環境に配慮したクリーンビューティ製品が増えるなか、とくに海外で問題視されているのが、環境に配慮しているように見せかける「グリーンウォッシュ」。日本でも徐々に議論され始めているグリーンウォッシュについて、わかりやすく解説。(フロントロウ編集部)

グリーンウォッシュとは?

 近年世界中の企業やブランドが積極的に進めているのが、サステナブルな事業への転換。製品の開発や製造、梱包などさまざまなステップで環境への負荷がかかっていること、そして限りある資源が失われていることを問題視し、サステナブルなものに変えていこうという取り組みが進められている。

画像1: グリーンウォッシュとは?

 なかでもビューティ業界では、以前から「ナチュラルコスメ」や「オーガニックコスメ」といったカテゴリーがあり環境に配慮すべきという風潮が強かったため、昨今のサステナブルな事業転換への流れを先導する美容企業も多い。そんななか、海外を中心に深刻な問題になっているのが「グリーンウォッシュ」。

 グリーンウォッシュとは、ケンブリッジ辞典によると「企業側が環境を保護するために実際よりも多くのことをしていると人々に信じ込ませること」を指す言葉。つまりユーザーに製品を買ってもらうため、表示や広告、ラベルなどを使ってあたかも環境に配慮しているかのように故意に見せかけることをグリーンウォッシュと呼ぶ。別名グリーンウォッシングと呼ばれることもある。

画像2: グリーンウォッシュとは?

 欧米諸国では日本よりも早くから環境に配慮した美容ブランドやファッションブランドが増え、市場規模が急激に拡大したため、それと比例するようにグリーンウォッシュを指摘される企業やブランドが増加。とくにコスメなどの美容製品では、「クリーン」や「ナチュラル」、「オーガニック」、「エシカル」などのキーワードが明確な基準を持たないことも多いため、この問題が多発している。

海外では対策や基準が広まっている

 製品やブランドのイメージ戦略として環境を配慮しているかのように装うことは、本当にサステナブルな製品を選択したいユーザーの気持ちを踏みにじる行為。そのため欧米を中心とした海外では、基準の制定や法整備などの動きが目立ってきている。

画像1: 海外では対策や基準が広まっている

 なかでも有名なのが、まだグリーンウォッシュという言葉が一般的ではなかった2010年にカナダのTerrachoiceという団体が発表した報告書「グリーンウォッシュの罪(the Sins of Greenwashing)」。この報告書には「あいまいさの罪」をはじめ、「隠れたトレードオフの罪」「根拠を出さない罪」「偽のラベルを使う罪」「無関係の罪」「かろうじてよいの罪」「嘘をつく罪」という7つの罪が記されていて、グリーンウォッシュかを見極めるときに使われる世界的な指標のひとつとして広まっている。

 さらに2021年には、英国の競争・市場庁(CMA)がグリーンウォッシュから消費者を守るためのガイドライン「グリーン・クレーム・コード(Green Claims Code)」を発表。このガイドラインには、「主張は真実かつ正確でなければならない」などの6つの原則が定められていて、違反した場合は民事訴訟または刑事訴追に直面する可能性があるという。

 また民間の量販店などでもグリーンウォッシュを防ぐための取り組みが進んでいて、人気コスメ専門店のセフォラ(Sephora)やアルタ・ビューティー(Ulta Beauty)、米大手スーパーマーケットのターゲット(Target)は、独自のクリーン基準を制定。その基準も年々厳しくなっていて、セフォラでは独自のクリーン基準「Clean at Sephora」のほか、成分がクリーンなだけでなく気候変動への取り組みや責任のある資源調達を積極的に進めているブランドに捧げられる「Clean + PlanetPositive」という基準も新たに制定した。

画像2: 海外では対策や基準が広まっている

 そのほか海外では、コスメをはじめとした美容製品が実際にサステナブルかどうかを瞬時に見分けられるデータベースやアプリも増加。非営利環境団体のEWG (Environment Working Groups)が開発した「Healthy Living」というアプリや、成分の安全性が10段階で評価されている「Think Dirty」アプリが人気を集めている。

 国内外で問題視される「グリーンウォッシュ」。日本ではまだ法整備などは進んでいないものの、購入する前にブランドについて調べたり、認証マークの正当性を見極めたりなど、「グリーンウォッシュ」製品を避けるためにできることはたくさんあるので、ぜひ購入前にはチェックしてみて。(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.