『トイ・ストーリー4』に登場する車のナンバープレート「RMR F97」は、ピクサーの過去の歴史からつけられたものだった。(フロントロウ編集部)

『トイ・ストーリー4』のイースターエッグ

 2019年に公開された『トイ・ストーリー』は、1995年に始まった『トイ・ストーリー』シリーズの4作目。ピクサーやディズニー作品はイースターエッグが多いことで有名だが、24年にシリーズが始まり、4作目となった本作では、シリーズが持つ歴史を感じさせるネタも多かった。そしてそれは、必ずしも良い思い出ではない…。

 『トイ・ストーリー4』は、フラッシュバックシーンから始まる。そこでは、雷雨のなか家の外に停まる車が登場するが、そのナンバープレートは、「RMR F97」となっている。じつはこれは、1999年に全米公開となった『トイ・ストーリー2』の制作現場で起こった悪夢のような出来事からつけられている。

 じつは『トイ・ストーリー2』では、制作中に、間違ってデータの全消去が実行されてしまった! これは外部からのハッキングなどが原因ではなく、スタッフが間違って行なってしまったもの。

 「RMR F97」というナンバープレートは全削除の際に打ち込まれたコマンドから取ったもので、そのナンバープレートをつけた車がボー・ピープを持って行ってしまうという展開には、スタッフたちの思いが込められている。

 デジタル技術、システムが発展した今のピクサーでは起こらないであろう地獄のような出来事には時代を感じてしまううえ、一般的に多くの人がパソコンを使う現代では、この出来事がどれだけ制作スタッフの負担になったかは痛いほど理解できる。

 全削除された後のことは、制作チームのアニメーターだったオレン・ジェイコブが米質問サイトQuoraで明かしている。バックアップデータだけでは完全に復旧することは出来ず、スタッフの1人が家に保存していたデータや残っていたデータなどを手作業で確認していったという。

 全削除が実行された時点で目の前が真っ暗になるが、バックアップデータで完全に復旧もできないという状況は、夢にまで見そうな地獄絵図。そのうえで完成された『トイ・ストーリー2』は、ある意味涙なしには見られない。

 ちなみに、劇中で登場するキャンピングカーのナンバープレートである「B3N604」は、ピクサーのスタジオにおける『トイ・ストーリー4』のアートルームの部屋番号だそう。

(フロントロウ編集部)

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