自分の体形にネガティブなのも、ポジティブなのも、いらなくない? メラニー・リンスキーが重要視する女性の描き方とは?(フロントロウ編集部)

豪華俳優が共演した『イエロージャケッツ』

 異色のサバイバルドラマ『イエロージャケッツ』が話題爆発となっている。

 クリスティーナ・リッチやジュリエット・ルイスなど、有名俳優たちがドラマで共演を果たした『イエロージャケッツ』は、1996年に起こった女子サッカーチームの飛行機墜落事故での真実を、25年後の2021年に突如として起こる不可解な出来事とリンクさせながら描くサイコロジカルホラー。

 過去と現在が交錯し、隠されていた秘密が徐々に明らかになる濃密なストーリーが視聴者の心を掴む本作では、様々な性格のキャラクターたちが登場することも魅力の1つ。

 メインキャラクターの1人であり、飛行機事故および遭難を生き延びたショーナは、2021年には子供を育てる母親。彼女を演じたのは、映画『乙女の祈り』や『ドント・ルック・アップ』などで知られるメラニー・リンスキーで、本作はクリスティーナやジュリエットを含めキャスティングが素晴らしいことでも評価されている。

製作陣に痩せろと言われたメラニー

 そんなメラニーだが、撮影中には、体形をどうにかするようにとプレッシャーをかけられていたことを、米Rolling Stoneのインタビューで明かす。しかし共演者の女性たちは全員メラニーの味方をし、ジュリエットに関しては、プロデューサーたちに向けて抗議の手紙を書いてくれたほどだったという。

 女性の人権運動であるMeToo運動が起こる前であれば、映像業界で女性が意見を言うことは難しかったため、メラニーに瘦せることを受け入れる以外の選択肢はなかったと言えるだろうし、共演者の女性俳優たちも声をあげづらかったはず。最悪の場合、声をあげた誰かがクビになっていた可能性もあるだろう。

 長年ハリウッドで活動し、疑問を抱いてきた女性俳優たちが団結し、声を上げられ、さらにその声が届くようになったというのは、喜ばしいこと。

画像: 製作陣に痩せろと言われたメラニー

 さらにメラニーは、ドラマのために痩せないと決意していたそうで、その背景には視聴者の女性たちの存在があったと続けた。

 「ショーナが自身の身体に一切コメントしないこと、ワンピースを着て、“もう少しキレイだったら良いのに”なんてしないことが、私にとって非常に重要なことでした。このキャラクターはただ自分に満足していて、セクシャルで、(体形について)考えも話しもしないことが重要なんです。女性たちには、彼女を見て、『わぉ。彼女は私みたいだし、誰も彼女のことを太ってる人とは言わない』ってなってほしい。そのレプリゼンテーションは大切です」

 テレビなどで、女性の体形をイジったり、体形から連想した呼びかけがされたりする場面は減ってきたとはいえ、まだ見かけることはある。『イエロージャケッツ』では、そのようなシーンはない。

 また、女性自身が自分の体形にネガティブなことを言ったり、はたまた逆にポジティブなことを言ったり、ジョークにして笑い飛ばしたりする描写もよくある。ネガティブよりはポジティブなほうが良いのはもちろんだが、それについて“考えない”でいられることもかなり重要。

 様々な体形の女性が、ただそこで、“ありのままで生きている”のを見ることは、意外とないこと。『イエロージャケッツ』はサイコロジカルホラーだが、そういった細部の表現が物語を“邪魔しない”のも、視聴者が物語のなかにどっぷりと浸かれる要因の1つだろう。

(フロントロウ編集部)

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