『ストレンジャー・シングス』の特殊メイクはどうつくられている?
Netflixオリジナルシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界(以下『ストレンジャー・シングス』)』は、2016年に配信が開始されて世界中で大ヒット。ついに5月27日よりシーズン4のVol.1の配信がスタートし、盛り上がりを見せている。
そんな『ストレンジャー・シングス』の世界観をつくり上げる重要な要素のひとつが、精度の高い特殊メイク。キャストたちが傷を負ったりボロボロになったりといった姿は、ほとんど特殊メイクによってつくられている。
その特殊メイクを手掛けるメイクチームを率いるのが、メイクアップアーティストのエイミー・L・フォーサイス。『ストレンジャー・シングス』でエミー賞の特殊メイク部門にノミネートされた経験を持つエイミーは、シーズン1から最新シーズンまでメイクアップ部門の責任者を務め続ける人物で、SNSやインタビューなどで同作の特殊メイクのこだわりを明かしている。
エイミーが明かした、『ストレンジャー・シングス』の特殊メイクの秘密をご紹介。
血のりの種類と味にこだわった
キャストたちが血だらけになるシーンが多い同作では、血のりの種類もとにかく豊富。鼻血や口から吐く血などはすべて異なる種類と調合でつくられているという。
しかも『ストレンジャー・シングス』の現場では、味付きの血のりまで常備。エイミーは、「キャストたちが嫌にならないよう、口に入れる血のりには、フレーバーを少々追加しています」と米Refinery29で説明。ジュースをつくる粉末やゼリーミックスをプラスして、味付きの血のりをつくっているという。
そのほかにも泥の特殊メイクにもこだわりがあるそうで、泥用の特殊メイク製品や粘土を調合しても理想の質感ができなかったときには、エスプレッソマシンに入れて質感を変えたこともあったというからすごい。
リアルな傷を再現するために試行錯誤
裏側の世界の怪物「デモゴルゴン」などと対峙する『ストレンジャー・シングス』では、キャストたちがグロテスクな傷を負うシーンも多数。この傷の特殊メイクは、あらゆる試行錯誤を繰り返してつくられているよう。
シーズン3の傷メイクをつくる前の研究についてエイミーは、「さまざまなチームと協力して、ありとあらゆる傷の写真を集めて印刷しました。例えば動物に咬まれた傷や鋭利な爪でひっかかれた傷などです」と米Syfy WIREで話し、チームのほかのメンバーに引かれてしまうほど夢中になって傷を研究したことを告白。
そしてそれだけではなく、次に膨大な量のマネキンを使って傷を試作。血や膿、腫れがどのように現れるかを考えながら、擦り傷、切り傷、打撲傷などのバリエーションを試作したという。ちなみにひどい傷はVFX技術の力を借りることもできたものの、結局そのほとんどを特殊メイクで表現したそう。
超特大サイズのリップグロスを常備
エイミーが『ストレンジャー・シングス』の舞台裏で欠かせないアイテムだと語るのが、透明のリップグロスが入った超特大サイズのビン。とはいえ同作では、リップグロスはリップメイクに使うものではなく、汗のメイクのためにリップグロスを活用。
その理由についてエイミーは、「ベトベトした粘り気のある汗を表現したかったので、リップグロスを活用することにしました」と米Allureで説明。とくにリップグロスで汗の特殊メイクを施されることが多かったのが、ビリー役を演じるデイカー・モンゴメリー。シーズン3でビリーはある理由から大量の汗をかく描写が多かったため、たくさんのリップグロスが使われたという。
ちなみにリップグロスは汗だけでなく、血のメイクや泥メイクのコーティングとしても使用し、同じくベトベトした質感を出すためにも使われていたそう。
特殊メイクをもっとも嫌がったのはノア・シュナップ
キャストたちが嫌がらないような心づかいも取り入れられている『ストレンジャー・シングス』の特殊メイクを、もっとも嫌がったというのがウィル役を演じるノア・シュナップ。
なぜかというと、シーズン2で舌に使われた特殊メイクの液体が不味かったから。エイミーは、「マインドフレイヤーのせいでノアの舌が白っぽくなっていくシーンのメイクで、良かれと思って食用着色料にフロスティング※を混ぜたんです。いざ使ってみるとノアはフロスティングが嫌いだったことが発覚して、とっても嫌がられました」と笑いながらコメント。
※別名アイシング。焼き菓子を覆う甘いクリーム状のペーストを指す言葉
嫌がりながらも何度もフロスティングの味に耐え続けたというノア。でもエイミーによると、シーズン2の撮影が終わった後にノアから水鉄砲で反撃されたそう。
シーズン4は、これまでよりもさらにパワーアップしているとのことなので、特殊メイクもたくさん見られそう。『ストレンジャー・シングス』を見るときには、ぜひ特殊メイクもチェックしてみて。(フロントロウ編集部)