シンガーのジャスティン・ビーバーに対して、サウジアラビアで開催予定のコンサートを中止するよう求める声があがっている。(フロントロウ編集部)

殺害されたサウジ記者の婚約者が公演中止を呼びかけ

 現地時間12月5日にサウジアラビアのジッダで開催されるF1サウジアラビアグランプリ2021で、パフォーマンスを披露することを予定しているシンガーのジャスティン・ビーバーに対して、出演を取りやめるよう人権団体のHuman Rights Foundationやサウジアラビア大使館で殺害されたジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の婚約者ハティス・チェンギス氏が求めている。

 カショギ氏殺害の指示を出したのはムハンマド皇太子だと信じるチェンギス氏は、ジャスティンがファンを大切にしていることや、今回もファンのためにサウジアラビアでの公演を承諾したことを理解しているとしたうえで、「しかしその裏では、年齢、経歴、宗教を問わず、何百人ものサウジアラビア人が、無慈悲なサウジの独裁者であるムハンマド皇太子に反対の意思を示しただけで処罰され、刑務所に入れられています。ですから、どうか私の愛するジャマルの命を奪った殺人犯のために歌わないでください。彼を殺した皇太子を非難する声を上げてください。あなたの声は何百万人もの人に届くでしょう。もしあなたが皇太子の手先になることを拒否すれば、“私は独裁者のために演奏しません。私はお金よりも正義と自由を選びます”というあなたのメッセージははっきりと伝わるでしょう」と、米The Washington Postで発表した論説を通じて呼びかけた。

画像: 殺害されたサウジ記者の婚約者が公演中止を呼びかけ

 サウジアラビアといえば、2018年10月に政府に批判的だったカショギ氏が殺害されたり、2018年5月に女性の権利向上を訴える活動家のルジャイン・ハズルール氏が不当に逮捕されたり、同性愛者を公言するジャーナリストとそのパートナーが家族や親族から殺害予告を受けたり(※)、数えきれないほどの人権侵害が国家レベルでまん延している。フェミニストを公言するモデルのエミリー・ラタコウスキーは、これらの問題を理由に2019年にサウジアラビアで開催された音楽フェスへの参加を拒否した。
※サウジアラビアでは同性愛が法律で禁止されており、死刑に相当する罪とされている。

 F1でのコンサートにはジャスティンのほかに、エイサップ・ロッキーやデヴィッド・ゲッタ、ジェイソン・デルーロも出演を予定しており、彼らがどういった対応を取るのかに注目が集まっている。(フロントロウ編集部)

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