ラッパーのトラヴィス・スコットが自身の主催フェスティバル「アストロワールド」で10人が亡くなった悲劇について初めてインタビューで語った。(フロントロウ編集部)

トラヴィス・スコットのアストロワールドで10人が亡くなる

 現地時間11月5日に米テキサス州ヒューストンのNRGパークで開催されたトラヴィス・スコット主催のフェスティバル「アストロワールド」で、ステージ前方に観客が殺到したことで大惨事が起き、10人の参加者が犠牲になる悲劇が起きた。

画像: トラヴィス・スコットのアストロワールドで10人が亡くなる

 この日のヘッドライナーを務めたトラヴィスは、会場で悲劇が起きていることが明らかになってからも40分にわたってパフォーマンスを続けたとされている。しかしながら、トラヴィス本人は悲劇が起きた直後にアップしたインスタグラムストーリーズの動画で、パフォーマンス中に大惨事が起きていることは把握していなかったとした。

トラヴィス・スコットが初めてアストロワールドの悲劇を語る

 悲劇が起きてから1ヶ月以上が経ち、トラヴィスら主催者には300件近い訴訟が起こされているなか、今回、トラヴィスがラッパーのシャーラメイン・ザ・ゴッドとのインタビューを実施。悲劇後初めてインタビューに応じて、当時のことを自らの口で語った。

画像1: トラヴィス・スコットが初めてアストロワールドの悲劇を語る

 インタビューのなかで、トラヴィスは「(終演後に)記者会見に臨む直前まで詳細については分かっていなかったんだ。その時ですら、『待った。何だって?』という感じだった」と、パフォーマンス中には観客席で起きている状況に気がついていなかったと改めて説明。

 「僕としても、そういう声が聴こえた時には、アーティストとしてショウを止めたい」とした上で、「ファンには適切に注意を払う必要がある。僕はいつだってそういうものを目にした時には、行動していた。全員が無事であることを確認するために、何度かショウも止めたんだ。僕は、コール&レスポンス、つまりファンみんなのエネルギーに反応して盛り上がる。(助けを求める声は)聴こえなかったんだ」と続けて、およそ5万人の観客を前に、耳にインイヤーモニターを着けながらバンドや火柱に囲まれていたこともあってすべてを把握することはできていなかったと続けた。

 トラヴィスのライブは、直訳すると“怒り”という意味の「レイジ(Rage)」と表現されるほど観客が熱狂的に盛り上がることで知られ、そのようなカルチャーが根底にあることが悲劇に繋がったのではとも指摘されている。

画像2: トラヴィス・スコットが初めてアストロワールドの悲劇を語る

 今回のインタビューでそのことについて話を向けられると、「僕が長い間取り組んできたのは、安全な環境でそういう経験をできるようにするということ」と、あくまで安全最優先で取り組んできたとトラヴィス。

 「アーティストとして、僕らは何か起きた時には安全に退出してもらえるようプロの人たちを信頼している。僕の感覚としては、エネルギッシュという意味ではこの日の夜もいつも通りのショウだった。人々は傷つくために来てくれたわけじゃない。彼らは楽しい時間を過ごすために来たのに、不幸なことに見舞われてしまった。僕らはそれを解明する必要があると思っている」と、ライブの盛り上がりはいつも通りだったと感じているとして、何が悲劇を引き起こしたかについてはこれから解明していくとした。

 「『レイジング(Raging)』に関しては、教科書的な定義はないんだ」とトラヴィスは続けている。「ことコンサートに関しては、楽しい経験をするために進化してきた。傷つく、ということではないんだよ。そういう意味じゃない。解放して、楽しみ、他人を助け、お互いに愛し合うという意味なんだ」。

 トラヴィスは10人が亡くなったことを受けて、全員にチケット代の払い戻しを行なうことや、犠牲者の葬儀費用を負担すること、心理的にダメージを負った参加者に無償でセラピーを提供することなどを発表していたが、先日、一部の遺族から葬儀費用の受け取りを拒否されていたことが判明している。(フロントロウ編集部)

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