中国で配信された1999年の映画『ファイト・クラブ』は、エンディングが大きく変更された。(フロントロウ編集部)

 ※この記事には、1999年の映画『ファイト・クラブ』のネタバレが含まれます。

追記(2月8日)
中国のテンセントビデオで配信されている『ファイト・クラブ』のエンディングが、オリジナル版のものに戻っていることが確認された。

エンディングが人気の『ファイト・クラブ』

 (1月25日)1999年に公開された映画『ファイト・クラブ』は、デヴィッド・フィンチャー監督×エドワード・ノートン×ブラッド・ピットという豪華タッグのもと、多数の視点から現代社会を批判したカルト映画の名作として高い人気を誇る。

 そのエンディングによって“どんでん返し映画”としても有名だが、中国の動画配信プラットフォームであるテンセントビデオで配信された『ファイト・クラブ』ではかなり大幅な変更が確認され、話題になっている。

 本来の『ファイト・クラブ』のエンディングでは、メインキャラクターであるタイラーが計画した、資本主義に大きく関連する企業のビルを爆破するという計画が実行される。ヒロインであるマーラを演じたヘレナ・ボナム=カーターとエドワードが、その様子を眺めながら終わる映像は記憶に残るものだが、テンセントビデオ版では、ここがバッサリカットに!

 その代わりに、画面にはこのような文字が映し出されたと伝えられている。

 「テイラーによって出されたヒントによって、警察は彼の計画の全貌を把握し、すべての犯罪者を逮捕。爆弾の爆発も防ぐことに成功した。裁判ののち、テイラーは精神病院へ送られ、治療を受けた。彼は2012年に退院した」

 なんと、テイラーは逮捕され、爆破も起こらなかった!

 『ファイト・クラブ』が支持される大きな理由の1つであるエンディングが、このような方向に変更されたことには、多くの映画ファンがネガティブな反応を示している。

 この変更は自主的になされたものなのか、中国政府の指示で行なわれたものなのかは不明だが、米Viceが関係者に話を聞いたところ、本作の著作権を持つオーナーによって変更され、中国政府もこの変更を許可。その後、各ストリーミングサイトに売られたという。

 中国政府による検閲は知られたことだが、中国の市場が巨大になるにともない、ハリウッドでも中国政府に言われるより前に自主的に検閲を行なうようになっていることは、アメリカに拠点を置き、言論の自由を守るために活動するNPO団体のPEN Americaが指摘している。

 最初から中国での公開を諦めている作品もあるが、中国で公開するために、中国政府が許容しないであろう要素を自主的に取り除く作品は多い。また、PEN Americaによると、中国公開を視野に入れていない作品であっても、中国公開を狙う他の作品に影響しないように、自主的に検閲をしていることがあるという。

(フロントロウ編集部)

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