新しい植物性ミルク「ポテトミルク」に注目
近年世界的に需要が高まっているのが、植物由来の原料からつくる植物性ミルク。日本でも、定番の豆乳だけでなくオーツミルクやアーモンドミルクなども人気が高まっているけれど、さらに桁違いで植物性ミルクが浸透しているのが欧米諸国。
ヴィーガンをはじめ食生活の多様化が進み、ヘルシー志向の人も多い欧米では何年も前から植物性ミルクの競争が激化していて、その種類もどんどん豊富になっている。そんななか欧米で新たに注目を集めているのが、じゃがいも由来の「ポテトミルク」。
じゃがいもが原料のポテトミルクは、ポテト特有の香ばしい風味が楽しめるミルクで、料理の材料としても大活躍。植物性ミルクにありがちな水っぽさやクセも少なく、美味しいと注目を集めている。
そんなポテトミルクはこれまで粉末タイプでのみ存在していて、植物性ミルクの中でもかなりマイナーな存在だったのだけれど、今年5月にスウェーデン発のブランドDUGが液体タイプのものを発表したことで状況が一転して異例の大ヒットを記録。液体のポテトミルクの市場はDUGがほぼ独占状態なのにもかかわらず、多数のメディアが2022年にはポテトミルクがビックトレンドになるはずだと報道。さらに英国発の有名スーパーWaitroseも、年次レポートで2022年はオーツミルクに代わってポテトミルクがトレンドになると予測した。
環境への負荷が圧倒的に少ない
海外で突如話題をさらっているポテトミルクが注目を集めている理由は、美味しさや使いやすさはもちろんながら、最大の理由が環境への負荷の少なさ。サステナブルでエシカルな選択をする人がとくに多い欧米では、環境への悪影響が少ないポテトミルクが評価され始めている。
その指標になるのが、「カーボンフットプリント」と「ウォーターフットプリント」。この2つは原料の調達から製造、さらに使用後のリサイクルまでのすべての流れで排出される温室効果ガスの量と水の消費量を示す数値のことで、それぞれの数値が少ないほど環境への負荷が少ないとされる。
たとえば牛乳とくらべた場合、ポテトミルクはカーボンフットプリントが10分の以下、ウォーターフットプリントも半分以下と、大幅に環境への負荷を軽減できる。
またサステナブルなイメージのある植物性ミルクの中でも環境への負荷が少なく、とくに原料の栽培に多量の水を使うことが懸念されているアーモンドミルクとの差は歴然。ポテトミルクのウォーターフットプリントは、アーモンドミルクのなんと56分の1※だという。さらにこれまでもっとも環境への負荷が少ないと言われていたオーツミルクとくらべても、カーボンフットプリントはポテトミルクのほうが少ないため、環境のためにもポテトミルクを選ぶ人が増えている。
※引用:Water Footprint Network
栄養が豊富でカロリー控えめ
ミルクは毎日のように消費する飲料だからこそ、栄養価やカロリーも気になるところだけれど、ポテトミルクはその面でも優秀。
カリフォルニアを拠点に活動する栄養士のシャロン・パーマー氏は、ポテトミルクの栄養価の高さを米Well+goodで絶賛。ポテトミルクは植物性ミルクでありながら、牛乳に匹敵する量のカルシウムを含み、食物繊維やカリウム、ビタミンCなども豊富だという。さらにマグネシウムやビタミンB6、リン、ナイアシン、葉酸なども含んでいるため、たくさんの栄養素を1度に取り入れることができるそう。
ただしタンパク質だけはほかのミルクよりも少ないため、ほかの食品などで補うようパーマー氏はアドバイスした。
海外で話題を呼ぶ新しい植物性ミルクのポテトミルク。日本では今のところ購入できないけれど、海外でトレンドが本格化すれば、日本に上陸する日も遠くはなさそう。(フロントロウ編集部)