ビル・ナイとカズオ・イシグロの交流
黒澤明監督による1952年公開の映画『生きる』が、ビル・ナイ主演でリメイクされる。
舞台を1952年のロンドンに移した映画『Living(原題)』は、世界的作家であるカズオ・イシグロが脚本を手掛けた。ビルとイシグロは以前から交流があり、イシグロはビルに、自分のことを「イッシュ」と呼ぶように言うそうだが、ビルはその勇気が出ないそう。
そんな話を米Colliderのインタビューで明かしたビルは、映画プロデューサーであるスティーブン・ウーリーの自宅に集まり、ディナーをしたある夜の思い出も振り返った。映画プロデューサー、ノーベル賞作家、そして実力派俳優らが集まった夜は、その様子で映画が撮れるのではないかと思わせるほど。
「ディナーをしたんですがね、みんなは最強の映画オタクなんですよ。みんなで一晩中そこに座って、映画のトリビアについてお互いに問題を出しあっていました。主に1930年から1960年までのイギリスの白黒映画に関するもので、この映画は誰がデザインしたのか、あの映画の最後で探偵を演じたのは誰か、彼が演じた3つの役は何か、あの作品の2番目の主役を演じたのは誰か、といった具合にね。あの作品の撮影監督は誰だったとか、一晩中やっていましたね」
映画制作のアイディアはそんな交流から
ビルたちはファンの期待をまったく裏切らない会話をしていることが分かったが、これが、『生きる』のリメイクを制作することに繋がったという。
「そしてその最後に、イシグロと彼の妻ローナが2人だけで何やら話し合っていて、終わったら、“君の次の映画が何であるべきか分かった”と言われたので、“なら、準備ができたら教えてくれ”と返しました。その数週間後にスティーブンから電話がきて、これがプランだと教えられました」
「映画史に残る最も有名な映画制作者の1人である黒澤、そして彼の映画『生きる』」をリメイクすることは尻込みする計画でもあり、リメイクという言葉を使わないでいられるのなら使いたくはないと話すビル。
しかし本作はリメイクであると認めたうえで、しかしイシグロが脚本を手掛けるのであれば大丈夫だと思ったという。また、ビルは、『生きる』で主人公の渡邊勘治を演じた志村喬と自分は非常に異なる俳優であり、作品のビジュアル面も異なると指摘。そしてイシグロによる脚本もあるため、本作を“再解釈”することには、制作の当初から前向きだったと話した。
『Living』の公開日は未定だが、日本で公開されることは決定している。
(フロントロウ編集部)