シンガーのビリー・アイリッシュが、女性から中絶の権利を奪う判決よりもジョニー・デップとアンバー・ハードの名誉毀損裁判のほうが世間の注目度が高いことを批判。(フロントロウ編集部)

ビリー・アイリッシュ、中絶の権利をめぐる問題への関心度の低さを懸念

 シンガーのビリー・アイリッシュが、新曲「TV」で、ジョニー・デップとアンバー・ハードの名誉毀損裁判と、米最高裁によって1973年にアメリカで女性の人工妊娠中絶の権利が認められた「ロー対ウェイド裁判」の判決を覆す草案について触れた理由を英NMEのインタビューで明かした。同曲には、「インターネットでは映画スターの裁判を見て熱狂している/その一方でロー対ウェイドの判決は覆されようとしている」という歌詞が出てくる。

 ビリーがNMEのインタビューを受けた時点では、人工妊娠中絶の権利を認めた過去の判決が覆されることは確定ではなかったが、現地時間6月24日、米連邦最高裁は「ロー対ウェイド」の判決を覆す決定を下した。今後、中絶をめぐるルールは各州に委ねられることになり、全50州のうち20以上の州で中絶が禁止される見通しとなっている。中絶が違法となった州で暮らす女性が中絶手術を受ける場合は、中絶が合法の州に行く必要がある。

 「(『TV』を作っていたとき)自分の体の権利を失うかもしれないと落ち込んでいたんです。それでネットを開いたら、あの裁判(=ジョニー・デップの裁判)の感想を書いている人ばかりだったんです。そんなのどうでもいいことです。女性が自分の体に対する権利を失うかもしれないというときに、なぜセレブの離婚裁判の話をする必要があるのでしょう。誰もそんなことは気にしていません。彼らが自分たちで解決すればいいことです。インターネットはときどき私を悩ませます」

画像: ビリー・アイリッシュ、中絶の権利をめぐる問題への関心度の低さを懸念

 ちなみに、現地時間6月22日から5日間にわたって開催された英グラストンベリー・フェスティバルのヘッドライナーを務めたビリーは、米最高裁が今回の判断を下したことについて、ステージ上で「今日はアメリカの女性にとって、本当に、本当に暗い日です。そうとだけ言っておきます。これ以上考えるのは耐えられないので」と言うと、自分の立場を悪用する年配の男性について歌った「Your Power(ユア・パワー)」をこの決定で影響を受けた人たちに捧げた。(フロントロウ編集部)

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