米ツイッター社の買収を持ちかけたことで注目を集めている敏腕実業家のイーロン・マスク氏。ツイッターに“言論の自由”を復活させると意気込むマスク氏だが、過去には、自身を批判した顧客に自社の製品のテスラ車を販売しなかったことも。“言論の自由”を守るかのようなアクションを見せながらも、自分に都合の悪い意見には厳しい態度を取ってきたマスク氏の矛盾にツッコミが殺到している。(フロントロウ編集部)

ツイッターに言論の自由を復活させると意気込むイーロン・マスク氏

 先日、米ツイッター社のすべての株を400億ドル(約4兆4,000万円)で買収することを提案し、現時点で実際に買収に必要な465億ドル(約5兆1,000万円)の資金を調達したことが明らかになっているイーロン・マスク氏。

画像: ツイッターに言論の自由を復活させると意気込むイーロン・マスク氏

 テスラ社やスペースX社のCEOを務める敏腕実業家であるマスク氏は買収に乗り出す前、唐突にツイッターで「言論の自由は民主主義が機能するために不可欠です。ツイッターはこの原則を厳守していると思いますか?」とアンケートを実施。

 「いいえ」を選んだ人が70.4%と大多数を占めたことを受けて、マスク氏は「ツイッターが事実上の公共の広場としての機能の役割を果たしていることを考慮すれば、言論の自由の原則に従わない場合、民主主義が根本的に損なわれることになる。何をすべきでしょう?」と投稿。その翌月、ツイッターを買収することを提案した。

フリースピーチとヘイトスピーチの違い、「何でも言って良い」ことの危険性

 マスク氏はこれまでにも言論の自由について熱心だったことで知られ、自分自身について「言論の自由の絶対主義者(Free speech absolutist)」だと自称してきた。

 ツイッターの買収提案を公表した現地時間4月14日に出席したTEDトークのカンファレンスでも、「言論の自由のための包括的な空間があることがとても重要だと思っています」「私の意見としては、ツイッターは(言論の自由を認める)国の法律に則るべきだと思っています」とマスク氏は述べて、ツイッターを買収する上で、プラットフォームにおいて言論の自由を認めることの重要性を改めて説いた。

 言論の自由が尊重されるべき基本的人権なのは間違いない。かと言って、ツイッターを始め現代のソーシャルメディアでは何を言っても良いわけではない。例えば、暴力やヘイトスピーチに関わる発言は規制されている。マスク氏が目指すツイッターがどこまでこういった発言を許容するつもりかは分からないが、ソーシャルメディア側からの一定の規制が一切なくなることは大きな危険をはらむ。

マスク氏、他者の意見に厳しく対応してきた経歴が揶揄される

 言論の自由を掲げるマスク氏については、懐疑的な見方をする人々も多い。というのも、マスク氏は、自身に“不都合”な意見を寄せた人々を如実に拒絶してきた過去があるから。

 SNSでは、その一例として、アナリストであるスチュワート・アルソップ氏が2016年にマスク氏のテスラ社について批判的な書簡を発表した際に、批判されたことを受けてマスク氏がアルソップ氏からのテスラの注文をキャンセルしたことがあった過去が持ち出され、「言論の自由を気にしているって人がこれか…」などとツッコミを入れる投稿が多く寄せられている。

画像: マスク氏、他者の意見に厳しく対応してきた経歴が揶揄される

 さらにマスク氏は、過去にテスラ社でエンジニアを務めていたクリスティーナ・バラン氏がテスラ車の安全性についてマスク氏に意見した際には、解雇したことでも批判を浴びた。

 ツイッターなどを使ったパフォーマンスから株価を大きく上下させる仕掛け屋としても知られるマスク氏。今回の件も、ツイッター社の株価を変動させるためのパフォーマンスではと見る声もあるが果たして。(フロントロウ編集部)

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