Rotten Tomatoesでシーズン1と2連続で100%という高評価を獲得しているドラマ『バック・トゥ・ライフ』の主演・脚本・製作総指揮を務めたデイジー・ハガードが、ドラマを通して伝えたいメッセージや、女性視点で女性の物語を伝えた制作現場についてフロントロウ編集部に語った。(フロントロウ編集部)

18年の刑期を終えたミリの物語『バック・トゥ・ライフ』

画像: 18年の刑期を終えたミリの物語『バック・トゥ・ライフ』

 動画配信サービス「WATCHA(ウォッチャ)」で独占配信中のドラマ『バック・トゥ・ライフ』は、“ある事件”を起こしたせいで18年間服役していた主人公ミリの社会復帰の道のりを追った社会派ブラックコメディ。

 18年というブランクのせいで起こる会話のズレや、両親や近隣住民との複雑な関係をシニカルジョークたっぷりに描きながら、服役後の女性の人生に待つ様々なチャレンジを伝えた本作は、辛口批評サイトRotten Tomatoesにてシーズン1と2ともに100%の評価を獲得。国際エミー賞 コメディアワード 、C21国際ドラマアワード ベストコメディドラマなどにもノミネートされるなど、高く評価されている超話題作。すでにシーズン3の制作も決まっている。

 『バック・トゥ・ライフ』の大ヒットと共に注目を浴びているのが、主演・脚本・製作総指揮を務めたデイジー・ハガード。イギリス人俳優として英BBCのシットコムなどに出演してきた彼女は、本作で脚本家として本格的にデビュー。エミー賞を総なめにしたドラマ『Fleabag フリーバッグ』のフィービー・ウォーラー=ブリッジのように、ユニークな女性のストーリーを生み出すクリエイターとして注目されている。

主演・脚本・製作総指揮デイジー・ハガードにインタビュー

画像1: 主演・脚本・製作総指揮デイジー・ハガードにインタビュー

ドラマを見終わったとき、それぞれに事情があるのだからもっと人に優しくなろうと思わされました。この作品を制作するにあたりどのようなメッセージを伝えることにこだわりましたか?

デイジー:そのように感じてもらえたことが嬉しいです。このシリーズは、人には一見では分からないものがあるのではないかということを感じてもらいたいと思って作った作品なので。全員とは言わないですが、ほとんどの人はセカンドチャンスを与えられるべきなんです。そういう思いが込められています。2シーズン終わった今、これは“許し”についての作品だと自分たちも思っています。ミリだけでなく、すべてのキャラクターには大きな短所というものがあって、お互い許し合わなければいけない。書いているときは実はそこまで意識していた部分ではなかったのですが、許しについての作品ですよねと言われることが多く、そうなのかなと思っています。

服役経験のある女性を主人公にするにあたり、どのようなリサーチをされましたか?

デイジー:長い間服役した女性たちに、釈放された後の人生がどのようなものだったかについて色々聞きました。ディープなことからありふれたことまで聞いたのですが、私は後者が面白いなと思いました。釈放されて一般社会での生活に戻ったとき、一番大変だったこと、何を食べたかったか、最もフラストレーションを感じたことは何なのか。このシリーズでも描かれますが、やはりお医者さんの登録だったり、あるいは銀行のカードもなかったりすることが本当に苦労したとある女性は言っていました。感情面での苦労もそうですし、実用面での苦労が日常生活を複雑なものにするのです。そういった部分のお話をいろいろ伺ってリサーチしました。

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本作はシーズン1とシーズン2の両方が高評価を得ていますが、シーズン1を経て、シーズン2で新鮮さや刺激的な要素を失わないために気をつかったことはありますか?

デイジー:シーズン2を書くときは、それまでのことを全て忘れなければいけないと思っているんですが、実は今回はシーズン1もそうしました。人がこの物語をどう受けとめるかは一切考えず、何を語りたいかを考えて書いたんです。なのでシーズン2も同じような姿勢で書きました。レビューももちろん読まなかったですし、みんなが求めていることも考えず、さらにそれに寄せることも一切せず、プレッシャーも感じないようにしました。ちょっと変わっていて、すごく面白味のある、奇想天外な設定でもあるわけですから、そういったトーンから決して乖離することなく書くようにしました。他のことは考えないようにすることで、よりストーリーに集中できて、気が散らないことに繋がるんです。

このドラマは、どのキャラクターの視点から見るかで善悪の概念が変わってくるところが印象深いですが、もしもミリ以外の視点で作品をはじめから作るチャンスを得た場合、誰の視点から作りますか?

デイジー:両親ですかね。私たちにとってこの物語は、ミリが何をしたかではなく、いかに彼女が適応していくかの物語なんです。逆にその母親や父親は、娘が長く服役してしまい、そして戻ってきたときに、どんなふうに適応していくのか? もし再び書くなら、そんな物語にしたいかなと思います。そうすればドラマ性もキープできるし、ミステリー面も強いものになると思うので。

画像3: 主演・脚本・製作総指揮デイジー・ハガードにインタビュー

現代においては、この作品のように当事者である女性の視点で語られる女性のユニークな物語が高く評価されていますが、本作の脚本を女性2人で作り上げたことはどのような経験でしたか?

デイジー:本当に素晴らしい経験でした。女性って最高ですよね(笑)。シリーズの制作が決まったとき私はちょうど妊娠8ヵ月だったので、脚本で協力が必要だとなり、だったら絶対にローラ・ソロンが良いと思ったんです。彼女は友人であり、私にとってこの作品は子供のように大切であることを理解してくれていて、エゴもなく素敵な人柄で経験値もすごく高いので。私たちは2人とも、女性像を変えることにワクワクしていました。『性欲が強いのは父親じゃなくて母親にしたらどう!?』なんて言って。興味深い女性キャラクターを生み出したいという点において、見ている方向が一緒だったのは最高でした。あと、私たちは2人とも母親です。彼女はアメリカにいて私はロンドンだったのですが、『あそこはああで』と話し合っているなか、私は子供をお風呂に入れようとしていて裸の子供が画面を横切っていったり、ローラは学校に行く2人の子供に制服を着せようとしたりと、面白い会議がたくさんありました。その点で理解があったのも良い経験でしたね。

あとシーズン2では、監督も撮影監督もエグゼクティブプロデューサーも女性だったんです。意識してそうなったわけではないのですが、ある日まわりを見渡して、『ワオ、部署のリーダー全部女性じゃん』という風に思ったんです。みんなとても才能があり、それに優しくて、素晴らしい現場になりました。

 ドラマ『バック・トゥ・ライフ』シーズン1~2は、映画好きのための新しい月額動画配信サービス「WATCHA(ウォッチャ)」で独占配信中。WATCHAでは1ヶ月無料体験もあるので、高評価を受けたミリの物語を楽しんで。(フロントロウ編集部)

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