マーベル映画『エターナルズ』やDCコミックス原作の映画『ザ・バットマン』など話題作に立て続けに出演し、その確かな存在感が注目を集める俳優のバリー・コーガン。出演作から人柄、じつはかなりヘビーな幼少期までバリーについて知っておくべき事を特集! (フロントロウ編集部)

※この記事には、映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のネタバレが含まれます。

バリー・コーガンって誰?

 マット・リーヴス監督、ロバート・パティンソン主演の映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』に出演したバリー・コーガン

 バリーが演じたキャラクターは“見えざる囚人(Unseen Prisoner)”とだけクレジットされており、劇中ではこの人物がシリーズきってのヴィランであるジョーカーだとは明言されないが、その立ち居振る舞いはまさにジョーカーそのもの。

画像: 『ザ・バットマン』のキャストたちとともにワールドプレミアに出席したバリー・コーガン。ゴードン警部補役のジェフリー・ライトと肩を並べて。

『ザ・バットマン』のキャストたちとともにワールドプレミアに出席したバリー・コーガン。ゴードン警部補役のジェフリー・ライトと肩を並べて。

 本編に収められた出演シーンはごくわずかで、顔かたちもよく見えない暗がりでのシーンながら、息づかいや身のこなし、不気味な笑い声だけで観客たちにその人物があのジョーカーだと確信させたバリーの演技は「鳥肌が立った」「バリー・コーガンはまさに適役」「たった30秒ほどで、全部持っていった」などとSNS上でファンたちから絶賛されている。

 これまでジャック・ニコルソンやヒース・レジャー、ホアキン・フェニックスといった名優たちが演じてきたジョーカー役を引き継ぐのにふさわしい、“ハリウッドの新たな怪優”との呼び声も高いバリーってどんな人? 

バリー・コーガンの出演作、幼少期、人柄

出演作続々! サイコな悪役から純朴な青年まで演じ分けるカメレオン俳優

 故郷アイルランド・ダブリンでやんちゃな高校時代を過ごしていたところ、ある店のウィンドウに貼ってあった出演者募集の張り紙を見つけ、「自分にもできるかも」と気軽な気持ちで短編映画のオーディションを受けたことがきっかけで役者への第一歩を踏み出したバリー。

 ミステリアスな風貌や観る人の心をざわつかせる演技が注目され、おもに悪役としてキャリアを積み重ねたバリーは、近年、ハリウッドでも高い評価を受ける若手俳優の1人として名を馳せるように。

画像: 映画『聖なる鹿殺し』では真っ白なTシャツを着て黙々とミートソーススパゲティを貪る姿がサイコだと話題に。©ELEMENT PICTURES / Album/Newscom

映画『聖なる鹿殺し』では真っ白なTシャツを着て黙々とミートソーススパゲティを貪る姿がサイコだと話題に。©ELEMENT PICTURES / Album/Newscom

 ヨルゴス・ランティモス監督によるサイコホラー映画『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』(2017年)では、コリン・ファレル演じる医師とニコール・キッドマン演じるその妻の裕福な家庭に急接近する謎多き少年を演じてただならぬ狂気を放ったほか、クリストファー・ノーラン監督の戦争映画『ダンケルク』(2017年)では、民間人でありながら命がけでイギリス兵の救出に向かう心優しく穏やかな青年を好演。

 2019年には英国アカデミー賞(BAFTA)で最優秀新人賞にノミネート。同賞は、過去にはトム・ホランドやクリステン・スチュワートといった、今をときめく俳優たちが受賞しており、人気俳優の登竜門として知られている。

 主演作はまだないが、映画『アメリカン・アニマルズ』(2018年)、『ザ・グリーンナイト』(2021年)、ドラマ『チェルノブイリ』といった映画&ドラマファンを唸らせる作品に出演し、ふり幅の大きさを見せつけている。


マーベル映画『エターナルズ』で知名度爆上がり

 MCU映画『エターナルズ』のドルイグ役でバリーの事を知ったという人も多いのでは? 

