スターバックスで、女性グループをターゲットにした男が自慰行為を繰り返すという事件が発生。警察に逮捕されたものの、周囲の人々が女性たちを助けなかったことに批判が集まっている。(フロントロウ編集部)

 ※この記事には、性暴力についての記述が含まれます。

男が女性グループを追い回して自慰行為、その時周囲は…

 アメリカのフロリダ州マイアミのビーチ近くにあるスターバックス店内で、朝の9時半頃に27歳の男が自慰行為を行ない、その後逮捕される事件があった。

 ターゲットにされた女性グループの1人であるハリーがTiktokで明かしたところによると、彼女とその友人たちはモバイルオーダーをしたドリンクを受け取るために、スターバックスへ向かったそう。

 そして店舗についた際に、彼女たちのために1人の男がドアを開けてくれたそうだが、この男がのちに自慰行為を始めた。

 当時、店内では30人ほどが注文待ちをしており、彼女たちは角のほうで待つことに。そしてその時、男も彼女たちの後ろに立っており、さらにハリーは、彼がズボンも靴も履いていないこと、そして手をパンツの中に入れていることに気がついた。

 彼女は都会であるニューヨーク出身で、変な人は多く見てきたとして、あまり気にしていなかったという。しかし待ち時間が長くなるなかでも男は彼女たちの後ろに立ち続けたため、ハリーは彼に注意を向けた。そこで、男が自慰行為をしていることに気がついたという。

 ハリーは、「(男に対して)何かを言ったり、何か行動を起こしたりすることがすごく怖かった。なぜなら、彼にその手で私に触れてほしくなかったし、危害を加えられたくもなかった」と、当時の心境を振り返ったうえで、さらに、店内にいた人々も誰も何もしてくれなかったと話す。最終的に、店内にいたアリッサという女性が男の行動を録画し、店内から出ていくように叫んだという。

 しかし、男が店を出るよりも先にハリーたちは店の外に出ていたのだが、なんと男は彼女たちの後を追い、彼女たちの近くでふたたび自慰行為を始めたという。ハリーによると男はすでに店内で射精していたにもかかわらず行為を続けたという。

 さらに、彼女たちがスターバックスから離れるために歩きだしたところ、男はまだ彼女たちをターゲットにしており、その後を追い続けた。しかしその時、警察が到着。すると男は全速力で逃げ出したという。男を逮捕するまでに、警察はダーツを装填したスタントガンを8度ほど発砲したと発表されている。

 ハリーはスターバックスの店員を含め、誰もなにもしてくれなかったと話したが、スターバックスのスポークスパーソンは米Newsweekで、「客の行動について通報を受けた後、従業員はすぐに対応し、地元警察に通報しました」とコメントし、男が外に出た後も、警察が到着するまで男を逃がさないように店員が見張っていたとしている。

 ※犯人の男の映像も含まれます。視聴にはご注意ください。

性暴力被害に遭った人が声をあげるのは困難

 ハリーのTikTok動画には、彼女たちが経験したトラウマになるような出来事について憤りを示すコメントも多く寄せられている一方で、なぜすぐに警察に通報しなかったのかといったような、被害者非難(ヴィクティム・ブレーミング)と言えるコメントも投稿されている。

 しかしハリーの経験は、性暴力被害に遭った女性たちがどのようなことに直面するかを明確にしている。

 当時ハリーは1人ではなく、グループだった。それでもなお、性暴力被害に遭った時には声を出せない・出すのは難しかった。となれば、被害者が1人であれば、性暴力に抵抗することはなおさら困難なことが想像できる。

 また、周囲も彼女たちを助けなかったことは大きな問題。周囲に多くの人がいるということが理由で、個々人が事態に対応しなくなる「傍観者効果」はここ数年で社会問題の1つとして取り上げられることが増えており、性犯罪の発生時においても問題になってきた。

 世界的化粧品会社であるロレアル パリは2020年に、セクハラを無くすために、それを見かけた第三者が行動を起こすようにと呼びかける動画を制作・公開している。

 また、ハリーが「その手で私に触れてほしくなかった」と話したことも、共感できる人は多いはず。声をあげると危害を加えられるかもしれないという恐怖は、これまでも多くの女性が説明してきたが、性犯罪の場合は、まず犯人が自分に触れる可能性があるという時点で非常に気持ちが悪いと感じる人は多い。そしてその可能性から、声をあげられない女性もいる。

 アメリカのThe National Sexual Violence Resource Centerによると、アメリカに住む女性のうち、人生でセクハラや性暴力を経験したことのある割合は81%にのぼる。

 この一件は、性犯罪が発生したときに被害者が置かれる状況や、性犯罪および犯罪の場において、第3者はどう行動すべきかを考えさせる。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.