チップとデールの実写スタイルの映画が作られるのは聞いていたが、大の大人がお腹を抱えて笑ってしまうようなキレキレの作品になるなんて予想もしていなかった。(フロントロウ編集部)

※こちらのレビューにはマイルドなネタバレが含まれます。

ハイブリッド実写映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』

 ディズニーがこんなことしていいのだろうか?

 ディズニーの有名なシマリス・コンビ、チップとデールの活躍が実写の世界でリメイクされた映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』がディズニープラスで本日より配信スタートした。

画像1: ハイブリッド実写映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』

 チップとデールの人気を不動のものにした同名アニメシリーズの約30年ぶりのリブートは、実写とアニメが入り混じる『ロジャー・ラビット』や『スペース・ジャム』のような映画をさらに進化させ、2D、3D、パペット、コミックなど、多様なタッチのキャラクターを登場させた“ハイブリッド実写CGアニメーション”。人間、キャラクター、動物などまったく異なる見た目の存在たちが共存している、究極の多様性が実現した世界となっている。

画像2: ハイブリッド実写映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』

 そんな本作を視聴してみて、ディズニーの懐の広さとコンテンツ力をビシバシと感じた。

 あらすじは、郊外で保険のセールスマンになったチップと、ハリウッドで売れない俳優を続けているデールが約30年ぶりに再会し、チーズ依存症で借金を重ねて誘拐されてしまった旧友モンティを助けるために、再びレスキュー・レンジャーズを結成して捜査に乗り出すというもの。

画像3: ハイブリッド実写映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』

 劇中には、『美女と野獣』、『ジャングル・ブック』、『アラジン』、『リトル・マーメイド』をはじめディズニーの人気キャラクターが多数登場するのだが、依存症のため借金を重ねているキャラクターがいたり、激太りしているキャラクターがいたり、陽気にかわいく登場したキャラクターがじつはディーラーだったりと、とにかく設定がぶっ飛んでいる。

 さらに、アニメだけでなくディズニー傘下の20世紀フォックスの実写映画などもネタにされているのだが、それだけにとどまらず、ニコロデオンの『パウ・パトロール』をはじめ他社のキャラクターたちにも切り込んでおり、初期のデザインが不評だったため作り直しとなったあのキャラクターは冒頭からエンディングまでイジり倒されている。

 ただ、ブラックジョークとは言え、お腹を抱えて笑うようなフィールグッドなユーモアであって、気分が悪くなるようなものではない。筆者も、黒幕であるボスの正体、ラプンツェルのシーン、そして花火のシーンには思わず声をあげて笑ってしまった。さらに、おならやトイレジョークなど子供世代を意識したジョークも多くあり、年齢次第で反応は異なるかもしれないが、親子で見られる作品としては作られているよう(※映画はPGレーティング)。

画像4: ハイブリッド実写映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』

 また、視聴者が自分のエンタメの知識を試せるイースターエッグ(隠れメッセージ)が多いのも楽しい。ハリウッドの名声の歩道に日本のゲームのキャラクターの名前があるなど芸が細かいのも感心するが、誰もが知る大物俳優を超小さなギャグで使えてしまうところもすごい。ただここは、制作陣の名前を見れば納得するところでもある。

 今回の抱腹絶倒のコメディを生み出したのは、米バラエティ番組『サタデー・ナイト・ライヴ』出身のアキヴァ・シェイファー(監督)、アンディ・サムバーグ(デール役)、ジョン・ムレイニー(チップ役)を中心としたチーム。“『サタデー・ナイト・ライヴ』って聞いたことあるけどよく知らない”という方は、アダム・サンドラー、エディ・マーフィー、ベン・スティラー、スティーヴ・マーティン、クリス・ロックが同番組出身だと言えば番組のすごさが分かるかもしれない。同番組はトップ俳優すらもカツラをかぶりコントに参加したがるような大人気番組。業界でも顔が広い彼らが製作に関わっているとなれば、劇中でのセレブネタの使用許可も簡単に取れたのでは。

 アキヴァとアンディは“そんなこと言っちゃう!?”というような斜め上のジョークが得意で、番組でライターを務めていたジョンはドライでシニカルなユーモアを持っている。本作は、ディズニーがそんな笑いのプロに「うちのコンテンツ使って好きにやってください」と言って、彼らがその言葉を100%真に受けて好き放題やった、と言える最高の内容になっている。

画像5: ハイブリッド実写映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』

 ディズニーのコンテンツ力、そして懐のひろさ、そしてアメリカン・コメディのトップに君臨する制作陣たちのユーモアのセンスが融合された最強コメディ映画『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』は、ディズニープラスで本日より独占配信中。

(フロントロウ編集部)

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