『ある告発の解剖』のルパート・フレンドが、演じたジェームズという男の人格を酷評。(フロントロウ編集部)

性暴力加害者の思考はナンセンス、主演の苦悩

 シエナ・ミラーとルパート・フレンドがメインキャラクターを演じたNetfixドラマ『ある告発の解剖』が、非常に高い評価を受けている。

 シエナが演じるソフィーは、夫で保守派の政治家ジェームズが部下のオリヴィアと浮気をしていたことを知る。しかしその後、オリヴィアがジェームズのことをレイプで告発し、裁判を起こしたことで、社会に潜む様々な問題が明らかになっていく…。

 社会における特権、権力、社会的階級などを探求し、性暴力が起こるまでの問題、起こった後の問題を指摘した本作。そのエンディングの展開は見どころの1つだが、一方で自分は不倫していただけでレイプはしていないと“本気で思っている”ジェームズという人物の「ナンセンス」を描くことが重要だったと、ジェームズはNetflix Tudumで語る。

 「ジェームズは自分が潔白だと思っている。始まった瞬間から、この物語が興味深くなる唯一の方法は、そのナンセンスを掘っていくということだった。もし彼がただの悪い奴で、悪いことをして、その罪に問われないというのなら、奴はただのソシオパスかモンスターということで、たいして興味深くないだろう」

 作品の方向性に適切で明確な答えを持っていたルパートだが、当初はオファーを断ろうと思っていたそう。その理由は、「あの男がまったく好きじゃないから、演じたくなかった」から。

 性暴力加害者を演じることに苦痛を感じる俳優は少なくない。ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』でラムジー・ボルトンを演じたイワン・リオンは、同作で経験した性的暴行のシーンの撮影について「現実に起こりえる状況のシーンにいるのは対処するのが本当に難しい」と説明し、「キャリアの中で最悪の日」だったと話している

画像: 性暴力加害者の思考はナンセンス、主演の苦悩

 ルパートもジェームズを演じるにあたり、「この男から見えている世界、つまり自分は責任を問われることのない世界をどう見るか、そして、自分の行動が道徳的に正しいかどうか自問したことがないとはどういうことか」を理解するには努力が必要だったと語った。

 それでもなおジェームズを演じ切り、作品の質を高めることに貢献したルパート。数えきれないほどの性暴力が毎日起きていて、そのせいで性暴力を性暴力と見ない人も多く存在する。私たちが生きる社会のさまざまな問題を浮き彫りにした『ある告発の解剖』を見終わった後に、あなたは何を考えるのか。

(フロントロウ編集部)

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