ドラマ『マーダーズ・イン・ビルディング』から『ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女』まで、ハリウッドに“ポッドキャスト・ブーム”が巻き起こっている。(フロントロウ編集部)

海外は空前の実録犯罪ポッドキャスト・ブーム

 ここ数年のあいだに、アマンダ・サイフリッド、アン・ハサウェイ、ジャレッド・レト、ジュリア・ロバーツ、レネー・ゼルウィガーなどそうそうたるトップスターが実録ポッドキャスト番組を原作としたテレビシリーズに出演するなど、エンタメ界で実録ポッドキャスト・ブームが続いている。

画像: 『ドロップアウト〜シリコンバレーを騙した女』ディズニープラス「スター」で独占配信中。© 2022 20th Television. All rights reserved.

『ドロップアウト〜シリコンバレーを騙した女』ディズニープラス「スター」で独占配信中。© 2022 20th Television. All rights reserved.

 そもそもアメリカでは、ポッドキャストの成長ぶりがすごい。Statistaによると、アメリカの成人におけるポッドキャスト人口は2006年の22%から2021年には78%へと上昇。リスナーは増加を続けると言われており、2021年に1億2,000万人だった米国内での利用者数が2023年には1億6,000万人を超えるだろうと言われている。ユーザーの増加に合わせて世界的な市場価値もあがっており、2019年に約1.2兆円だった市場規模は2027年には約8兆円になるだろうとGrand View Researchは算出した。

 そんなポッドキャストのなかでもとくに人気を博すのが、実際に起きた犯罪やスキャンダルを追う実録系ポッドキャスト。ジャーナリストたちが事細かに証拠を集め、関係者にインタビューをして、事件の真相や経緯をひも解いていく実録系ポッドキャストは、視聴者が制作者の意図した映像を見せられる映画やドラマと違って、すべてのカードを見せられて自分もチームに加わった気持ちで推理をする没入感が人気のひとつとなっている。

 さらに、実録系ポッドキャスト番組を聴くことは、視聴者の“怖いもの見たさ”精神を満足させることに加え、実際に起こった事件を詳しく知ることで自分自身に起こらないよう備えられる、という気持ちにさせるところも人気のヒミツだとされている。

ポッドキャスト愛好家のトップスターが次々と参入

 ポッドキャスト発のテレビシリーズの多くでは、普段は大作映画に出演するクラスのビッグスターの起用が続いているが、そこには、俳優自身が原作ポッドキャスト番組の大ファンだからだという背景がある。

 ディズニープラス「スター」で配信されているドラマ『ドロップアウト~シリコンバレーを騙した女』は、“シリコンバレー最大の詐欺師”とも称されたエリザベス・ホームズの巨額詐欺事件をテーマにした実録ポッドキャスト番組『The Dropout』が原作だが、同ドラマで10年以上ぶりにテレビシリーズにレギュラー出演を果たしたアマンダ・サイフリッドは、役を得る前から原作のポッドキャスト番組を聞いていたという。

画像: 『マーダーズ・イン・ビルディング』シーズン1がディズニープラス「スター」で独占配信中、シーズン2は6月28日(火)より独占配信 © 2021 20th Television. All rights reserved.

『マーダーズ・イン・ビルディング』シーズン1がディズニープラス「スター」で独占配信中、シーズン2は6月28日(火)より独占配信 © 2021 20th Television. All rights reserved.

 また、6月28日からディズニープラスの「スター」でシーズン2の独占配信が開始する人気ミステリーコメディ・ドラマ『マーダーズ・イン・ビルディング』は、実録犯罪ポッドキャストマニアの3人が自分たちのポッドキャスト番組を立ち上げてアマチュア捜査をするという設定だが、クリエイターであり主演のスティーヴ・マーティンが番組のアイディアを思いついたきっかけは、彼自身が実録犯罪ポッドキャスト愛好家だから。コメディ界のレジェンドである彼はこの番組で、50年以上のキャリアで初めてテレビシリーズに俳優としてレギュラー出演を果たしている。さらに、一緒に主演を務めるセレーナ・ゴメスも実録犯罪イベントにプライベートで参加するほどのマニアで、オファーを受けた時にはお気に入りの実録犯罪ポッドキャストの話で大盛り上がりしたという。

 『マーダーズ・イン・ビルディング』の劇中でも描かれているように、ポッドキャストには、個人でも収録がしやすく、大手の放送局などと契約しなくても世界中の視聴者にリーチできるという、新しいテクノロジーらしい利便性があり、それが多くの新しい有能なクリエイターを生むことに繋がっている。非常に元気な業界だけに、今後も素晴らしいコンテンツがたくさん生まれてくるのではと期待が高まる。(フロントロウ編集部)

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