 他人の心が読めるテレキネシスやマインドコントロールといったスーパーパワーを持ち、つねに超然としている一匹狼気質なドルイグ役には、当初、キアヌ・リーヴスやラミ・マレックといったバリーよりもだいぶ年上の役者たちが候補に。

 しかし、“何を考えているかわからない”オーラを醸し出すキャラクターを演じさせたらピカイチなバリーに白羽の矢が立った。

 同作では、バリー演じるドルイグとローレン・リドロフ演じるマッカリの可愛らしいやり取りが話題となり、2人まとめて“ドルッカリ”という愛称で親しまれるように。バリーとローレンとはプライベートでも仲が良いことで知られる。


母がオーバードーズで死去…実は壮絶な生い立ち

 今でこそ、地元に帰れば住民たちから「ハリウッド」と親しみを込めて呼ばれるほどのスターとなったバリーだが、その幼少期はなかなかに壮絶だった。

 バリーの母は彼がまだ5歳だった頃にヘロインに手を出すように。薬物中毒に陥った母はバリーと弟のエリックの面倒を見ることができず、里子に出されたバリーたちは母が亡くなる12歳までの間に13軒もの里親の家を転々。12歳の頃、母がオーバードーズで亡くなってからは祖母と叔母に引き取られた。

母と弟のエリックと。

 当時について、ポッドキャスト『Ireland Unfiltered』で振り返ったバリーは、「辛かったです。子供が親から引き離されるなんて、辛くないはずがないですよね」とコメント。しかし、同時に、生前は毎週土曜日に自分と弟に会いに来ていた母が、マクドナルドや映画館に連れて行ってくれたという楽しかった思い出にも言及。今でも母を慕っていることを明かした。

 むしろ子供の頃の恵まれない境遇がモチベーションとなっているというバリー。「自分を信じています。僕は自信に満ち溢れている。これは、”失うものなど何も無い”という姿勢から来ているんです。もしも今母が生きていたら、満面の笑みを浮かべているはずです」とポッドキャスト『Irishman Abroad』に語っている。


野心メラメラ! “魔法のノート”を活用&インスタやツイッターで就活

 自分のすべての行動は明確な戦略に基づくものと豪語するバリー。“魔法のノート”なるものに将来やってみたいことや目標、一緒に仕事をしてみたい監督の名前などをリストアップしているという。

 英i-Dに話したところによると、そのリストにはランティモス監督やノーラン監督の名前も含まれているそうで、すでにいくつか望みを叶えているが、『エターナルズ』への出演も、言ってみれば有言実行だった。

 バリーは2013年、マーベル・コミックの数々の原作者であり“マーベルの父”の愛称で親しまれ
た故スタン・リー会長に宛てて、「お願いします、僕をスーパーヒーローにしてください」とツイッターを通じて冗談まじりに直談判。

 それから約6年後に『エターナルズ』への出演を勝ち取り、撮影に参加。同作が公開されると、「信念の力だ」とMCU作品でスーパーヒーローを演じられた喜びを噛み締めていた。

 さらに、最近では、鍛え抜かれたボディを公開し「誰がボンドだって!?」と映画『007』シリーズの次期ジェームズ・ボンド役にジョークまじりに立候補! 

 有名監督のインスタに「出演させてください!」とDMを送ったこともあるそう。やりたい仕事があれば、なりふり構わず、ぐいぐいアピール。出世しないわけがない。


アンジェリーナは「おばあちゃん」? 共演者に可愛がられまくる

 人懐っこく、共演者たちともすぐに打ち解けるバリー。『聖なる鹿殺し』で共演したコリン・ファレルは、バリーのことを「俳優としてだけでなく、生き方も人との関わり方も、仕事に取り組む姿勢も本当に素晴らしい若者です」とラジオ番組『RTÉ 2fm』でベタ褒め。

