『ザ・ボーイズ』シーズン3でファンを歓喜させたカメオ出演は、予想以上に準備と撮影に手間と時間がかかっていた。制作ボスがマーベルへの皮肉を嬉しがる。(フロントロウ編集部)

 ※この記事には、『ザ・ボーイズ』シーズン3第1話およびMCU映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のネタバレが含まれます。

『ザ・ボーイズ』シーズン3第1話のカメオ出演

 ついにシーズン3の配信が開始となったAmazonプライム・ビデオの大ヒットドラマ『ザ・ボーイズ』で、開始1分でファンを思わぬ喜びから大絶叫させたカメオ出演があった。

 シーズン3の第1話では、シーズン2までの振り返りが終わったあと、ヒーロー集団であるセブンがメインを務める映画のシーンが始まった。その映画では、悪役がストームフロントに。

 シーズン2でアヤ・キャッシュが演じ、ホームランダーと親密な関係となったストームフロントは、人種差別主義者であることがリークされて社会的立場がガタ落ちに。ヒーローたちを管轄する企業のヴォート社も早々に見切りをつけた。そこで、映画ではストームフロントが悪役にされたわけだが、その本物を出すことはできない。そのため、映画でストームフロントを演じたのは…、なんと超有名映画俳優のシャーリーズ・セロン

 シャーリーズが『ザ・ボーイズ』に出演するというのは、多くのファンが予期していなかったことであり、さらにはシーズン3が始まって1分も経たずに彼女が登場したことで、ドラマを見ていたファンからは驚きの声があがった。

 ショーランナーであるエリック・クリプキによると、『ザ・ボーイズ』のエグゼクティブプロデューサーであり俳優のセス・ローゲンが、2019年の映画『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』でシャーリーズと共演したため、このカメオ出演が実現したという。そして、カメオ出演とはいっても、準備と撮影には時間がかかったようで、英Digital Spyのインタビューでエリックは、「悪く思っているんです。彼女は、『2時間くらいそこへ行って、やれば良いんですね』くらいに思っていたと思います」としたうえで、こんな裏話を明かした。

 「彼女が(出演に)イエスと言ってくれた。そこで私たちはすぐにスーパースーツのフィッティングをして、デザインをしました。シャーリーズはアヤ・キャッシュよりもかなり背が高いので、スーパースーツを作り直さなくてはならなかったんです。彼女の撮影はロサンゼルスで行ないました。彼女側のシーンはロサンゼルスで撮影されたんですよ。彼女を(セットに)呼んだ時…、彼女はグリーンスクリーンの前に立って、少しのセリフを言って終わりだと思っていたと思います。しかし私たちはあのセットを丸々作った。あの日彼女は現場に来て、『オーマイゴッド。これは1日かかるね』と思ったと思いますよ」

 『ザ・ボーイズ』の撮影はカナダのトロントで行なわれたが、シャーリーズのカメオ出演のためだけにロサンゼルスにセットを組み立てたとは。そのため、ホームランダーを演じるアントニー・スターはシャーリーズに会うことはできなかったそうで、米EWに、「映像が一緒になったのを見ると分からないですよね。あのシーンのすべてがおかしかった」とコメントしている。

 また、シャーリーズといえば、5月に公開されたばかりのMCU映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』のラストでクレアとしてカメオ出演し、MCU入り。そのため、腐敗したヒーロー集団を描き、社会への皮肉しかないドラマ『ザ・ボーイズ』で、シャーリーズが人種差別主義者のヒーローとして登場したことは、胸アツな展開といえる。

 エリックはDigital Spyで、「マーベルで起こっていることを、うっかり真似してしまうことは、とても嬉しいです。メタ(※)のメタのメタじゃないですか」と歓喜の反応を見せた。
 ※隠喩のこと。

 『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』でシャーリーズ・セロンが演じたクレア。

 また、マーベル作品といえは、公開前にカメオ出演のウワサが広がり、俳優たちは否定するものの、結局やっぱり出ていたという展開がお馴染み。一方で『ザ・ボーイズ』におけるシャーリーズの出演は本当にサプライズだったと言える。“『ザ・ボーイズ』派”であれば、作品のなかの展開だけでなく、現実の展開でも皮肉をぶつけたのではないかと思ってしまう。

(フロントロウ編集部)

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