オードリー・ヘプバーンの人生を追ったドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』の試写会に参加したロシアにルーツを持つピロシキーズの小原ブラスが、日本社会やロシアについても思いを語った。(フロントロウ編集部)

ピロシキーズの小原ブラス、日本社会について思い

 歴史に名を刻む映画スター、オードリー・ヘプバーンの本当の姿を描くドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』の試写会に、YouTuberのピロシキーズのメンバーである小原ブラスが登場。

 彼は本作を見て、オードリーは「ずっと愛を求めていたひと」だと感じたそう。そんな彼女の姿に共感を覚える観客は多く、小原も、「僕も、夜とかに『まだ愛されてへんのかな?』『もっと人に愛されたい』と悩むことがあります」と明かしたうえで、「ただ、最終的に彼女がしたのは『愛を与えること』であり、与えない限り満足できないと気づいたんだと思います。僕も、自分主体で見るんじゃなく、まずは愛したいなと。自分がほしいものをまず人に与えないといけないんだと目を覚まされました」と、オードリーの人生に学んだと話す。

 そんな彼は、ロシアにルーツを持つ。一般社団法人「外国人のこども達の就学を支援する会」の理事長を務める彼は、自分が感じてきた苦悩を明かし、様々な人たちが生きる社会を作るために行動を起こしている、彼のなかにある熱い思いを明かした。

画像: ピロシキーズの小原ブラス、日本社会について思い

 「外国人の人とつながる中で、学校に通っていない子がたまにいることに気づきました。海外の労働力を受け入れて、彼らの子どもたちも日本に来るけど、公立校だと日本語がわからず、なじめないし、プリントに何が書いてあるかさえわからず辞めてしまう。そういう子たちが(コロナ禍の前の時点で)2万人います。海外の移民問題でも、そういう子たちが集まってギャング化したり、外国人が治安悪化の原因と思われて『受け入れるのをやめるべき』と衝突が起こったりするし、日本でもそれが始まりかけています。将来的に、日本人が外国人を嫌いになると生きづらいし、平和な日本であるためにいま手を打つべきだと思って、『何かできることはないか?』とそういう団体に声を掛けたら『発信力がないので、発信する立場になってもらいたい』と言われました」

 「子どもの頃から思っても、それを口にすると『じゃあ、生まれた国に帰れば?』という目で見られるんじゃないか? という思いがある。よく『歯に衣着せぬコメンテーター』とか言われますけど、メッチャ歯に衣着せまくってますよ!」

 「そうやって、溜まってきた思いがいっぱいあることに気づいて、やっとある程度、その形が見えてきたし、言ったことに共感してくれる人も増えてきました。だからこそ、(社会の中で)見えていない少数派の“何か”を自分が表に出すことができるんじゃないか? 『多様性」と言われて、少数派の人たちも生きやすくなっているかもしれないけど、実際は『ここまでは許されるけど、ここは許されない』というのがあって、許されない少数派がまだまだいると思うので、そういう人たちのお手伝いが出来たら」

ロシアのウクライナ侵攻、「何を言っても言葉が空っぽで飛んで行っている」

 さらに話は、現在起こっているロシアのウクライナ侵攻についてに。小原は、個人の力の限界に対する無力感や、ロシアへの批判を語った。

 「簡単に『ひどい』『許せない』とかいろいろ言うことはできるけど、(ウクライナからの)ああいう映像を見てるとそんな簡単な言葉で言い表せへんなって実感しています。現状に対し、言葉が出てこないし、理解が及んでいないです。映像やSNSの情報に触れても、まだ僕に人間というものが理解できておらず、僕の簡単な感情で評価することもできないし、どうしたら(戦争を)止められるかもわからない…。自分が信じていること、少しでもできることはやってるけど、でも侵略を止めるために戦地に行って戦うとか、自分の命を犠牲にすることもできない。キレイごとを言っても、安全圏にいたいし、いちゃう。何を言っても言葉が空っぽで飛んで行っているような感覚で…」

 「この映画を見て改めて思ったのは、ロシアは侵略の理由としてウクライナのNATO加盟、東方拡大を抑えるためだと言っているけど、愛を求めていたオードリーが愛を与えたように、平和がほしいなら自分たちも与えんとアカンちゃうのかなってこと。安心がほしいなら、自分が安心を与えないといけない。それを力で無理やりという動きは、安全にはつながらない!」

 「この映画がロシアで上映されるのかわかんないけど、そういうところをもしも、ロシアで上映されたら見てほしい」

 小原は映画を鑑賞して、映画スターであり、晩年はユニセフ国際親善大使として精力的に活動したオードリーについて「弱い部分もあったんだ」と感じたそうで、「完璧でない弱い部分を見せてくれて、『あ、弱くてもいいんだ』と自分の中でも安心できました」と話した。

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.