画像: 『ザ・バットマン』でペンギンを演じたコリンとは、同じシーンには登場しないものの、実質、再共演。

『ザ・バットマン』でペンギンを演じたコリンとは、同じシーンには登場しないものの、実質、再共演。

 さらに、『エターナルズ』で共演したアンジェリーナ・ジョリーもすっかりバリーのファン。撮影現場でバリーと一緒に過ごしていた時に急に「僕のおばあちゃんを思い出すんです」と言われたそうで、普通なら気分を害してもおかしくはないが、「光栄です」とVirgin Media’s Six O’Clock Showで回答。「彼はとてもユニークで、彼のような人を見ているのは楽しいです」「彼のことは高く評価しています」とバリーの将来に期待していると語った。

画像: アンジェリーナは「おばあちゃん」? 共演者に可愛がられまくる

 ちなみにバリーがアンジェリーナを「おばあちゃん」呼ばわりしたのは、アンジェリーナに母性を感じたからだそう。


バリー・コーガンはあの人に似てる?

 アジア系の血が混ざっているかのような独特の顔立ちのバリー。映画『レディ・プレイヤー1』や『X-MEN:ダーク・フェニックス』などで知られる同世代の俳優のタイ・シェリダンと「区別がつかない」と話題になることがしばしば。

画像: バリー・コーガンはあの人に似てる?

 厚みのある奥二重の瞼や骨格が確かにどことなく似ている…? 


アマチュアボクサーとしても活動!

 役者としてデビューする前からアマチュアボクサーとしても活動している。バリーにとってボクシングとは単なるスポーツではなく、心の健康を保つ手段でもあるそう。

 「外見を良く見せるためだけでなく、気分を良くするためにもやっています。メンタルヘルスのケアに最適なんです」とアイルランドのスポーツメディアOff the Ballとのインタビューで話している。


『ザ・バットマン』続編やスピンオフでジョーカーを演じる可能性は…?

 『ザ・バットマン』でバリー演じるジョーカーの片鱗を目の当たりにしたファンたちは、続編や制作進行中のスピンオフシリーズで、バリーが演じた囚人がジョーカーへと進化する展開が見たいと期待を寄せているが、現時点ではリーヴス監督はその可能性について明言していない。

画像: 『ザ・バットマン』続編やスピンオフでジョーカーを演じる可能性は…?

 リーヴス監督は、バリー演じるキャラクターが“ジョーカーの前身”であることを米IGNに認めたうえで、バットマンとやりとりをするもう1つのシーンも撮影したことを明らかに。しかし、そのシーンは『ザ・バットマン』本編からはあえてカットしたそう。

 さらに、フロントロウとのインタビューでは、バリーの出演シーンはあくまでもバットマンやリドラー、そしてゴッサムシティを描くうえで必要だったから採用されたものだと説明。続編への繋がりという説は否定している。


 よく対峙して語られるMCU作品とDCコミックスを原作とする作品の両方に出演している稀有な俳優となったバリー。さまざまなジャンルの作品に不思議とハマる彼には、『ハリー・ポッター』シリーズの前日譚スピンオフである『ファンタスティック・ビ―スト』シリーズの新作やティモシー・シャラメ主演のSF映画『DUNE/デューン 砂の惑星』の続編といった作品にも出演して欲しいとファンたちが熱いラブコールを寄せている。

 バリーは現在制作中のAppleTV+のオリジナルミニシリーズ『Masters of the Air(原題)』にもキャスティング。映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』のキャリー・フクナガ監督がメガホンをとる同作は、スティーブン・スピルバーグとトム・ハンクスが手がけた『バンド・オブ・ブラザース』、『ザ・パシフィック』に続く戦争ドラマシリーズの第3弾。映画『エルヴィス』に主演するオースティン・バトラーや映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のカラム・ターナーといった若手注目株とともに第2次世界大戦中、独裁者ヒトラーに爆撃をしかけた米第8空軍の実在したメンバーを演じる。(フロントロウ編集部)

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