キルスティン・ダンストが『ヴァージン・スーサイズ』の撮影で、長年親しい関係にあるソフィア・コッポラ監督から得たものについて話した。(フロントロウ編集部)

ソフィア・コッポラがキルスティン・ダンストに与えたもの

 2000年に公開されたソフィア・コッポラ監督による映画『ヴァージン・スーサイズ』は、思春期の少女たちの繊細さを彼女らしい作風で描き上げ、コッポラ監督の鮮烈なデビュー作となった。

 また、本作には、若かりし頃のキルスティン・ダンストやジョシュ・ハートネット、ヘイデン・クリステンセンらが出演しており、瑞々しい演技を見せている。

 10代の5人姉妹の壊れやすい心のなかを描いた本作で存在感を見せたキルスティンは、公開当時18歳。第4子のラックスを演じた彼女もまた、思春期という特別な年代だった。

 だからこそ、『ヴァージン・スーサイズ』でコッポラ監督と知り合えたのは、彼女に大きな財産となっているという。米Netflixの動画インタビューで、当時をこう振り返った。

画像: ソフィア・コッポラがキルスティン・ダンストに与えたもの

 「この映画は、私の心の中ではとても大切なもの。なぜなら、ソフィアと初めて仕事をした作品であり、この時に私は初めて美しい女性として見られて、それを与えてくれたのが女性だったから。あの年齢の私が、自分や自分の美しさについて感じていたことにとって、それはとてもエンパワーメントなことだったの。
 あの年頃って特殊でしょう。彼女は、私がキャリアを通して持ち続ける多くの自信をくれた。プロデューサーは私の歯並びを直したがっていた。人々は若い女優を同じ外見にするために、彼女たちを変えて、操ろうとする。でもソフィアは、私が私のままで美しいと感じさせてくれた。あれは私の人生のなかで、そう感じられ、自信を与えられた、とても大切な時間だった」

 社会において、女性たちはその外見に大きなプレッシャーを与えられているが、思春期はとくにそういった価値観に影響されやすい。さらに、若手俳優として、プロデューサーといった権力を持つ立場の人々から外見を変えるよう指示されることは、拒否しづらいうえに、少女たちの心を傷つける。少女たちをメインにした作品だからこそ、少女たちを搾取せずに守ることは、より一層大事なこと。

 こうして始まったキルスティンとコッポラ監督の絆は深く、キルスティンはその後も、『マリー・アントワネット』や『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』、『ブリングリング』といったコッポラ監督作品に出演し、キルスティンのマタニティフォトも監督が監修した。

女性監督たちが俳優たちを守っている

 『ヴァージン・スーサイズ』は2000年の映画だが、ここ数年で、女性監督たちが俳優たちを守るために行動しているエピソードが続々と増えている。

 『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のオリヴィア・ワイルド監督は、監督として労働環境に責任を持つうえで、「これまで男性たちがやってきたように自分もするの?それとも、自分のやり方で?私は自分のやり方で出来る」と決意。

 俳優がヌードにならなくてはいけないシーンの撮影ではとくに配慮し、俳優たちにも、今後どの撮影現場でも同レベルの配慮を要求して良いのだと教えたという

 また、ストリッパーとして働く女性たちを描いた痛快クライム作品『ハスラーズ』のローリーン・スカファリア監督は、肌の露出の多い衣装を着用した女性キャストについて性的なことを言ったり、性的な視線を送ったりした男性エキストラを、どれだけの数になろうともクビにした。

 故マイク・ニコルズ監督といった労働環境に気をつけている男性監督もいるが、女性として、女性俳優がどのような経験をしているかに気づきやすい監督たちは、映画業界の環境を改善するために行動に移している。

(フロントロウ編集部)

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