ニコール・キッドマンが、ハリウッドにおける女性への年齢差別を明かした。(フロントロウ編集部)

女性俳優の“賞味期限”は40歳?

 映画『ムーラン・ルージュ』や『ある少年の告白』、ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』などで知られ、ハリウッドの最前線で数十年にわたって活躍してきた俳優のニコール・キッドマン

 そんな彼女が主演を務め、12月21日よりAmazonプライム・ビデオで配信開始となった映画『愛すべき夫妻の秘密』は、1950年代に人気を博したアメリカの人気シットコム『アイ・ラブ・ルーシー』で主人公のリカード夫妻を演じ、実生活でも夫婦だったルシル・ボールとデジ・アーナズの伝記映画。

 本作でルシルを演じたニコールが、米DuJourのインタビューで本作に出演した理由を明かした。そしてその際に、ハリウッドにおける年齢差別にも言及した。

 「この業界には、全員が同意する意見がある。女性俳優は、40歳になったら終了というもの。椅子に座って、誰かが“君の賞味期限は過ぎた”と言うのを聞いたことがあるわけじゃない。でも、(年齢が理由で)断られて、ドアが閉じられたことは何度もある。今では良いほうに変わってきているけど、でも、『愛すべき夫妻の秘密』はそれについて」

 映画賞に何度もノミネート、受賞しているニコールであっても、年齢が原因でドアを閉じられる。俳優として成功し続けることは誰にとっても難しいことではあるが、年を重ねた女性俳優には彼女たちだけに立ちはだかる壁があることは確かだ。


変化のために行動する女性たち

 女性に対する年齢差別は社会全体に存在し、映像業界でもそれは顕著に確認できる。

 『マトリックス』シリーズでトリニティーを演じたキャリー=アン・モスも、フロントロウのインタビューで、40代になった途端にオファーされる役柄に変化が見えたことを明かし、「私たちの文化は、男性が年を重ねるのを見るのは楽しむけど、女性が年を重ねるのを見るのは楽しまない」と指摘。

 だからこそ、50代になった今、『マトリックス レザレクションズ』でふたたびトリニティーを演じる機会を得たことに喜びを感じたという。

画像: 変化のために行動する女性たち

 キャスティングは年齢差別が明白になりやすい。2020年のNetflix映画『Mank/マンク』では、主人公であり、実在した脚本家のハーマン・J・マンキーウィッツと妻のサラという同い年の夫婦の43歳頃が描かれたが、ハーマンを演じたゲイリー・オールドマンは62歳で、それに対してサラを演じたタペンス・ミドルトンは33歳だった。

 一方で、リース・ウィザースプーンやシャーリーズ・セロン、マーゴット・ロビーなど、様々な女性像を映像作品で描くために自身で映像制作会社を立ち上げ、多くのヒット作を手掛けている女性は増えており、変化を生み出している。

 制作段階で起こる女性への年齢差別によって映像作品に上の世代の女性が登場しなければ、若い世代がその世代の女性に様々なイメージを持つことができない。また、登場したとしてもステレオタイプな描かれ方ばかりをするのであれば、それもまた同様の問題を引き起こす。

 映像作品は視聴者の価値観に大きな影響を及ぼす。制作側は、その責任の大きさを自覚しなくてはならない。

(フロントロウ編集部)

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