現代ホラー界でカルト的な人気作を送り出し続けている制作プロダクション「ブラムハウス・プロダクションズ」。彼らの作品が“他と違う”理由のひとつは、ホラーに社会問題を巧みに取り入れてエンターテインメントに昇華させているところ。5月20日の全国公開する、シリーズ累計世界興行収入500億円超の大人気シリーズ最新作『フォーエバー・パージ』で題材にしているのは?(フロントロウ編集部)

ブラムハウス作品は社会問題ホラーに強い

 ブラムハウスは、わずか15,000ドルの製作費で全世界で1.9億ドル以上の興行収入を記録した『パラノーマル・アクティビティ』にはじまり、超低予算ながら高品質で新しい視点から作られた映画を世に送り出し続け、スタジオ映画製作の新しいモデルを開拓した制作スタジオ。彼らは、社会問題を巧みに取り入れながらエンターテインメントに昇華させたホラー作品を得意とする。

人種差別xホラー 『ゲット・アウト』(2017)

 ジョーダン・ピール監督のデビュー作ながら全米初登場でNo.1大ヒットを記録し、日本でも興収1.3億円を突破したサプライズ・スリラー。ニューヨークで写真家として暮らすアフリカ系アメリカ人のクリスは、ある週末に白人の彼女ローズの実家へ招待される。過剰なまでの歓迎を受けるものの、黒人の使用人がいることに妙な違和感を覚えるクリス。翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティに参加するが、集まった人々は何故か白人ばかりで気が滅入ってしまう。そんななか、黒人の若者を発見し、思わずカメラを向けると、フラッシュを浴びた瞬間、彼は鼻から血を流し態度を急変させ、「出ていけ!(Get out)」と襲い掛かって来る。随所にちりばめられた伏線をきれいに回収するラストに感嘆すること間違いなし。今もなおアメリカで起こっている白人による黒人への人種差別を独自の視点から風刺した作品。

経済的な格差問題xホラー 『アス』(2019)

 『ゲット・アウト』の監督ジョーダン・ピールとジェイソン・ブラムが再びタッグを組み、主演に『それでも夜は明ける』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したルピタ・ニョンゴを迎えた最強チームが贈る最大の恐怖と驚愕のホラー。幼少期、両親と訪れたサンタクルーズにある遊園地でミラーハウスに迷い込み、自分とそっくりな少女に遭遇したことが強烈なトラウマとなっているアデレード。夫と子供たちとともに夏休みを過ごすため、再びサンタクルーズの家を訪れるが、不気味な偶然に見舞われ、過去のトラウマがフラッシュバックしてしまう。アデレードは家族の身に恐ろしいことが起こるという妄想を強めていき、その夜、家の前に自分たち一家とそっくりな“わたしたち”がやってくる…。実際失敗に終わった1986年に行われた貧困救済を目的とした慈善イベント「ハンズ・アクロス・アメリカ」を印象的に描いているが、貧富・階級の格差問題を題材としている。熱烈なホラー映画フリークのジョーダン・ピールによる様々な作品のオマージュシーンも必見だ。

現代社会の風刺xホラー 『ザ・ハント』(2020)

 富裕層が娯楽として“人間狩り”を行なうという過激な内容だけでなく、政治的陰謀論のはびこるアメリカ社会への痛烈な風刺から全米で物議をかもし、一度は公開中止にまで追い込まれたサバイバル・アクション。広大な森の中で目覚めた12人の男女。ここがどこなのか、どうやって来たのかも分からない。目の前には一匹の豚と武器の数々が納められた巨大な木箱があるのみ。すると突然銃声が鳴り響き、何者かに狙われていることに気付く。武器を手に取り、逃げ惑う彼らはネット上での噂だと思っていた、セレブが娯楽目的で一般市民を狩る“マナーゲート”が実在することを知る。貧富、階級格差問題だけでなく、ネットに蔓延する「陰謀論」や「デマ」といった現代のテーマを盛り込んでいる。

移民問題xホラー 『フォーエバー・パージ』(2021)

 日本公開を2022年5月20日に控える超人気シリーズ『パージ』待望の最新作。今回パージ法の絶対ルールであったタイムリミット=12時間が外れ、“無限パージ”へと突入し崩壊寸前となってしまうアメリカからメキシコへの逃亡を描く。若い時からホラーとSFは社会的・政治的な問題を語るのに適していると考えてきたという、シリーズの生みの親ジェームズ・デモナコはスリルたっぷりの娯楽作の中に人種差別や貧富の格差、政府の社会に対する対応などの問題提起を取り入れることを『パージ』シリーズで実現させた。デモナコは最新作でも製作・脚本を務めており、スリル満点の展開を楽しめるだけでなく、移民問題や人種差別問題、さらにはアメリカ・メキシコ国境に築かれた壁を逃亡の障害とするなど、アメリカ社会が抱える分断について考えさせられる映画に仕上げている。

『フォーエバー・パージ』新場面写真を独占解禁

画像: 『フォーエバー・パージ』新場面写真を独占解禁

 最新作『フォーエバー・パージ』では、移民増加が深刻な社会問題となったアメリカで、“パージ”に乗じて人種差別主義の過激派組織が暴走。終わりのない“無限パージ”へ突入し、アメリカ全土が無法地帯と化してしまう。崩壊寸前のアメリカを援助するため、メキシコ政府は6時間に限り国境解放を宣言。メキシコからの移民アデラ(アナ・デ・ラ・レゲラ)とホアン(テノッチ・ウエルタ)夫婦は、ホアンが働く農場の雇い主ディラン(ジョシュ・ルーカス)の一家と国境を目指すが、道中で出くわした過激派の一団に追われてしまう。

 今回、フロントロウ編集部が独占で解禁する新たな場面写真では、思わず「後ろ、後ろー!!」とディランに叫びたくなるシーンが写っている。ディランは銃を構え、辺りを警戒しているが、背後にはハンマーで殴り掛かろうと忍び寄る人の姿が...。果たしてディランはマスク姿の男を撃退し、みんなでタイムリミットまでにアメリカを脱出することができるのか!?

 『フォーエバー・パージ』は5月20日(金)TOHOシネマズ 日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開。(フロントロウ編集部)

 

This article is a sponsored article by
''.