることを知らない人も少なくない。
ケビン・コスナーがごり押し
そんな社会現象となったホイットニーの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」だが、じつは当初は、ジミー・ラフィンによる「恋に破れて(What Becomes Of The Brokenhearted)」をカバーする計画が進んでいた。しかし、1991年の映画『フライド・グリーン・トマト』で同楽曲がすでに使用されていたため、変更になったという。
ドリーによる「オールウェイズ・ラヴ・ユー」。
そこで、ドリーの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」を選んだのが、ボディガードのフランクを演じ、映画のプロデューサーも務めていたケビン・コスナー。米CMTのインタビューで、彼は当時をこう振り返っている。
「ホイットニーに、“君は「オールウェイズ・ラヴ・ユー」を歌うんだ”と言った時には、地面が揺れたよ。(音楽プロデューサーである)クライヴ・デイヴィスたちも、“何だって!?”って感じだった。僕は、“この曲は映画のなかでとても重要な曲になる”と伝えた。それがラジオですでに流れたことがあるかどうかなんてどうだって良かった。俺は気にしなかった。“そして、これの始めはアカペラでいく。アカペラである必要がある。なぜなら、これは彼女がどれだけこの男に惚れているかを示すものだからだ。だから音楽なしで歌うんだ”と言ったよ」
そして、ケビンのセンスと判断力は素晴らしいものだったと言えるだろう。カントリーソングからバラードソングとなった「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は、今なお愛される名曲となっている。
ちなみに、ドリーの元には、ケビンから曲についての質問を受けた後に連絡はなかったそうで、ホイットニーによるカバーは自身の車のなかで初めて聞くことになったという。
ドリーが米CMTに話したところによると、「アカペラで始まるものだったからね。“これは聞き覚えがある”と思ったの。でも分からなかった。“何だっけ?”ってなる感じ。そうしたら突然、彼女が“オールウェイズ・ラヴ・ユー”って歌い始めて、車で事故を起こすところだったわ」とのこと。
(フロントロウ編集部)